本記事では、ダイレクトメールを最大限活用するための基礎知識を解説します。
せひ業務にお役立てください。
- ダイレクトメールの効果を高める方法を知りたい方
- ダイレクトメールの反応を確かめる方法を知りたい方
- 販促・宣伝業務のご担当者
ダイレクトメール(DM)を成功に導く要素とは?
効果の高いダイレクトメールの要素として、次の4点が挙げられます。
その1. ターゲットを絞り込む
ダイレクトメールで最も重要なのは誰に送るかということです。
ダイレクトメールの成否を決める要素の50%はターゲット設定とも言われています。
適切なターゲットへの発送は、無駄なコストの削減と反応率アップにもつながります。
その2. 魅力的なオファーを用意する
次に重要なのはオファー、つまりダイレクトメールに付けるクーポンやプレゼントなどの特典です。
ダイレクトメールを受け取った人がオファーをどれだけ魅力的に感じるかは、その後の行動に大きな影響を与えます。
ただし、景品表示法で制限や禁止されている事項がありますので、オファーを検討する際は限度額などに注意する必要があります。
景品表示法 参考サイト:消費者庁「景品表示法関係ガイドライン等」
その3. クリエイティブ|ベネフィットを伝える
ダイレクトメールには、ターゲットにとってのベネフィット(何が得られるか、なぜ得するのかなど)を提示し、どう行動して欲しいかについても記載するようにします。
ダイレクトメールは開封率が高いものの、残念ながら何の戦略も工夫もなく作成されたダイレクトメールが積極的に読まれることはありません。
コピーやデザインで興味を引き、内容(ベネフィット)が伝わるようにしなければならないのです。
ターゲットの興味を引き行動を起こさせるコピーやデザインは、いわゆるセンスだけでは実現できません。
ダイレクトメールを制作する上では次のようなことが求められます。
- ダイレクトメールの目的・コンセプト・ターゲット、戦略を理解する
- ダイレクトメールのデザイン・コピーライティングに関するセオリーを考慮する
- ①②の上で、特にベネフィットに関する表現を磨く
また、ダイレクトメールの形状や捨てたくないと思わせるための仕掛けで工夫を凝らすなど、知識と発想力も必要です。
その4. ダイレクトメールを発送するタイミングを計る
ダイレクトメールを発送するタイミングについて、その考え方をいくつかご紹介します。
(1) 受け取る人の行動や消費サイクルに合わせて発送する
ダイレクトメールは受け取る人が欲するタイミングに届けるのがベストです。
販売する製品・サービスや業界によっても異なるため一概に言えませんが、消耗品であればその製品がなくなる前、美容室であれば利用周期、車検業者であれば車検の〇〇ヶ月前など、商品の消費サイクルや顧客の行動に合わせて発送時期を設定します。
(2) 定期的に発送する
人はしばしば、一度インプットした情報を思い出せない・意識することが出来ないことがあります。
ダイレクトメールが一度読まれても、1ヶ月後はどのような内容でどの会社からのものだったのか、もしかするとダイレクトメールを読んだことすら忘れてしまうかもしれません。
そのため、定期的にダイレクトメールを送付し接触回数を増やすことで記憶を定着させ、購入を検討するタイミングで想起させることができるようになります。
また人は、接触する回数を増やすと警戒感が薄れ、好感を抱くようになるとも言われています(ザイオンス効果)。
例えば、成人式などライフステージに合わせたダイレクトメールでは、接触回数を増やすために何年も前から定期的にダイレクトメールを送付することがあります。
これは、ターゲットとの距離感を徐々に縮め、実際に「その時」が来たら想起させることを狙ったものです。
(3) 年間販促計画に基づいて発送する
個人宛の一般的なダイレクトメールの場合は、ボーナス時期や年末年始、新生活がスタートする時期などの季節や行事に合わせてタイミングを決める方法があります。
いわゆる年間販促計画(52週販促計画)に基づいたプロモーションとしてダイレクトメールを使用する方法です。
消費意欲が高まった時期にダイレクトメールを届けることで、自分ごとと捉えられやすいというメリットがあります。
ダイレクトメール(DM)の効果を高めるテクニック
エリアマーケティングを活用する
特に無宛名ダイレクトメール(ポスティング)では、配布エリアの分析が重要です。
ダイレクトメールの内容に合わせて、対象エリアやターゲットの条件(年代・性別・年収・家族構成等)を分析し配布エリアを選定することで、ダイレクトメールの効果を高めると同時に作成費用を抑えることができます。
例えば、ワンボックスタイプのファミリーカーを販売するためのダイレクトメールのポスティング先は、次のような世帯が多いエリアが考えられます。
- 店舗を中心に半径5km圏内
- 家族構成3人以上
- 15歳までの子供がいる
- 年収400万円以上
ここでは、ワンボックスタイプのためファミリー層をターゲットとしましたが、販売する車種によってエリアを変更、予算に応じて発送するエリアを絞る、過去の成功事例と似た立地のエリアに配布する、競合の商圏を分析してエリアを変えるなどということも考えられます。
デジタルメディアの活用
近年の消費者行動はWEBサイトやSNSなどのデジタルメディアを前提としたものになっています。
そのため、クロスメディアマーケティングが盛んになっており、ダイレクトメールとデジタルメディアを組み合わせた導線設計で、より一層の効果を追求することも多くなってきました。
また、ダイレクトメールとデジタルメディアを組み合わせたキャンペーンでは、ダイレクトメールを最終的な成約や注文(クロージング段階)、リピート購入の促進に使用することが多くなっています。
