初めて印刷の見積もりを依頼する方には、何を印刷会社に伝えればよいのか、少しわかりにくいかもしれません。
しかし、この記事を読むことで、見積もりに必要な情報や注意点を理解できるようになり、初めての方でもスムーズに自信を持って見積もりを依頼できるようになります。
依頼者(発注者)が印刷見積もりに関する知識を持つことで、自社に最適な印刷会社を選び、要望を的確に伝えることができるようになります。これにより、スムーズなコミュニケーションが可能となり、具体的で現実的な提案を受けやすくなります。また、印刷会社との良好なコミュニケーションは、最適な印刷物の作成に直結します。
例えば、弊社では「依頼者(発注者)の真の課題やご要望を理解し、それを解決することが最も大切である」と考えています。
そのため、弊社の経験やノウハウを最大限に活かすためにも、依頼者(発注者)とのコミュニケーションを重視しています。
その際、お客様に見積もりの知識が少しでもあると、コミュニケーションがスムーズになり、より課題やご要望を明確に把握しやすくなると感じています。
あなたも、印刷会社を賢く活用するために、少しだけ印刷見積もりに関する知識を身につけてみてはいかがでしょうか。それではさっそく、印刷見積もりを依頼するために必要なことを見ていきましょう。
印刷見積もり依頼の基礎知識
見積もりの重要性
印刷物の制作を印刷会社に依頼する際、必ずと言っていいほど必要となるのが印刷見積もりです。
印刷見積もりは、印刷会社がお客様の要望に基づいて、印刷にかかる費用を算出したものです。
一見、手間に感じるかもしれませんが印刷にかかるコストや納期を把握でき、予算管理がしやすくなります。また、印刷会社との認識のずれを防ぎ、スムーズな制作進行に繋がるというメリットもあります。
見積もりには何が必要?
印刷見積もりを依頼する際には、まずは以下の4点について考えるようにします。
1.印刷物の仕様
印刷物の仕様を具体的に伝えることで、より正確な見積もりを得ることができます。
仕様には、印刷物のサイズ、色数(カラー/モノクロなど)、印刷部数、ページ数、用紙の種類、製本方法、加工、印刷方式などが含まれます。
これらが明確になるほど、印刷会社は正確な見積もりを算出することができます。
しかし、用紙の種類や製本方法を指定するのは、はじめての方にとっては大変ハードルが高いものです。
そのような場合は、印刷物の用途を明確に伝えましょう。
2.印刷物の用途
印刷物の用途を明確にすることで、必要な仕様が決まってきます。
例えば、会社案内や商品カタログ、ポスターなど、用途によってポイントが異なるため、印刷物の最適な仕様が変わってくるのです。
3.予算
具体的な予算を伝えることで、その中で最適な仕様を印刷会社から提案を受けることができます。
また予算は、印刷費だけでなく、デザイン費、写真撮影費、印刷後の加工費なども含めて検討しましょう。 事前に予算をしっかりと決めておくことで、無駄な費用を抑え、計画的な印刷制作を進めることができます。
4.納期
いつ、印刷物を納品して欲しいかという納期を明確にすることで、印刷会社が制作スケジュールを具体的に立てやすくなります。印刷時期によっては、印刷料金が割高になる場合もありますので、なるべく余裕をもって依頼することが成功のコツです。
印刷見積もり依頼-3つのポイントを詳しく解説
ポイント①印刷物の目的や用途を決める
印刷物の目的や用途を明確にすることは、見積もり依頼の第一歩とも言えます。
目的や用途によって、必要な仕様やデザイン、紙質などが大きく異なるため、事前にしっかりと検討する必要があります。
その印刷物をどのように使用するのか、何のためにつくるのかを明確にすることで、印刷会社との認識のずれを防ぎ、より的確な見積もりや提案を得ることができます。
もし、印刷物の仕様を指定できない場合には、印刷物の目的や用途を印刷会社に伝えることで、最適な仕様を提案してもらうことも可能です。
ポイント②印刷物の仕様をできるだけ明確にする
印刷物の仕様を具体的に決めることは、正確な見積もりを得るために非常に重要です。
