カタログリニューアルは「見た目を変えること」だけではなく、営業・販促で成果を出すための改善です。
見た目・デザインの刷新だけを目的にすると、リニューアルしたのに、結局成果が変わらない、変わったかもわからないという状態になりがちです。
本記事では、発注担当者が迷いやすいポイントを中心に、検討の流れに沿って整理していきます。
この記事ではカタログをリニューアルする際の考え方を解説します。カタログ作成の全体像(目的・台割・仕様・費用・進め方など)を知りたい方は、カタログのつくり方(総合記事)も参考にしてください。
1.現状の課題は何かを明らかにする
まずは現状を把握し、次のような課題がないか確認します。
課題が把握できていないと、何を改善すべきかも見えてきません。
何を売りたいカタログなのか分からない
掲載情報の量は十分でも読み手視点の設計が考慮されていない状態です。重点商品や推したい商品が伝わらなかったり、読み手は「結局どれを選べばよいか」迷ってしまいます。
これは、カタログの役割(目的)が定義されていない状態です。
誰のためのカタログか分からない
顧客・代理店・消費者など、すべての読者に向けて作っている状態です。
一見すると網羅的に感じてしまいますが、実際には誰にも刺さらないカタログになります。

例えば、BtoBとBtoCでは購買プロセスが大きく異なります。
BtoBでは、仕様・価格・比較・根拠といったニーズ(必要性・要件)に基づく合理的な判断材料が重視されます。
一方BtoCでは、使い心地やデザイン、共感などウォンツ(欲求)に基づく感覚的な要素が意思決定に影響します。
この違いを整理せずにカタログを作ると、専門度や説明量、情報の見せ方が定まらず、誰にとっても伝わりにくいカタログになります。
カタログを改善する土壌がない
責任者が曖昧で、原稿作成や校正などが属人化し、毎回「大変だった」で終わってしまう状態です。
完成後に評価や振り返りがないため、次回も同じ問題が繰り返されます。
成果を測れない
問い合わせや商談への影響も把握できない状態です。
カタログをリニューアルしても成功の定義や目標(KPI)が定まっていないため、良くなったかを判断できず、問題が起きても気づけません。
2.目的・役割を明確にする
このカタログで「何を最大化したいのか」を定義する
現状の課題が整理できたら、次に行うべきは「このカタログで何を目指すのか」を明確にすることです。
ここで多くの方が、「売上を伸ばすこと」と考えるかもしれません。
しかし、売上を伸ばすことは前提条件です。それを目的にしてしまうと、カタログの意義がぼやけます。
重要なのは、売上を伸ばすために、このカタログにどのような役割を担わせるのかという点です。
カタログの目的は役割で考える
カタログは、売上に直接貢献する場合もあれば、営業活動や検討プロセスを支えることで間接的に貢献する場合もあります。
例えば、製品カタログの役割には、次のようなものがあります。
- 重点商品・高付加価値商品の提案比率を上げる
- 営業の説明を効率化する
- 新規商談を生む(見積依頼・問い合わせ・資料請求)
- 商談の質を上げる
役割が決まると判断ができるようになる
このようにカタログが担う役割が明確になると、掲載内容や構成に関する判断が明確になります。
例えば、「BtoB商談の成約率を高める」ことを目的とする場合、重要になるのは、検討や比較を後押しする情報です。
そのため、比較表や根拠データ、導入事例などの掲載を優先すべきでしょう。
役割が定まることで、次のような設計判断を迷わず行えるようになります。
- どの商品、情報を充実させるか
- どの情報を削るか
- ページ配分(台割)をどうするか
- 写真や図版をどこまで掲載するか
これらが曖昧なままでは、「とりあえず載せておく」「削る判断ができない」といった状態になり、結果、情報量は多いが使われないカタログになります。
3.ターゲットを明確にする
誰に向けたカタログかで設計が変わる
「誰がこのカタログを使うのか」を明確にします。企業の購買担当者、代理店、消費者なのかターゲットが曖昧なまま進めると方向性が定まらないカタログになります。
前章で、カタログの目的や役割を明らかにする中で、おおよそのターゲット像は見えてきたはずです。
ここではあらためてターゲットを確認し、制作の途中でブレないための軸を固めます。
ターゲットが曖昧だと、誰にも伝わらない
複数の読者を想定しすぎると、次のような状態になりがちです。
- 説明の内容が浅く、判断材料にならない
- 専門的すぎて理解されない
- 情報量は多いが、使い勝手が悪い
ターゲット設定のコツは「主役を一人決める」こと
カタログの主役となるターゲット像をあえて一人想定してみることで、情報設計の軸を明確にします。