ダイレクトメールは「あともうひと押し」「最後のひと押し」の役割を果たしているようです。
「あなた」に向けた特別なダイレクトメール|One to Oneマーケティング
近年は、ターゲットごとに内容をカスタマイズしてダイレクトメールを発送するケースが増えています。
ターゲットの属性や商品の購買履歴やアンケート結果をもとに、コピーや画像を変えることで顧客一人ひとりに適した内容、タイミングでアプローチします。
また「〇〇様いつもありがとうございます」など名前やメッセージを変えることで、「あなたに向けた」という特別感を演出できるので、信頼感や好感を抱かせることにつながります。
ダイレクトメール(DM)の反応を知る方法
ダイレクトメールを発送した後は、問合せ件数・来場(来店)者数・特典利用者数・契約数など、最終的な目的に応じて数値を計測することが大切です。
それに加えて、受け取った人が「どのような行動を起こしたか」も把握できれば、より効果の高いダイレクトメールに変えていくことができます。
それではダイレクトメールの反応を知る方法を見ていきましょう。
WEBサイトのアクセスログを計測する
商品やサービスのより詳しい情報やオファー(クーポンなど)を提示するサイトや特典申込み用のフォームなど、専用のWEBサイトへ誘導し、そのアクセスログを計測する方法があります。
ダイレクトメール専用のWEBサイトが準備できない場合は、既存のWEBサイトのURLにパラメータを付与したものを使用すれば、Googleアナリティクス等でダイレクトメールからのアクセスであることが分かるようになります。
また、URLに付与するパラメータにターゲット属性、またはユニークなIDを設定すれば、どのターゲット層がもしくは誰がどのような行動を起こしたか(どのWEBページを閲覧したかなど)も把握できます。
そうすれば、顧客のニーズを把握することにもなるため、その顧客への次の打ち手が見えてくるはずです。
パラメータを付与する場合はURLが長くなるため、QRコードでの掲載がおすすめです。
※QRコードはデンソーウェーブの登録商標です
クーポンなどオファー(特典)の利用数をカウントする
ダイレクトメールに来店特典やクーポンを掲載し、それを利用した数から効果を測定します。
例えば、イベント来場が目的ならダイレクトメールを持参した方への来場特典、ECサイトでの販売促進であればダイレクトメール記載のクーポンコードを入力してもらうなどの方法があります。
ダイレクトメール(DM)は目標設定と評価が大切
ダイレクトメールを施策の一つとして継続的に改善し効果を高めるためには、期待する効果を数値として目標を設定し、検証を繰り返す必要があります。
ここでは、ダイレクトメールの評価に関する代表的な指標について説明します。
反応率
ダイレクトメール送付数に対し、どれくらいの顧客が来店や問合せなどの反応をした数(反応数)の割合を示す値です。
「反応数÷ダイレクトメール送付数」で求めることができます。
購入を促進するダイレクトメールにおいても、まずは行動を促すことが成約(注文)への第一歩となります。
CPR(Cost Per Response)
CPRはCost Per Responseの略です。
見込み客獲得(問い合わせや来店、サンプル請求など)1件あたりの費用を見る際の指標です。
「総費用÷反応数」で算出されます。
例えば、ダイレクトメール総費用30万円、サンプル請求100件の場合、CPRは3,000円となります。
CPO(Cost Per Order)
CPOはCost Per Orderの略で、1件あたりの契約や注文を取るために要した費用を指します。
CPOは「総費用÷成約(注文)件数」で算出されます。
例えば、ダイレクトメール総費用30万円、契約数40件の場合、CPOは7,500円となります。
ROAS(Return On Advertising Spend)
ROASはReturn On Advertising Spendの略で、広告の費用対効果を表す指標として用いられます。
計算式は「売上÷総費用×100」となります。
例えば、ダイレクトメール総費用30万円、売上150万円の場合、ROASは500%となります。
ROIは利益に着目しているのに対し、ROASは売上をベースにした指標です。
ROASで広告としての効果を知りROIで利益を確認することが重要です。
最後に|LTV(Life Time Value)で効果を考える
最後に、ダイレクトメールの効果を考える上で重要なLTVについて紹介します。
LTVはLife Time Valueの略で顧客生涯価値とも言われます。
一度獲得した顧客がある期間(多くの場合1年)にもたらす価値のことを指します。
マーケティングにおける、いわゆる[1:5の法則]では、新規顧客と接点を作って製品やサービスを販売するまでには、既存顧客に販売する時と比べて5倍のコストがかかるとしています。
そのため、新たに獲得した顧客の顧客価値を高め、関係を維持することが重要視されています。
新規顧客獲得を目的としたダイレクトメールで獲得した取引が少額であっても、これを機にその顧客が二度・三度と定期的に製品を購入してもらえたとしたらどうでしょうか。
特にBtoB企業の場合は「製品の購入」ではなく「新規顧客の獲得」という視点で考える必要があります。
せっかく獲得した新たなお客さまの顧客価値を拡大することも、ダイレクトメールにとって大切なことです。
あわせて読みたい! DMの基礎知識①|DMとは何か・目的・種類・メリット・注意点を解説
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