
印刷会社を選ぶ際は「価格」だけでなく、「その印刷物で何を実現したいか」も考えるべきです。
この記事では、印刷会社の選び方とチェックポイントをプロ目線で解説します。
印刷会社選びで大切なのは「何を実現したいか」を考えること
印刷会社選びで失敗しないために必要な視点
印刷会社を選ぶとき、多くの人は「チラシを刷りたい」「パンフレットを作りたい」など、印刷物の種類や用途から依頼先を考えがちです。
しかし、それだけでは本当に適した印刷会社を選ぶことはできません。
重要なのは、「印刷物で何を実現したいのか?」という“目的”から逆算して印刷会社を選ぶ視点です。
例えば、「印象に残る仕上がりでブランド価値を高めたい」場合と、「コストを抑えて大量に配布したい」場合では、印刷会社に求める品質や対応力、価格帯が大きく異なります。
印刷会社の得意分野や対応力はそれぞれ異なるため、目的に応じた選定が不可欠です。
印刷会社選びは「どこが安いか」ではなく、「どの会社と組めば目的を達成できるか」という視点が何より重要なのです。
目的によって、選ぶべき印刷会社は変わる
印象に残る仕上がりでブランド価値を高めたい場合
ブランディングの一環として、デザイン性や紙の質感、色再現などを重視する必要があります。
フォントや配色、紙の質感、印刷加工の仕上がりなどは、企業イメージを左右する大切な要素です。
このようなケースでは、ブランディングやマーケティングの意図を理解し、制作から印刷まで一貫して対応できる会社を選ぶのが理想です。
もし、デザインはデザイン制作会社に依頼するような場合であっても、印刷は制作意図を理解し仕上げてくれる印刷会社をおすすめします。
折り込みやイベントなど大量配布したい場合
展示会や大量配布が前提で、コスト重視の印刷物を求める場合には、価格と納期対応に強い印刷会社が適しています。
ただし、価格だけで選ぶと「チープな印象になった」「企業イメージにそぐわなかった」といった本来の目的を果たせないリスクも生じるため注意が必要です。
印刷物の目的を果たすためにKPIを設定する
「成果を出せる印刷物をつくりたい」と考えるなら、まずは目的を具体的なKPI(重要業績評価指標)に落とし込むのがおすすめです。
なぜKPI設定が重要なのか?
例えば、「資料請求数を120%に増やす」「提案商談数を50%増」など数値目標を設定すれば、施策の効果を客観的に評価できるようになり、改善につなげるPDCAサイクルが回せるようになります。
また、KPIが明確であれば、その具体的な目標に対し「誰に」「どのような内容を」「どのような仕様で」印刷物を届けるべきかもおのずと定まります。
〈補足〉営業現場でもKPIが当たり前に使われている
営業活動では当たり前のように使われているKPIの例を見てみましょう。
例えば、営業部の売上目標を達成するためには、そのために必要な要素をKSF(重要成功要因)として設定します。
それらの要素に対し提案商談数●%増加、リード数●件獲得といったKPIと、それを実現するための行動計画を策定し、その達成度を数値で管理します。
つまり、KPIまで掘り下げることは、目的達成のシナリオを可視化することで、現実的で効果的な手段を選ぶための指針になります。翻って、KPIが設定されていない場合、「戦略も手段も曖昧なまま進める」状態になりかねません。
KPIなしの状態は、「何も策はないけれど、とにかく売上を増やせ」と言っているようなものです。
印刷会社には大きく分けて2タイプある
ネット印刷と従来型印刷会社の違い
印刷会社は、大きく分けて「ネット印刷」と「従来型印刷会社」の2タイプに分類できます。
ネット印刷は、オンライン上での注文からデータ入稿、決済、配送までを一貫して行えるサービスで、価格の安さや手軽さが魅力です。
一方、従来型の印刷会社は、対面での打ち合わせや提案力、細かな仕様調整、柔軟な対応力に強みがあります。
両者について詳しくは「ネット印刷と印刷会社の違い」をご覧ください。
「価格」だけで選ぶと失敗する?注意すべきポイント
「価格」だけで選ぶリスクを知っておく
予算が限られる中で、価格は大切な判断基準のひとつです。しかし、「なぜ安いのか」を理解しないまま選ぶと、思わぬトラブルや成果の低下につながることがあります。安さの背景には、大量印刷によるコストダウン、仕様の限定、サポートの簡略化などがあります。これらはコストメリットがある一方で、「柔軟な対応」や「細部の調整」といった面では限界があることを理解しておく必要があります。
もちろん、ネット印刷が悪いというわけではありません。
大切なのは、「その印刷会社で目的が達成できるかどうか」という視点です。
同じ価格帯でも、提案力や印刷品質、納品の柔軟性などに大きな差がある場合もあります。
価格だけで比較するのではなく、印刷会社ごとの“強み”と“対応力”を見極め、目的に照らして最適な選択をすることが大切です。
よくある失敗例:
- 仕上がりの印象が安っぽく見える
- ブランドイメージと合わない仕上がりになった
- 納期や修正対応が遅く、スケジュールが狂った
印刷会社選び、ここだけはおさえて!