主役となるターゲットを設定すると、次の判断が一貫して行えるようになります。
- 情報設計の軸が定まる
- 文章のトーンや専門度が揃う
- ページ配分や写真の見せ方を判断しやすくなる
結果として、カタログ全体に統一感が生まれ、目的に沿った情報設計が可能になります。
ターゲット設定は、次の「目標設定」につながる
誰に向けたカタログなのかが明確になると、次に考えるべきことが見えてきます。
それが「何をもって成功とするか」です。次章で整理していきます。
4.目標を定める
何をもって「成功」とするかを数値で定義する
目的とターゲットが明確になったら、次に行うべきは「何をもって成功とするのか」を具体的に定めることです。
ここを曖昧にしたまま進めると、カタログを作り終えたあとに「結局、良くなったのか分からない」という状態になります。
そして、この目標はなるべく数値として管理可能なもの(KPI)にします。
目標がないと、リニューアルは自己満足で終わる
カタログリニューアルでよくあるのが、「前より良くなった気がする」「見た目・デザインはきれいになった」という感想で終わってしまうケースです。
これは制作の良し悪しではなく、目標=成功の定義が決まっていないことが原因です。
目標がなければ、判断も振り返りも改善もできません。
目標は、目的とターゲットから逆算する
目的とターゲットから逆算して決める必要があります。例えば、次のようになります。
- 目的:新規商談を生む→ 見積依頼数、問い合わせ数
- 目的:商談の成約率を高める→商談化率、成約率、提案通過(採用)率
- 目的:営業の説明を効率化する→商談時間、提案準備工数、営業からの評価
「目的 → 行動 → 数値」の順で整理し、実際に追える数値か、現実的に測定できるかも確認します。
目標を定めることで、リニューアル後の動きが変わります。
- 数値を見て判断できる
- 問題に気づける
- 改訂の論点が明確になる、共有しやすくなる
結果として、カタログは「作って終わり」ではなく、改善を前提としたツールに変わります。
5.パートナーを探す(タイミングと考え方)
構成を詰める前に相談してもよい
現状の課題を整理し、目的・ターゲット・目標まで見えてくると、多くの担当者が次に悩むのが、「いつ、外部に相談すればいいのか」という点です。
結論を言うと、情報設計や構成を詰めきる前に、パートナーに相談して問題ありません。
むしろ、そのほうがリニューアルはスムーズに進む場合もあります。
この段階で「一度相談する」のが合理的な理由
ここまで整理してきたのは、現状の課題、リニューアルの目的・役割、想定ターゲット、目標(KPI)です。
つまり、「何が問題で、何を目指したいか」が整理できています。
一方で、情報設計や構成、ビジュアルをどこまで変えるべきか、どこを削りどこを強化すべきかは、第三者の視点を入れて判断したほうが納得感が出やすい領域です。
だからこそ、このタイミングで一度、外部のパートナーに相談する意味があります。
パートナー選定で見るべきポイント
このタイミングで相談するパートナーは、「一緒に考えられるかどうか」が重要です。
確認したいポイントは次の通りです。
- 課題や目的の整理に時間を割いてくれるか
- 「なぜ変えるのか」を理解してくれるか
- 制作だけでなく、使われ方まで考えているか
- すぐにデザインや制作の話に飛ばないか
6.構成・ビジュアルを詰めていく
課題・目的を「伝わる形」に変換する
次に行うのが 情報設計・構成・ビジュアルの検討です。前半で整理した課題・目的・ターゲットを、実際に「伝わる形」に落とし込んでいきます。何を優先して伝えるか、どこにどれだけページを割くか、どのように使われるかを考えながら全体のバランスを取っていきます。また、それを実現するためのデザインを合わせて考えます。
- 情報の優先順位を考える
- ページ配分(台割)を考える
- 使われ方を想定する
7.期間・スケジュールの目安を把握する
カタログリニューアルは、どれくらい時間がかかるのか
カタログリニューアルを検討する際、多くの担当者が気になるのが 「どれくらいの期間が必要か」 という点です。
リニューアルの規模や内容によって大きく異なります。
目安を知っておくことで、社内調整やスケジュール設計は格段にしやすくなります。
リニューアルでは、制作期間だけでなく、検討・確認の時間を含めて考えることが重要です。
繁忙期を避ける、社内調整が必要な時期を把握するなどして、無理のないスケジュールを組むことでスムーズに進めることができます。
8.費用の考え方を理解する(見積がブレる理由)
「いくらかかるのか分からない」を解消する
カタログリニューアルで、担当者が最も悩むのが 費用の見えにくさではないでしょうか。
同じリニューアルでも、見積金額に幅が出ることは珍しくありません。
