政府や自治体では、「グリーン購入法」に基づき、環境に配慮した印刷物を優先的に調達する取り組みが進んでいますが、一方で民間企業でも、CSRやSDGsの一環として環境配慮印刷を取り入れる動きが広がっています。
しかし、いざ環境に配慮した印刷物をつくろうとしても、「具体的な方法がわからない」という声が多いのが現状です。
本記事ではそのような声にこたえるために、あらためて「環境配慮印刷」とは何かを整理しながら、グリーン購入法や森林認証紙、LIMEXなどの環境対応素材や制度を紹介していきます。
「環境配慮印刷」が求められる背景
企業活動における「環境配慮」は、いまやCSRや経営戦略の一部として欠かせない要素となりました。
その背景には、SDGs(持続可能な開発目標)やカーボンニュートラルなど、地球温暖化対策に対する国際的な取り組みの広がりがあります。
その流れを受け、印刷物についても環境配慮が前提となる時代になっています。国を中心に「グリーン購入法」により環境対応が義務化・推奨され、民間企業でもESG経営やサプライチェーン全体での環境負荷削減を目的に印刷物の基準を見直す動きが進んでいます。

ESG経営は、企業が環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の3つの観点から長期的な経営を目指すものです。
メリットは、企業ブランドと社会的信頼の向上
環境に配慮した印刷物を採用することは、自社が環境意識の高い企業であることを目に見える形で示すことにつながります。例えば、パンフレットなど社外に向けて発信する印刷物において、環境配慮の取り組みを反映させることで、企業姿勢をわかりやすく伝える効果が期待できます。
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環境配慮印刷とは?3つの視点で考える
1.素材(紙やインキなど)
環境に配慮した印刷でまず取り組みやすいのは、「素材」を環境に配慮したものにすることです。再生紙、森林認証紙(FSC®認証紙など)、ベジタブルインキ(植物油インキ)など、環境負荷の少ない素材を使うことで、資源循環や森林保全に貢献できます。
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2.工程(印刷物の製造プロセス)
出来上がった印刷物だけでなく、その印刷物を“つくる過程”での環境負荷低減も重要な視点のひとつです。印刷会社が使用する設備、印刷会社が取得している第三者認証(ISO14001など)を参考に、その会社が製造工程においてどのように環境に向き合っているかを確認できます。
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3.制度(社会的基準)
環境対応は制度面からも求められています。代表的なものが「グリーン購入法」で、国などが物品を調達する際に、環境基準を満たす製品やサービスを優先的に選ぶことを定めており、印刷物もその対象に含まれています。企業の印刷発注でも、この基準を参考にすれば、法令に準じた信頼性の高い環境対応を実現できます。
<グリーン購入法>
正式名称は「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」で、2001年に施行されました。国や自治体などの公的機関は、物品・サービスを調達する際、環境負荷の少ないものを優先的に選ぶことが義務づけられています。印刷物では、パンフレット、報告書、ポスターなど紙を使用する多くの製品が対象となっています。公的機関の発注だけでなく、民間企業が環境方針を定める際にもこの法律が参考にされることがあります。
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次章では、発注担当者が実務で押さえておきたい、環境配慮のポイントを見ていきます。
発注担当者が押さえておきたい環境配慮印刷のポイント
環境に配慮した印刷物をつくる際のポイントは、「何のために」「何を選び」「どう確認するか」を整理することです。
これらが整理されていないと、取り組みの方向性が曖昧になり、環境配慮の意図が十分に反映されない印刷物になってしまいます。
1.なぜ取り組むのかを社内で共有する
まず大切なのは、「なぜ印刷物に環境配慮を取り入れるのか」を社内で共有することです。
それがブランドの向上のためなのか、CSR・SDGsの一環として継続的に取り組むのか。
目的を明確にしておくことで、発注時の選択や指示にブレが生じにくくなります。
2.印刷会社と環境対応の意図を共有する
発注先の印刷会社に、環境配慮の意図を具体的に伝えることが重要です。
例えば、森林認証紙や再生紙の使用希望、グリーン購入法にあった仕様での見積依頼などを、早い段階で「相談ベース」で共有するとスムーズです。
印刷会社にとっても、要件が明確なほど代替案や提案がしやすくなり、結果的に品質・納期・価格のバランスがとれた最適なプランにつながりやすくなります。
3.印刷会社の環境体制が整っているかを確認する
印刷物の環境対応を確実に進めるには、発注先の印刷会社がどのような環境マネジメント体制を整えているかを確認することも欠かせません。いくら環境にやさしい印刷用紙を使用しても、それを使用して製造するプロセスが環境を無視したものでは本末転倒ともいえるからです。
その代表例が、ISO14001(環境マネジメントシステム)です。ISO14001は、企業が環境負荷を継続的に削減する仕組みを構築・運用していることを第三者が認証する国際規格で、印刷会社が環境リスクを把握し、改善を続ける体制を持っている証明になります。