仕様には、サイズ、色数、ページ数、用紙の種類、製本方法など、様々な要素が含まれ、印刷物の見た目や質感にも影響します。
サイズ
例えば、会社案内であればA4サイズなど、印刷物のサイズを決めるときは、用途やデザインに合わせて適切なサイズを選びます。 もちろん、A4・A3、B4・B3などの規格サイズ以外の大きさで印刷することも可能です。
規格 | 寸法 |
---|---|
A0 | 841×1189mm |
A1 | 594×841mm |
A2 | 420×594mm |
A3 | 297×420mm |
A4 | 210×297mm |
A5 | 148×210mm |
A6 | 105×148mm |
A7 | 74×105mm |
規格 | サイズ(ミリ) |
---|---|
B0 | 1030×1456mm |
B1 | 728×1030mm |
B2 | 515×728mm |
B3 | 364×515mm |
B4 | 257×364mm |
B5 | 182×257mm |
B6 | 128×182mm |
B7 | 91×128mm |
印刷部数
一般的には、小ロットだと一部あたりの価格(単価)は高く、一定量を超えて大ロットになると単価は安くなります(印刷会社によって異なります)。また、印刷部数によって最適な印刷方式が変わる場合があります。
色数
印刷物の色数は、4色印刷(CMYK)、1色・モノクロ印刷、特色印刷などがあります。4色印刷は、写真やイラストを鮮やかにカラーで表現できますが、費用が高くなります。1色印刷は、費用を抑えられますが、表現力に制限があります。特色印刷は、特定の色を表現したい場合に用いられます。
ページ数
冊子などのページ数は、ページ数が多いほど、印刷費用が高くなります。
印刷用紙(種類・厚み)
印刷用紙は種類とその厚みを選びます。
代表的な用紙の種類には、光沢があり鮮やかな色彩を表現するコート紙、光沢を抑えつつ落ち着いた発色が特徴のマット紙、表面をコーティングしていないため書き込みがしやすい上質紙などがありますので用途によって選択します。
厚さは、ミリではなく「kg」で表されます。例えば、70kg→135kg→220kgなど、数値が大きくなるにつれて用紙が厚いことを示しています。しかし、70kgの印刷用紙と言っても、実際にどの程度の厚みがあるのかはわかりにくいと思います。そのような時は、印刷会社から紙の見本を見せてもらうと良いでしょう。
用紙の種類 | おもな特徴 |
---|---|
コート紙 | 表面がコーティングされ滑らかな質感で光沢がある。印刷に広く使われる。 |
マット紙 | 光沢が抑えられ落ち着いた質感を持ち、上品な印象もある。反射が少ない。 |
上質紙 | 表面をコーティングしていない。自然な質感で文字などを書きこみやすい。 |
特殊紙 | 用紙自体にエンボス加工などの加工や模様が施されている。 |
製本方法
製本には、折りや綴じ(中綴じ、無線綴じ、糸かがり製本など)があります。製本方法によって、印刷費用や仕上がり方が異なります。
印刷加工
PP加工(印刷物の表面に施す加工)、ミシン加工、スジ入れ加工、穴あけなどがあります。
デザイン制作の有無
「印刷(製本を含む)の見積もり」と言って依頼すると、その印刷物のデザインや編集工程にかかる費用は含まれない見積もりが提示されることがあります。紙面の制作から依頼する際は、その旨を必ず伝えるようにします。
▼印刷物の仕様を簡単に伝える方法
このように、印刷見積もりには、その印刷物を製造するために必要な事項が数多く含まれますので、発注する際はわからないことが多いのが当然です。
そこで、仕様を伝える簡単な方法としておすすめなのは、見本となる印刷物を渡すことです。
「この見本と同じサイズ・印刷用紙・製本・加工で」と伝え、見本を渡すことで、印刷物の仕様を伝えることができます。
その際、印刷部数やページ数など、見本と異なる部分についても伝えることを忘れないようにしましょう。
※見本を印刷会社に渡す時の注意点