これは依頼先の違いだけでなく、依頼内容や条件の違いによるものです。
- 企画・編集:情報整理や構成案から依頼するか
- デザイン費:デザインをどこまで変えるか
- 写真・図版:点数や内容
- 印刷:仕様と部数
9.よくある失敗パターンを知っておく
「とにかく新しくしたい」から始めてしまう
「古く見えるから刷新したい」という動機は自然ですが、それだけで進めると、何を改善すべきかが曖昧なまま制作が始まります。
見た目は変わったが成果が変わらない、どこが良くなったのか説明できないという状態になりがちです。
デザイン変更は手段であって目的ではないことを最初に整理しておく必要があります。
目的やターゲットが途中で揺れる
制作が進むにつれて「やっぱりこれも載せたい」といった声が出てくることがあります。
この結果、情報量が増える、判断基準がブレるという状態に陥ります。
決めた前提に立ち返れるかどうかが、リニューアルを成功させる分かれ道です。
構成や仕様をそのまま踏襲してしまう
「前回問題なかったから」という理由で構成や仕様を踏襲すると、今回の目的に合わないまま進んでしまうことがあります。
踏襲するなら「なぜ踏襲するのか」を説明できる状態にしておくことが重要です。
完成したら終わりだと思ってしまう
カタログは完成した瞬間がゴールではありません。振り返りを行い、問題点を洗い直さなければ同じ課題を繰り返します。
リニューアルは一度で完璧になるとは限りません。だからこそ、成果を確認し、改善点を次回改訂に反映するサイクルが重要です。
10.相談する前に再確認する(チェックリスト)
すべてが完璧に決まっている必要はありません。
ただし、最低限整理しておくことで、話が噛み合わない、提案内容がズレるといったリスクは大きく減らせます。
- 現状の課題と、リニューアルの目的
- 想定しているターゲット
- 目標(KPI)のイメージ
- 既存カタログ・データの有無
- 希望スケジュール・部数・予算感など
よくある質問
まずは、本記事を通して、カタログリニューアルで押さえるべきポイントを整理してください。
そのうえで、構成や進め方だけでなく、役割分担や社内調整の進め方まで含めて支援できるパートナーを選ぶことが重要です。
制作経験者がいない状態でも、考え方と判断軸を共有できていれば、無理なくリニューアルを進めることは可能です。
おすすめするのは、課題を制作パートナーと共有し、どこを変えるべきかを一緒に整理することです。
課題の内容によっては、カタログそのものの構成や表現を見直すだけで改善できる場合もありますし、制作の進め方や更新体制など、制作プロセス側の改善が必要になるケースもあります。
逆に、媒体自体は大きく変えず、運用や使い方を調整するだけで成果が出ることもあります。
いずれにしても、課題を前提に「どこまで手を入れるべきか」を切り分けることが、無駄のない改善につながります。
まとめ
カタログリニューアルというと、デザインを新しくすることに目が向きがちです。
しかし本当に重要なのは、「なぜ今、リニューアルするのか」「このカタログに何を担わせたいのか」を整理することです。
課題・目的・ターゲットが整理できていれば、情報設計や構成、ビジュアルの検討も、制作の進め方も、判断に迷いにくくなります。
すべてを自社だけで決め切る必要はありません。
パートナーに相談し、壁打ちしながら進めることで、手戻りや無駄を減らすことも可能です。
カタログリニューアルは、一度きりのイベントではなく、使われ方を見直し、改善を繰り返していくための機会です。
「そろそろ見直したほうがいいかもしれない」
そう感じた今が、カタログと向き合うちょうどよいタイミングなのです。
カタログでお悩みの方へ
ゼンリンプリンテックスでは、カタログ制作・印刷に加えて、構成段階からのご相談も承っております。
- カタログの目的から整理し直したい
- 現状のカタログ構成から再考したい
このようなお客様からもご相談いただいていますので、お気軽にご相談ください。
カタログ制作も印刷も、ゼンリンプリンテックスにお任せください
| 社名 | 株式会社ゼンリンプリンテックス |
| URL | https://zpx.co.jp/ |
| 設立 | 1947年 9月 |
| 事業所 | 東京、福岡、熊本 |
| 関係会社 | 株式会社ゼンリン、株式会社ゼンリンデータコム、株式会社ジオ技術研究所など 関係会社一覧 |

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本記事は、弊社でカタログ制作の経験が豊富なスタッフ、デザイナーのノウハウをもとに執筆しました。

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