【ネット印刷と印刷会社の違い】なぜネット印刷は低価格?メリット・デメリットを比較!選び方も印刷会社が解説!

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本記事での『ネット印刷』と『印刷会社』について

この記事で取り上げる「ネット印刷」は、特定のサービスや企業ではなく、オンラインで注文から入稿・決済を完結させる一般的なサービス形態を指します。一方、「印刷会社」は、提案力を持ち、顧客の課題解決に向けてサポートを提供する企業を前提としています。中には、顧客の注文をただ受け取るだけの『御用聞き営業』や、顧客と生産現場を繋ぐだけの『伝書鳩営業』にとどまる企業もあります。このような印刷会社では、この記事で紹介するようなメリットが十分に得られない可能性があります。

「ネット印刷の方が安い」とは限らない

先日、それまでネット印刷を利用していたお客様にお見積りを提出する機会をいただきました。
その結果、「ネット印刷との価格差がほとんどない」との理由から、弊社にご依頼いただけることになりました。

あなたは、ネット印刷は「印刷会社より安い」、印刷会社は「サポートが手厚いが価格が高い」というイメージをお持ちではないでしょうか。
しかし、このケースのように「ネット印刷と印刷会社の価格差がほとんどない」ことも少なくありません
もし、印刷会社の手厚いサポートや高品質な仕上がりが、ネット印刷と同等の価格で手に入るとしたらどうでしょうか。

この記事では、ネット印刷と印刷会社の違いやそれぞれのメリット・デメリットにふれながら、その秘密を探ります。

ゼンリンプリンテックスは、あらゆる印刷をおまかせいただける総合印刷会社です

ネット印刷と印刷会社の違いを身近に例えると?

ネット印刷と印刷会社の違いは、専門的な視点から見ると複雑に感じるかもしれません。
そこで、まずはシンプルにその違いをイメージできるよう、身近なものに例えてみます。

ネット印刷は「頼れるドラッグストア」

ネット印刷はドラッグストアの市販薬のような選択肢。
必要なときにすぐアクセスでき、印刷物が標準的な仕様であれば、迅速にかつ手軽に発注できます。
市販薬が「とりあえず症状を和らげたい」「すぐに手に入れたい」というニーズに応えるように、ネット印刷も「短納期でコストを抑えたい」「特別な調整が必要ない」といった状況に最適です。さらに、オンライン上で24時間利用可能なため、急なニーズにも対応しやすいのが特徴です。

印刷会社は「市販薬では治せない課題に応えるかかりつけ医」

企業の課題は、ただ印刷物をつくるだけでは解決できない場合があります。
商品の魅力を引き出し、ブランドイメージを強化し、競合と差別化するには、企業ごとに異なるニーズを深く理解し、的確に応える専門的なサポートが必要です。
まさに、企業の印刷物を総合的に診断し、最適な解決策を提供する「かかりつけ医」の役割です。
また、一度きりの取引ではなく、長期的な信頼関係を築きながら、トラブル時の迅速な対応や、納品後のフォローアップを行うことも、かかりつけ医としての印刷会社の重要な役割です。
「この会社なら安心して任せられる」と思える存在が、企業の成長を支える強力なパートナーとなります。

担当より

ネット印刷や印刷会社と一括りに言っても、会社ごとにサービス内容や特徴は異なります。そのため、この例えが必ずしも全てに当てはまるわけではありません。
しかし、それぞれの役割や特徴を直感的に理解するための一つの参考としてご活用いただければと思います。

ネット印刷は、オンラインで注文・入稿・決済できる印刷サービス

ネット印刷の特徴

ネット印刷は、注文からデータ入稿、決済までをオンラインで完結できるサービスで、「とにかく安く」という顧客のニーズに応じるために、効率化やコスト削減に重きを置いた仕組みを用いています。
手軽さと印刷コストの低さが特徴ですが、仕様のカスタマイズや特殊加工、仕上がりの事前確認や色味の調整などは、標準なサービス内での対応が難しいことが多いです。
また、ネット印刷では、印刷データの準備や入稿の過程で発生する問題は、基本的に利用者自身で対応する必要があります。そのため、印刷用データを制作する知識やスキルをお持ちの場合には非常に便利だと言えます。
ネット印刷のサービスによっては有償でデータ修正をお願いできるものもあります。
ただしその場合は、デザインに変化が生じる可能性があるので注意が必要です。