印刷物の見本を渡す際は、「見本は返却して欲しい」「見本の使用後は処分して構わない」など、見本の返却についても伝えておくようにします。
また、返却を希望する場合は、念のため「現状のままで返却」と添えておくと安心です。
なぜなら、印刷物の仕様を確認するために、その見本の一部を分解したり切り離してしまう可能性があるためです。
ポイント③納期や予算を決める
納期を明確にしておくことで、より正確な見積もりを得ることができる場合があります。印刷会社によっては、余裕を持って依頼してもらうことで、安価な見積もりを提示できる場合があります。
また予算については、ある程度の規模の印刷会社は、多様な業種のお客様からさまざまな印刷物の依頼を受けます。この経験・知識をもとに、あなたの予算にあった提案を受けることができます。もしかすると、それはあなたが考えてもいなかったことかもしれません。
見積もりの相談方法
一般的な印刷会社に相談する方法は、お問い合わせフォーム、見積もりフォーム、メール、電話などの方法があります。
お問い合わせフォーム・メールフォーム
多くの印刷会社では、ウェブサイトに専用の問い合わせフォームを設置しています。
フォームに依頼内容を入力して送信することで簡単に見積もりを依頼できます。
ただし、上記で説明したような事項を明確にして依頼することができれば問題ないのですが、不明な点がある場合は、印刷会社から確認が発生することがあります。そのため、少し時間を要することが多くなりますが、印刷会社からの質問に答えることで、見積もりを手に入れることができます。
お問い合わせフォームの例:https://zpx.co.jp/contact/
電話
メールと同様、見積もりに必要な事項を伝えることができれば問題ありませんが、正確な見積額はその場ではなく、後ほど連絡がある場合が多いでしょう。
おすすめ:見積もり依頼フォーム
見積もりに必要な項目をあらかじめフォームに設定し、依頼者が選択・入力することで、印刷会社に見積もりを依頼することができます。
メリットは、見積もりに必要な項目を把握しやすいこと、正確な見積もりを早く手に入れられる可能性が高いことがあります。
もちろん、不明な項目やわからないことがある場合でも、印刷会社に相談できるよう配慮していることも珍しくありませんので、安心して利用すると良いでしょう。
印刷見積依頼フォームの例:https://zpx.co.jp/contact/order/
オンライン見積もり
ネット印刷会社など、あらかじめ準備した印刷仕様のバリエーションをオンラインで選び、その場で見積もり額がわかり、そのまま発注できるものがあります。印刷仕様が完全に決まっている場合、用紙など細かな選択を必要としない場合、印刷仕上がりにもこだわりがない場合、デザイン制作が不要の場合などには役立つでしょう。
見積もり結果を確認する
見積もり結果の見方
印刷会社から見積もりを受け取ったら、依頼したい内容と合っているか、しっかりと確認しましょう。
見積書には、印刷費や印刷加工費、制作も依頼する場合は、デザイン費、写真撮影費など、様々な項目が記載されています。
見積書の内容が理解できない場合は、必ず印刷会社に問い合わせるようにしましょう。
見積もりの比較ポイント
複数の印刷会社から見積もりを取った場合は比較検討し、最適な印刷会社を選びましょう。比較するポイントは以下の通りです。
- 価格
価格が安い印刷会社を選ぶことは重要ですが、品質や納期なども考慮しましょう。 - 品質
印刷品質は、印刷会社によって異なります。見積書だけではわかりませんが、品質の高い印刷会社を選びましょう。 - 対応
印刷会社とのコミュニケーションは、スムーズに進めるために重要です。
見積もりを取得するまでの対応はどうだったかを参考に印刷会社を選びましょう。
追加見積もりの依頼方法
印刷見積もりを依頼した後、仕様変更や追加の依頼が発生する場合があります。追加見積もりの依頼は、できるだけ早く印刷会社に伝えましょう。変更内容を具体的に伝え、見積もりの再算出を依頼しましょう。
ちょっと待って!その見積もり、本当に大丈夫?
