社史・記念誌の製本・装丁、用紙の選び方-見栄えがよいおすすめは?

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製本や装丁はよくある悩みのひとつ

社史記念誌の制作では、製本方法や装丁、その他の諸々の仕様(印刷用紙など)を検討しなければなりません。
しかし、出版や印刷の専門家でない限り、簡単に決められないことが多いものです。

担当より

装丁とは、本の表紙やカバーなどの外観を整える加工のことで、綴じた本に表紙をつけて仕上げる工程を指します。本の印象を決定づける重要な要素であり、デザイン性や高級感を演出する役割があります。
製本は、印刷された紙を綴じて本の形に仕上げる工程です。製本方法には、複数の選択肢があり、それぞれに特徴があります。

このような時には、経験豊富な印刷会社に相談し、目的や用途に応じた最適な仕様を提案してもらうのが理想的です。

例えばこのような仕様を提案(弊社の場合)

表紙タイプ/頁数 用紙 綴じ方 加工など
1.ハードカバー/156P 表紙:布クロス
本文:マット110K
糸かがり 見返し / 箔押し / ケース付き
2.ソフトカバー/212P 表紙:マットポスト220K
本文:マット70K
糸かがり 見返し / ガンダレ表紙 / マットPP貼り
3.ソフトカバー/90P 表紙:アートポスト200K
本文:マット90K
あじろ綴じ 見返し / マットPP貼り

しかし、近くにそのような会社がない場合や、まずは自分で情報を集めたいと思う方もいらっしゃるでしょう。
本記事は、このようなあなたの悩みを解決するために基礎知識とおすすめの製本方法や装丁について解説します。
この記事があなたのイメージを広げ、理想の社史・記念誌作りの参考になれば幸いです。

記念誌全般については、【完全ガイド】記念誌の作り方をご覧ください。
社史全般については、【入門編】社史作成の基本-作成方法までわかるをご覧ください。

ゼンリンプリンテックスは、社史・記念誌制作をお任せいただける総合印刷会社です

表紙のタイプを選ぶ

社史・記念誌の表紙にはハードカバーとソフトカバーがあります。
ハードカバーは強度に優れ高級感のある装丁に仕上げられた表紙で、その製本方法は「上製本」と呼ばれます。
ソフトカバーは通常の使用に十分な強度が持ちながらも、コストを抑えてつくられる表紙です。工夫次第で高級感を演出できます。ソフトカバーに仕上げる製本加工は「並製本」と呼ばれます。

①ハードカバー(上製本)

ハードカバーは、厚みのあるボール紙(板紙)を芯材として、布や紙などで表面を巻いて仕上げます。
高級感のある外観が特徴で、特に格式を重視する社史や記念誌に適しています。
丈夫で長期保存に適している一方で、重量があるため持ち運びには不向きです。また、多くの工程が必要となるため、費用と制作時間がかかる点も特徴です。そのため、特別な記念や重要な意味を持つ制作物に採用されることが一般的です。

  • 格別な高級感を演出できる
  • 耐久性に優れる
  • 費用は高め
担当より

ハードカバーの場合、表紙が本文より大きくなることも特徴のひとつです。
※本文(ほんもん/ほんぶん)とは書籍の主となる部分を指します。
記念誌の中心となる中身のページと考えてください。

②ソフトカバー(並製本)

ソフトカバーは、ハードカバーに比べやわらかい紙で出来ており、本文と同じ大きさで仕上がります。
ソフトカバーの社史・記念誌は、軽い仕上がりで持ち運びがしやすいうえ、比較的安価に製作できます。
ハードカバーほどの特別感はありませんが、通常の使用において耐久性は十分で、高級感も十分に出せることから、多くの社史や記念誌に採用されています。

  • 工夫次第で高級感を出せる
  • 十分な耐久性がある
  • ハードカバーに比べて安価
ハードカバーソフトカバー
耐久性優れている普通
費用高い安価
見た目高級感や特別感がある実用的だが高級感も出せる
重量重い軽い
※ハードカバーとソフトカバーを比較した場合
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綴じ方を選ぶ

社史や記念誌の製本は、印刷された本文の紙を折り重ね、それを綴じて表紙と合わせる、という手順で進められます。この工程では、本文の綴じ方が重要なポイントになります。
綴じ方には、おもに「糸かがり(糸綴じ)」「無線綴じ/あじろ綴じ」「中綴じ」が用いられます。

担当より

ちなみに、糸かがりや中綴じといった、糸や針金を使用して本文を固定する方法は「有線綴じ」、あじろ綴じなど接着剤(糊)を使用して本文を固定する方法は「無線綴じ」に分類されます。

(1)糸かがり(糸綴じ)