ネット印刷のメリットとデメリットは次のとおりです。

ネット印刷のメリット

  • 低コスト、印刷費用が安い
    印刷会社と比較して印刷費用が安くなる傾向があります。
  • 費用がすぐにわかる
    ウェブサイトで料金が表示されておりシミュレーションが可能です。
  • 24時間いつでも注文が可能
    深夜や早朝、休日であっても依頼できます。
  • 短納期での納品が可能
    ネット印刷サービスによっては、即日対応が可能な場合がありますが、料金が割高になります

ネット印刷のデメリット

  • データ不備などに対応する専門サポートがない
    データ修正を依頼できる場合もありますが、その多くは有償です。
  • ある程度の印刷知識が必要になる
    印刷用紙や製本方法を自分で選択しなければならず、その知識が必要になります。
  • 印刷物の仕様がある程度決まってしまう
    特殊な用紙や加工方法などの細かなカスタマイズが難しい場合が多いです。
  • 印刷前に仕上がり・品質の確認や色の調整などができない
    印刷は通常、色校正(事前の仕上がり確認)を行い色などの調整を行います。
    しかし、ネット印刷では、基本的に色校正や個別の色調整を行わないため、イメージ通りに仕上がらないことがあります。

※ネット印刷はサービス内容やオプション対応が会社ごとに異なりますが、その点は考慮していません。

ネット印刷利用時の失敗例

ネット印刷では、自動化された工程が多いため、データ不備がそのまま印刷されてしまうことがあります。
その典型的な例が「塗り足し」です。
印刷物は、断裁時にどうしても数ミリ程度の誤差(ズレ)が発生することがあります。
その際に塗り足しを設定していないと、白い余白が紙の端に出てしまうことになってしまいます。
また、仕上がりサイズギリギリに文字やロゴを配置すると、断裁のズレによって一部が切れてしまうことがあります。
このように印刷用のデータを制作する際は、注意しなければならないことがあります。
自分でデザインを制作する場合(印刷データを作成する場合)は、事前に確認しておかなければなりません。

印刷会社は顧客に寄り添った提案と柔軟な対応の印刷サービス

印刷会社の特徴

一方、従来の印刷会社は、対面や多様なコミュニケーションを通じて、顧客の要望や課題に応じた印刷物の提案を行います。
このような印刷会社では、顧客のニーズに合わせて柔軟に仕様をカスタマイズし、用紙の選択や特殊な加工、複雑な製本仕様にも対応可能です。また、ブランドイメージを重視する案件や、色味や仕上がりにこだわりたい場合にも適しています。
さらに印刷会社では、印刷に関する専門的なサポートを受けながら進めることができますし、デザイン部門がある場合は、デザイン制作から相談することも可能です。
そのため、初めて印刷物を制作する方や、複雑な案件、品質にこだわりたい方でも安心して利用できます。ただし、その分、ネット印刷に比べて価格が高くなる傾向があります。

印刷会社のメリットとデメリットは次の通りです。

印刷会社のメリット

  1. 高品質な仕上がりの印刷物を得られる
    顧客一人ひとりに質の高い印刷物を提供してくれます。
  2. 多様な仕様や印刷加工の依頼ができる(サイズ、用紙選択、加工方法など)
    顧客の望むものを提供するため、課題を解決するために柔軟に対応してくれます。
  3. 専門的なサポートが受けられる(デザインや仕様に関する相談、提案など)
    印刷やデザインに関する相談から提案まで幅広くサポート可能です。
  4. 窓口を集約できる(データ作成から印刷、加工、納品まで一括で対応可能)
    印刷会社にデザイン、印刷データ作成、印刷、製本、納品まで依頼できるので手配の手間を減らせます。

印刷会社のデメリット

  • ネット印刷と比べて費用が高い場合が多い
    印刷会社は、顧客ごとにカスタマイズされた対応や高品質な仕上がりを提供するため、ネット印刷に比べて費用が高くなる傾向があります。
  • 見積もりや納品まで時間を要する場合がある
    印刷会社は、仕様や加工方法など細かな要件を確認しオーダーメイドで見積もりを作成するため、その場で料金が分からないことが一般的です。そのため、印刷物も定期案件を除き、即日対応が難しいことがあります。
  • 提案やサポートの質が印刷会社次第となる
    印刷会社のスキルや経験により、提案力やサポートの質に差が出ることがあります。経験不足の印刷会社からは、最適な提案を得られないこともあります。
  • 遠方のコミュニケーションに制約がある場合がある
    オンラインツールを使用できない印刷会社の場合には、遠方からの依頼ではコミュニケーションが難しいことがあります。