複数の印刷会社に見積もりを依頼(相見積もり)し、一番価格の安い会社に印刷を依頼するのは、自然な判断といえるでしょう。
しかし、その「価格」が本当に最適かどうか、もう一度見直してみる必要があります。
見積もりを依頼した会社は、(特に相見積もりの場合は)なるべく安い価格を提示しようとするはずです。
とは言え、簡単に印刷費用を抑えることはできないため、どこかでコストを削減している可能性があります。
その削減がどの部分に反映されているのかを見極めることが重要です。
- 用紙の質や厚み
用紙の指定をしていない場合は、想定しているよりも印刷用紙を薄いものになっていないかを確認します。これは仕上がりの印象や耐久性に影響を与える可能性があります。 - 印刷技術や仕上がり
デジタル印刷とオフセット印刷では仕上がりやコストに違いがあります。見積もり金額が安い場合、印刷方法が異なる可能性もあります。希望する品質を確保できるか確認するようにします。 - 色校正の有無
ブランドカラーや細かいデザインにこだわる場合は注意が必要です。色校正の確認を行わず、実際に印刷された後に色味が希望と異なることが発覚しても、再印刷には追加の費用がかかる可能性があります。
価格が安いことに飛びつくのではなく、その背後にある条件やサービス内容を比較することが、印刷会社選びで失敗しないポイントです。最終的に、目的や期待する品質を満たす印刷会社を選ぶことが、費用対効果を最大化する近道となります。
印刷見積に関するよくある疑問
印刷見積もりに関するよくある疑問とその回答をまとめました。
はい、ほとんどの印刷会社では、印刷見積もりは無料です。ただし、発注先の印刷会社を選ぶために、デザイン案の提出を求めた場合などには、別途料金が発生する場合がありますので、事前に確認すると安心です。
印刷物の内容や複雑さによって異なりますが、通常は数日から1週間程度で回答が得られます。
基本的には、正式な発注(契約)に至っていなければキャンセル可能です。これも印刷会社によって異なることがありますので、事前に確認しましょう。
印刷物の仕様が明確であれば、その印刷会社に依頼した場合の費用は正確と言えます。ただし、仕様以外にも納品方法や場所などさまざまな要件が必要な場合がありますので、詳しくは印刷会社に確認するようにしましょう。
この記事で解説している内容、印刷物の用途、仕様、予算、納期などを明確にしておくと、よりスムーズに依頼できます。デザインや編集も依頼する場合は、デザインの煩雑さなどが見積もりに影響することがあります。その場合は、具体的に印刷会社との打ち合わせが必要となるでしょう。
見積もりの依頼を受けて嫌な顔をする印刷会社はないはずです。まずは気軽に問い合わせからスタートしましょう。
まとめ-少しでも印刷見積の知識を持つことは大切
印刷の見積もりは難しく考える必要はありません。わからないことがあるのは当然です。
そのような時は、ぜひ印刷会社に聞いてみてください。
どれだけ親身にあなたの話を聞いてくれるか。
わからないことをきちんと丁寧に説明してくれるか。
これらは、その印刷会社があなたに適しているかを判断するための重要な材料のひとつと考えてください。
印刷見積もり依頼は、印刷物を制作するうえで非常に重要なプロセスです。
本記事では、印刷見積もり依頼の基礎知識から具体的な方法、見積もり結果の確認方法、よくある疑問点などについて解説しました。
印刷見積もりを依頼する際に、用途、仕様、予算、納期などを明確にし、印刷にかかる費用や納期を把握することで、予算管理がしやすくなります。また、印刷会社との認識のずれを防ぎ、スムーズな制作進行に繋がるというメリットもあります。 印刷見積もりは、印刷物を制作するうえで欠かせないものです。本記事を参考に、印刷見積もりを依頼し、スムーズに印刷制作を進めていきましょう。
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このお役立ち記事は、私がこれまでにお客様のプロモーション課題に取り組んできた経験や、お客様からお寄せいただいた質問をもとに執筆しています。印刷をデザインやマーケティングの観点も交えながら、読者の方に少しでも分かりやすくお伝えする事を心掛けています。