糸かがりは、印刷された本文を折り重ねた状態で、糸を使って縫い合わせて綴じる方法です。この製本方法は、本文が開きやすく、耐久性が高いという大きな利点があります。ただし、多くの工程を要するため、製本に時間と費用がかかるという欠点もあります。

糸かがり(糸綴じ)の図

(2)無線綴じ/あじろ綴じ

無線綴じは、印刷された本文の背をカットした断面(あじろ綴じの場合はスリット)から糊を浸透させて綴じる方法です。糸かがりに比べると耐久性が若干劣りますが、時間と費用面で優れています。

無線綴じの図解
無線綴じ
あじろ綴じの図解
あじろ綴じ

(3)中綴じ

中綴じは、表紙と本文を重ね、開いた背の部分を針金で綴じます。パンフレットでよく見られる綴じ方です。
社史・記念誌ではあまり用いられませんが、社内報周年特別号などで採用されます。

中綴じの図解
担当より

ハードカバーの社史・記念誌では、糸かがりがよく見られますが、費用の関係から、あじろ綴じが採用される場合もあります。
ソフトカバーの場合は、あじろ綴じが多いですが、糸かがりも採用されます。
なお、中綴じは比較的ページ数が少ない場合や簡易的なものに用いられます。

印刷用紙を決める

社史や記念誌を制作する際、印刷用紙の選定は非常に重要なポイントです。用紙の種類によって、仕上がりの見た目や質感が大きく変わるだけでなく、本の重さにも影響を与えます。

(1)本文用紙の選び方

カラー印刷の場合、コート紙やマットコート紙が主に用いられます。
コート紙は光沢があり、写真やイラストを鮮やかに表現します。一方、マットコート紙は光沢を抑えた加工で、上品な仕上がりを実現し、読みやすさも提供します。
また、一般的に、ソフトカバーでは90Kや110Kの厚さがよく選ばれますが、70Kの薄めの用紙を採用することもあります。

(2)表紙の用紙

表紙は冊子全体の印象を決める重要な要素であるため、本文よりも厚く、しっかりとした用紙を選ぶことが一般的です。
特にソフトカバーの場合、アートポストやマットポストが多く使用されており、その厚さは180Kから220Kが一般的です。

これらの用紙は、適度な硬さと耐久性を兼ね備えており、冊子の保護や高級感を演出するのに適しています。また、表面加工(マットPPやグロスPP)を施すことで、さらに質感や耐久性を向上させることが可能です。

表紙加工を選ぶ

表紙を加工することで、高級感を演出するだけでなく、冊子の耐久性を高めることができます。特に、長期保存を目的とする社史や記念誌では、加工方法の選択が仕上がりの品質を大きく左右します。

(1)人気のラミネート加工-ソフトカバーにおすすめ

弊社のお客様の多くは、ソフトカバーの表面にPP加工を採用されています。
この加工は、表面に薄いフィルムを施すことで、傷や汚れから冊子を保護し、長期間にわたって美しい状態を維持する効果があります。また、PP加工には次のような種類があり、目的やデザインに応じて選ぶことが可能です。

①マットPP加工(つや消し)

マットPP加工は、光沢を抑えた控えめな仕上がりが特徴です。指紋や汚れが目立ちにくく、手触りも滑らかで、高級感を演出します。この加工は、落ち着いた雰囲気や上品さを表現したい社史や記念誌に最適です。

②グロスPP加工(つや有り)

グロスPP加工は、光沢のある仕上がりが特徴で、鮮やかな色彩を引き立てます。写真やイラストをより美しく見せる効果があり、視覚的なインパクトを与えることができます。

担当より

PP加工を施すと、色が変化して見える場合があります。仕上がりの色については、事前に印刷会社と相談するようにしましょう。
弊社は、マットPP・グロスPP加工に対応しています。詳しくは当社の主要設備をご覧ください。

(2)布クロス:ハードカバーに

ハードカバータイプで特に人気があるのは、布クロスを使用した表紙です。布生地で表紙を覆うことで、上質な高級感、耐久性を兼ね備えた仕上がりを実現します。
その独特の手触りや落ち着いた印象は、特別な節目を飾る多くの社史や記念誌に採用されています。

(3)箔押し加工

箔押し加工は、表紙や背表紙にタイトルやロゴを金属箔で印字する方法です。
特に、ハードカバーの布クロス貼りやソフトカバーの高級仕様でよく採用されます。
この加工は、金箔や銀箔、ホログラム箔などを使うことで、高級感を演出し、特別な社史や記念誌に適しています。
ただし、箔押し加工では熱や圧力を使用するため、使用する印刷用紙やクロスとの相性が重要です。一部の素材では、接着が不十分になったり、思ったような光沢が出ない場合もあるため、事前に印刷会社と相談し、最適な素材を選ぶことが大切です。