ISO14001は、グリーン購入法に基づいて定められた調達基準「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」(環境省)で、事業者が環境保全の取り組みを実施・管理するための仕組み(環境マネジメントシステム)の例として挙げられています。
4.印刷物に環境配慮の表示を入れられるか検討する
印刷物における環境配慮の取り組みを社内外に伝えるためには、認証マークや環境表示を適切に入れることも効果的です。これらのマークを印刷物に表示することで、社外への説明責任を果たすだけでなく、“見える化”することができます。ただし、マークの使用にはそれぞれ認定条件・申請手続きがあり、印刷会社側の認証登録が必要な場合もあります。
5.グリーン購入法を参考にしてみる
「環境配慮印刷に取り組みたいけれど、何を基準に考えればいいのかわからない」
そんなときは、まず国の取り組みを参考にしてみるのがおすすめです。
「グリーン購入法」の基準は、環境に配慮した印刷物を判断するうえでの“信頼できる目安”になります。
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ここまで、環境配慮印刷の考え方や進め方を整理してきました。
では実際に、最初の一歩として何から取り組めばよいのでしょうか。
最も手軽で効果的なのが「用紙の選び方」です。
まずはココから!印刷用紙で簡単に環境対応
「環境配慮印刷に取り組みたいけれど、何から始めればいいかわからない」
そんな方にまずおすすめしたいのが、印刷用紙の選び方です。印刷する紙の種類を変えるだけで、手軽に環境配慮を実践できます。
- 森林認証紙(FSC®認証)
森林認証制度により容認された木材を原料としており、企業の会社案内など「環境配慮の姿勢を示したい印刷物」に特に適しています。また、FSCマークを印刷物に表示することも可能で、環境配慮への取り組みを“見える形”で発信できます。
参考記事:【FSC認証とは?】森林認証の基本 - 再生紙
古紙を再利用して製造される紙 - LIMEX(ライメックス)
石灰石を主原料とした紙代替となる素材、水や木材の使用を削減できる
参考記事:LIMEX(ライメックス) とは?
よくある質問(FAQ)
グリーン購入法は、国や自治体などの公的機関に対して「環境に配慮した製品・サービスを優先的に調達する」ことを義務づけた法律です。
民間企業には法的な義務はありませんので、基準を満たしていない印刷会社に依頼しても問題はありません。ただし、近年はCSRやESG経営の観点から、グリーン購入法の基準を参考に発注方針を定める企業が増えています。環境配慮印刷を検討する場合は、ISO14001などの環境認証を取得している印刷会社に相談すると安心です。
FSC認証ラベルは、印刷会社が該当する認証を取得している場合にのみ使用できます。使用には申請や校正提出などの手続きが必要なため、事前に印刷会社へ相談してください。
はじめのステップとしては、「印刷用紙を見直す」ことが取り組みやすくおすすめです。森林認証紙を選ぶだけでも、十分に環境配慮への第一歩になります。
最後に:印刷物からはじめる、持続可能な取り組み
環境配慮印刷は、企業の姿勢を“形にして示す”取り組みでもあります。
用紙の選定やマークの表示など、身近なところから始めるだけでも十分な一歩になります。
社内の共通認識を整え、信頼できる印刷パートナーとともに、持続可能な印刷を実現していきましょう。
環境に配慮した印刷は、ゼンリンプリンテックスにお任せください
| 社名 | 株式会社ゼンリンプリンテックス |
| URL | https://zpx.co.jp/ |
| 設立 | 1947年 9月 |
| 事業所 | 東京、福岡、熊本 |
| 関係会社 | 株式会社ゼンリン、株式会社ゼンリンデータコム、株式会社ジオ技術研究所など 関係会社一覧 |

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