数ある印刷会社の中から、信頼できるパートナーを選ぶには、次の3つの軸で比較するのが効果的です。
1.実績と信頼性
印刷会社を選ぶ上で、まず確認したいのが信頼性です。長年の実績がある会社は、多くの顧客から支持されてきた証です。また、印刷会社が所属している業界団体や、取得している認証(ISO9001など)も判断材料になります。品質や工程の管理体制が整っている会社かどうかを見極めましょう。
2.品質管理体制
企業の信頼性やブランドイメージに関わる印刷物の場合は特に、品質管理が徹底された会社を選ぶことが重要です。印刷の品質は、用紙の選定、印刷機器、オペレーターの技術力など、複数の要因によって左右されます。
印刷会社がどのような品質管理体制を構築しているのかを確認しましょう。色校正や印刷物の検査体制などを確認することで、品質管理に対する意識の高さを知ることができます。また、印刷サンプルを見せてもらうのも有効な手段です。実際に印刷されたものを見ることで、色の再現性や印刷の精度などを確認できます。
3.対応力・サポート体制
印刷会社を選ぶ際には、サポート体制と対応力も重要なポイントです。印刷に関する知識がない場合でも、担当者が親身になって相談に乗ってくれる会社を選びましょう。
印刷会社の品質・対応力を見極めるチェックポイント
印刷品質を見極めるポイント
価格と同じ、あるいはそれ以上に重要なのが「品質」です。特に営業活動やブランディングに直結する印刷物では、仕上がりの精度が信頼感や印象を大きく左右します。
印刷会社の品質は、以下の点をチェックしてください。
- 色や仕上がりを事前に確認できるか
- 紙の種類・印刷加工のバリエーションに対応しているか
- 印刷設備・オペレーターの技術が高いか
- トラブル防止の体制(品質管理・検査)があるか
対応力・提案力を測るポイント
印刷会社は単なる「作業の依頼先」ではなく、「成果を共につくるパートナー」と捉えることが大切です。
そのためには、印刷会社側にも相応の対応力や提案力が求められます。
対応力は見えにくい部分ではありますが、実際のやり取りの中で「この会社は任せられる」と思えるかどうかが重要です。
- 要望に対し、代替案や改善提案があるか
- 担当者がヒアリング・提案を丁寧に行うか
- 適切な情報を提供してくれるか
- 選任担当者がつくか
- 納品後の対応も適切で問題なかったか
このように、「品質」や「対応力」は一見価格には現れない部分ですが、印刷物の成果を大きく左右する要素です。価格とのバランスだけでなく、信頼して任せられるかどうかをしっかりと見極めましょう。
用途別チェックリスト|目的に応じた選び方のポイント
印刷物の種類によって、重視すべき選定ポイントも変わります。
以下に、代表的な用途別のチェックリストを示します。
印刷物の用途 | 重視すべき要素 | 適した印刷会社の特徴 |
---|---|---|
資料請求や営業用 | デザイン・構成・誘導設計 | 提案力・紙や加工選定に強い |
ブランド訴求 | 色再現性・用紙・仕上がり | 高品質印刷・色校正に対応 |
展示会・イベント配布 | 配布しやすさ・構成・コスト | 提案力・大ロット対応 |
商品カタログなど冊子 | 内容の読みやすさ・継続性 | 編集一貫体制がある |
印刷会社とのやりとりを円滑にする3つの工夫
1.要望はできるだけ具体的に伝える
印刷会社とのコミュニケーションを円滑にするためには、要望を具体的に伝えることが重要です。印刷物の種類や数量、用紙、印刷加工、納期など、できる限り詳細な情報を伝えましょう。希望するイメージに近い印刷物があれば、サンプルとして提示するのも有効です。具体的なサンプルを見ることで、印刷会社は顧客の要望をより正確に理解できます。
2.疑問点は遠慮なく質問する
印刷に関する知識がない場合は、疑問点を遠慮なく質問しましょう。印刷会社は、印刷のプロフェッショナルです。わからないことは、丁寧に説明してくれます。例えば、用紙の種類や加工方法、印刷料金など、気になることは何でも質問しましょう。質問することで、印刷に関する知識が深まり、より良い印刷物を制作できるようになります。また、質問することで印刷会社との信頼関係を築くこともできます。積極的にコミュニケーションを取り、より良い関係性を育てましょう。
3.課題を共有する
販売促進や広報の課題を印刷会社と共有するようにします。
その課題に対する解決策を印刷会社が提案してくれるはずです。印刷会社の特徴の一つはさまざまな業界のクライアントと取引があることです。その知見をもとに、解決の糸口を導き出してくれるでしょう。
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このお役立ち記事は、私がこれまでにお客様のプロモーション課題に取り組んできた経験や、お客様からお寄せいただいた質問をもとに執筆しています。印刷をデザインやマーケティングの観点も交えながら、読者の方に少しでも分かりやすくお伝えする事を心掛けています。