ネット印刷と印刷会社の違いを簡単比較

ネット印刷と印刷会社、それぞれの特徴を説明してきました。まとめると次のようになります。

ネット印刷印刷会社
価格安いネット印刷より高いことが多い
サポート体制基本的に無し専門的な提案・相談が可能
品質標準高品質な仕上がり
柔軟性制約が多い特殊仕様・カスタマイズ対応可能
納期短納期(条件による)
※短納期の場合価格が高くなる
柔軟な納期調整が可能
※即日対応が難しいことがある
ネット印刷と印刷会社の違い

ネット印刷のメリットを最大限活かすには、一定の印刷知識(デザイン、用紙の種類・厚さ・サイズ、製本方法など)や、自ら印刷データを作成できるスキルが求められます。
これが不足していると、用紙選択のミスで品質に問題が出たり、トラブルで進行が遅れて短納期での発注となり、結果としてコストが高くなることがあります。
どちらを選ぶべきかについては、後述の内容(チェックリスト)を参考にしてください。

ネット印刷が低価格を実現できる理由

ネット印刷の価格が安いのは、主に以下の2つの仕組みによるものです。

オンライン注文で営業コストを削減

ネット印刷が通常の印刷会社と異なる点として、まず挙げられるのは、オンラインで受注を完結させる仕組みです。
注文やデータの入稿手続きもすべてお客様自身で行います。
つまり、ネット印刷では、お客様ごとの専任担当者を配置せず、お客様自身にプロセスを完結していただくことで、人件費などのコストを削減しています。

効率的な印刷方法を採用

多くのネット印刷は、生産効率を最大化に向けて取り組んでいますが、これは印刷会社も同じです。
ネット印刷で特徴的なのは、複数の異なる注文を1枚の大きな用紙にまとめて印刷する「ギャンギング印刷」という方法を採用している場合が多いことです。
この仕組みにより、1件ごとのコストを抑えることが可能になりますが、複数の注文をまとめて刷るため、個別の色調整ができず満足のいく仕上がりにならないこともあります。

担当より

ギャンギングは、異なる顧客や別々の案件を、同時に印刷する(同じ紙面に配置する)ために、1枚の大きな用紙に複数の注文(例えばチラシ8件分)をまとめて印刷し、それぞれのコストを削減する方法です。
この方法では、版の作成や印刷機のセットアップなどの固定費を複数の注文で分担するため、1注文あたりのコストを抑えることが可能です。
ただし、使用する印刷用紙やインキ、納期、ロットなど条件を揃える必要があります。
また、多種の印刷物を同時に印刷するため、他の印刷物の色の影響を受けてしまうこともあります。

ギャンギング印刷の説明。ギャンギングは、異なる顧客や別々の案件を同じ紙面に配置し同時に印刷する

ネット印刷と印刷会社の価格差が縮まるケース

このように、ネット印刷は、効率的な受注や印刷物の仕組みによって、価格面で優位性を発揮することができます。
しかし、この生産の仕組みが活かせないケースでは、ネット印刷の価格優位性が発揮できないということになります。
冒頭で紹介したお客様の場合、印刷仕様と短納期という条件が重なり、ネット印刷と印刷会社との価格差がなくなったと考えられます。

①入稿から印刷・発送までが短い

ネット印刷の価格は入稿日によって異なることがほとんどです。
入稿日から印刷・納品日の期間が短いほど価格が高くなります。
ネット印刷では、複数の注文を効率的に処理するために一定のスケジュールに基づいて運用されています。
短納期での対応が求められる場合には、その注文だけで印刷を進める必要が生じるため、低コスト運用ができず、価格が高くなるのです。

担当より

ネット印刷の場合は価格が高くなりますが、印刷会社は事前にその予定が分かっていれば、このような短納期の場合でも追加料金なしで対応が可能な場合が多いです。

②ギャンギング効果が薄い印刷仕様

印刷物の仕様によっては、1件の注文だけで効率的に印刷できる場合があります。
例えば、A4サイズの中綴じ冊子のような一般的な仕様では、他の注文とまとめて印刷する必要がなく、単独でも効率的に処理できる場合があります。このようなケースでは、ネット印刷が得意とするギャンギング効果が発揮されにくく、従来の印刷会社との価格差が小さくなることがあります

どちらを選ぶ?判断するためのチェックリスト

特定の条件下でネット印刷と印刷会社の価格差が縮まるケースがあることをお伝えしましたが、これまでネット印刷のみを利用していた方も、印刷会社という選択肢も検討してみることをおすすめします。
価格だけでなく、品質やサポート、提案力といった面でも新たな可能性を発見できるかもしれません。