見返しを選ぶ

見返しとは、表紙の内側に貼り付けて本文と接続するための紙のことです。表紙と本文を補強し、製本全体の強度を高める役割を果たしますが、保存性が重視される社史や記念誌の場合、ソフトカバータイプにも使われます。 見返しにはデザイン性を持たせることが可能で、色紙やオリジナルの絵柄を印刷することができます。

ブックケースを選ぶ

高級感あるブックケース

保存性や高級感をさらに高めたい場合には、ブックケース(箱)の使用がおすすめです。
ブックケースは、本そのものを外部からの汚れや傷から保護する役割を果たします。
特に、社史や記念誌などの特別な冊子では、ケース付き仕様が高級感を演出し、贈呈用としても最適です。
また、ブックケース自体にデザインや印刷を施すことで、冊子の個性を引き立てることも可能です。

ブックカバーを選ぶ

本と言えばブックカバーを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。記念誌でも表紙を保護する目的でブックカバーを付けることが可能です。特に、頻繁に扱われる冊子や保存性を重視する場合に効果的です。
また、ブックカバーや帯をデザインの一部として活用することで、記念誌全体の印象をさらに引き立てることができます。ブックカバーには、表紙全体を覆うデザインや、透明な素材で表紙のデザインを活かす仕様など、さまざまな選択肢があります。

おすすめは「がんだれ表紙」!表紙がブックカバーに?

がんだれ表紙は、表紙の端を内側に折り返す独特の製本方法で、おしゃれさと高級感を演出します。
ブックカバーのような見た目が特徴ですが、取り外しはできません。
社史や記念誌など、特別感を求める冊子にぴったりの表紙仕様です。

担当より

がんだれ表紙は、漢字の部首「厂(雁垂)」が由来とされています。
別の言い方では、小口折り表紙とも言います。

おすすめの仕様3選

<おすすめ①>特別な周年記念にふさわしい格式高い記念誌

布クロス仕上げのハードカバーは格式を高め、特別な周年記念を彩る一冊に仕上がります。
さらに、ケース付きの仕様や見返し、糸かがり綴じ、箔押し加工を施すことで、保存性と美観を兼ね備えた仕上がりとなり、その価値を保ちます。
「特別な周年記念」にふさわしく記憶と感動を後世へと伝える一冊となるでしょう。

プレミアム仕様の例

タイプ: ハードカバー
頁数: 156P
表紙: 布クロス
本文: マット110K
製本: 糸かがり
加工: 見返し、箔押し、ケース付

<おすすめ②>コストバランスを考えた特別仕様

ガンダレ表紙と見返しが高級感をプラスしつつ、糸かがりによって優れた耐久性を確保しています。
さらに、表紙にはマットPP 加工を施し、汚れや傷を防ぎながらも落ち着いた上品な高級感を演出します。
コストバランスに優れたこの仕様は、配布用にも保存用にも適しており、特別な記念誌としてご活用いただけます。

スタンダード仕様の例

タイプ: ソフトカバー
頁数: 212P
表紙: マットポスト220K
本文: マット70K
製本: 糸かがり
加工: がんだれ表紙、見返し、マットPP貼り

<おすすめ③>シンプルながらも高品質に

コストパフォーマンスに優れながらも高品質な仕様です。
表紙にはアートポストを使用し、カラーや写真を鮮やかに引き立てながら、マットPP 加工で耐久性と上品な高級感を実現。
さらに、あじろ綴じを採用することで製本の強度を確保し、長期間の使用にも対応します。
親しみやすさと品質を両立したこの記念誌は、シンプルながらも高い完成度を誇ります。

コスパ仕様の例

タイプ: ソフトカバー
頁数: 90P
表紙: アートポスト200K
本文: マット90K
製本: あじろ綴じ
加工: 見返し、マットPP貼り

担当より

それぞれの制作タイプともに、お客様のご要望に応じて見積額は変動します。
まずはご相談いただき、概ねの費用をつかむことをお勧めします。

お役立ち資料
「記念誌制作プランの比較と選び方」
制作プランの選び方、比較一覧表、FAQ付き

最後に

社史や記念誌の印刷や製本には、様々な選択肢があり、どれを選べば良いか迷ってしまうこともあるでしょう。
しかし、この記事で紹介したポイントを参考に、印刷会社とよく相談することで満足のいく社史や記念誌をつくることができます。
記念誌制作に関するご相談がありましたら、まずは弊社までお問い合わせください。
「お客様にとって最良」を目指して伴走いたします。

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この記事を書いた人

このお役立ち記事は、私がこれまでにお客様のプロモーション課題に取り組んできた経験や、お客様からお寄せいただいた質問をもとに執筆しています。印刷をデザインやマーケティングの観点も交えながら、読者の方に少しでも分かりやすくお伝えする事を心掛けています。