担当より

ゼンリンプリンテックスでは無料でお見積りを承っています。
便利なお見積りフォームからお気軽にお問い合わせください。

次は、「自分のニーズに合った選択肢」を見極めるためのチェック項目をご用意しましたのでご紹介します。
価格だけでなく、品質、サポート体制、納期、仕様などを総合的に判断し、どちらを選ぶべきかのヒントとしてお役立てください。自分にとって最適な印刷方法を選ぶための指針としてぜひ参考にしてみてください。

ネット印刷がおすすめの場合

ネット印刷は、専門的な相談や提案を必要とせず、印刷用データを自分で作成・入稿できる方に適しています。標準仕様で十分な場合や、印刷品質へのこだわりが少ない案件、一度きりの印刷物、特殊な加工を必要としない場合に適しています

  • とにかく安く印刷物をつくりたい
  • 印刷品質にこだわらない
  • 印刷用データの作成や入稿を自分で行える
  • 標準的な仕様(印刷用紙やサイズ)、印刷加工で構わない
  • 専門的な相談や提案がなくても、自分で仕様を決められる
  • 継続的に印刷物を制作する予定がない

印刷会社への依頼がおすすめの場合

印刷物を制作する際には、コストや効率だけでなく、品質や仕上がり、サポート体制といった視点も重要です。
ブランドイメージを守る色校正や色調整、デザインと印刷の相乗効果、特殊な仕様への対応など、プロフェッショナルなサポートが求められる場合には、印刷会社の力を活用することで、期待を超える成果を得られる可能性があります。

  • ブランドイメージ、顧客体験を向上のために色校正や多様な印刷加工が必要
  • 定期発注を予定していて、長期的なサポートや柔軟な対応が必要
  • デザインと印刷の相乗効果を求める
  • 初めての印刷発注で、印刷物の仕様や進め方に不安がある
  • 「印刷」手配の手間を減らし、「制作」に時間を使いたい

また、印刷物をデザインしたり印刷の手配をすることで、本来の業務を圧迫することはなるべく避けたいものです。
多少の費用がかかることがありますが、デザイン・印刷も安心して任せることができたら、その分得られるメリットもあるはずです。ネット印刷と印刷会社、どちらに依頼すべきかは、これらを参考にして、あなたにとって何を優先すべきかという観点から考えてみてください。

印刷会社選びのポイント

印刷会社によって、所有する設備や印刷方法も異なり、価格面においても冊子印刷を得意とする場合などさまざまです。
印刷会社に依頼する場合は、やはり一度依頼してみることが一番です。
もしそれが無理なのであれば、無料の見積もりを依頼してみてください
見積書の金額だけでなく、その時の対応の仕方に注目してみると、「その印刷会社が顧客とどのように関わるか」がわかるはずです。

印刷会社のここをチェック!

  • 見積提出や問い合わせたことへの回答が早いか
  • コミュニケーションが取りやすいか
  • 顧客の意見を大切に聞き取り、わかりやすく説明してくれるか
  • 御用聞きや伝書鳩営業ではなく、顧客の課題を考えて行動してくれるか
  • 成功事例の紹介、価格を抑えるための提案など、つねに顧客の利益を考えているか
  • 多様なデザインを提案する体制はあるか
  • 文章などの校正も依頼できるか
  • さまざまな案件に対応でき、印刷品質が安定しているか
  • 印刷会社の都合だけを考えて行動していないか

最後に

ネット印刷と印刷会社、それぞれには独自の強みと弱みがあります。自分の状況や目的を明確にすることで、最適な選択肢を見極め、より効果的な印刷物を実現することができます。
また、価格重視の場合でも、印刷会社がネット印刷と同等の価格で対応できる場合もあります。
一度相談してみると、思いがけない発見や最適な提案を得られることがあります。
ぜひプロの意見を取り入れ、納得のいく印刷物を実現してください。

\ 迷ったら、まずはご相談 /

迷ったら、プロに相談するのが最短の解決策!
ゼンリンプリンテックスは、無料相談を承ります。
用途やご予算に応じて最適なご提案をいたします。

ゼンリンプリンテックスについて

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この記事を書いた人

このお役立ち記事は、私がこれまでにお客様のプロモーション課題に取り組んできた経験や、お客様からお寄せいただいた質問をもとに執筆しています。印刷をデザインやマーケティングの観点も交えながら、読者の方に少しでも分かりやすくお伝えする事を心掛けています。