そのチラシの目的は何ですか?
チラシを「つくること」「配付すること」自体になってしまうケースはよくあります。
これが起こる原因にはいくつかの要素が考えられます。
- 明確な目的やゴールが定まっていない
「なぜチラシを作るのか」という本来の目的が曖昧なまま制作に取りかかると、ただ制作して配ることが目的化しがちです - ターゲットやメッセージが不明確
誰に何を伝えるべきかが曖昧だと、チラシの内容が一般的でありきたりなものになり、単に「つくって配る」だけの行為になりがちです - デザインや制作のプロセスが目的化してしまう
チラシ作成の過程でデザインやレイアウトの見え方に集中しすぎると、目的である「効果的なメッセージ伝達」よりも、「美しい見ためを完成させること」が優先されがちです
効果的なチラシをつくる上で、目的を見失わず達成に近づけようとすることは大変重要です。
そして、その目的を達成するために力を発揮するのがデザインの力です。
本記事では、効果的なチラシをつくるための方法として、チラシをつくる目的やそれを達成するためのデザインについて、具体的な改善例を交えて解説します。
効果的なチラシとはどのようなもの?
はじめに、一般的なチラシの役割や目的について確認していきましょう。
チラシの役割
チラシの代表的な役割としては、次のようなものが挙げられます。
- 新規顧客への認知度向上
接点がなかった人に商品やサービスの存在を知らせる役割です。チラシは、企業の存在や提供する価値を幅広く知らせる手段として効果的です。 - 既存顧客や休眠顧客とのタッチポイント
過去に接点があった顧客に再度アプローチするためのタッチポイントとしての役割です。新商品やキャンペーン情報を定期的に提供することで、既存顧客にリピート利用を促し、顧客との関係を強化します。 - ブランドイメージの構築
企業のブランドを伝え、信頼感や価値観を形成する役割もあります。視覚的なデザインや一貫したメッセージにより、企業や商品のブランド価値を印象づけ、顧客との関係を深めます。 - 商品やサービスの詳細説明
チラシは、商品やサービスの特徴、メリット、価格、利用方法などを伝える情報源としての役割も担っています。
チラシの目的
例えば、スーパーマーケットのチラシを見た人が店舗に来店してもらうこと、商品やサービスの魅力を伝えて資料請求してもらうこと、店舗の存在を知って来店してもらうこと、マンションや住宅のチラシをみてモデルルームや展示場に来場してもうことなどがあります。
つまり、チラシのおもな目的は、ターゲットに商品やサービスの情報を伝え、興味や関心を引き、何かしらの行動を促したり態度を変容させることと言えます。
効果的なチラシは目的を果たすもの
効果的なチラシをひと言で説明すると、目的を達成できるチラシと言えます。
チラシの役割は目的を達成するための方向性を示し、効果的なチラシはその役割を果たすための最適な手段になります。
ですから、チラシを作る際は、この目的を明確に定義し、それを達成するための最適なデザインが必要となるのです。
効果的なチラシをつくるためのデザイン
効果的なチラシのデザインは、単に見た目を整えることではなく、チラシを通じて目的を達成するための「伝達力」と「行動喚起力」を備えた構成を作り上げることと考えることができます。
そして、効果的デザインにするためには、次のことを考慮するようにします。
1. 目的の明確化
チラシのデザインは、まず「目的」によって形作られます。目的があることで、デザインの方向性が定まり、この目的に応じて、チラシが果たすべき役割が決まります。そして、これを基にして、どのようなメッセージや構成が最も効果的かを逆算してデザインが組み立てられます。
2. 伝達力の最大化
チラシのデザインには、情報を明確に伝え、ターゲットが迷わず理解できるようにする「伝達力」も求められます。
ターゲットの興味やニーズを理解し、それに合ったメッセージやビジュアルが、すぐに目に入ることを意識することが大切です。伝達力が高いデザインとは、ターゲットにとって必要な情報、伝えたい情報が自然と入ってくるデザインと言えます。
3. 行動を引き出す設計
効果的なチラシのデザインは、ターゲットに行動を促す導線として機能します。
ターゲットがチラシを見て「次に何をすべきか」を直感的に理解できるようにすると良いでしょう。
そのために、チラシの内容がどのような行動に結びつくべきかを意識し、誘導を視覚的に設計することで、単なる情報提供にとどまらず行動促進につなげます。
4. 視覚的な一貫性とブランド価値
チラシは、企業やブランドの価値をターゲットに伝える手段でもあります。
ブランドとしての一貫性や価値観が反映されていることも重要です。一貫性を保つことで、ターゲットに信頼感や安心感を与え、印象の強化にもつながります。
5. ターゲット視点に立った「共感」を生むデザイン
効果的なチラシは、ターゲットに共感を生むデザインであることが重要です。
ターゲットの関心や悩みに対し、「この商品(サービス)が必要だ」と感じさせる必要があります。
これらの考え方を基に、効果的なチラシデザインは、単なるデザイン作業ではなく、目的に応じた戦略的なコミュニケーションの設計として捉えることが重要です。
そうすることで、チラシは、デザインの力でターゲットに価値を届け、行動を促すマーケティングツールへと変わります。
〈ケーススタディ〉
チラシ改善の具体的な事例分析
(Before)現状のチラシ
従来のチラシデザインが効果的ではなく、顧客からの反応が芳しくないという課題を抱える、あるマンション販売会社を例に考えてみます。チラシを見てみましょう。改善すべき点はどこにあるでしょうか。
あなたはどのように感じましたか?次の点に注目してもう一度ご覧ください。
現状の課題
- レイアウトが単調で、読者の視線を誘導できていない。
- 次の行動を取らせるための誘導ができていない
- 視覚的な階層化ができておらず、訴求ポイントがわかりにくい
言葉で言われてもわかりにくいかもしれませんので、次は改善後のチラシをご覧いただきます。
(After)チラシ改善後
いかがですか?随分見え方が変わったのではないでしょうか。
このチラシデザインは、課題を解決のために、次のような改善策を実施しました。
- 来場特典やQRコードを追加し、チラシを見た人が次の行動(来場予約、資料請求)を取りやすくする
- 特徴を示す写真やロゴを追加、視覚的な訴求力を向上させる
- ①情報を視覚的に整理し、重要な要素を目立たせる
②Z型に視線を誘導する
もちろんこれは一例に過ぎません。目的や目指すゴール、ブランドなどお客様によって答えは違います。
そして、それが正解かどうかをはかる一番わかりやすい方法は、来場者数が増えた、資料請求が増えたなどの結果をみることです。結果につながらない場合は、再度その原因を分析し、次のアプローチを図ります。
※デザインは課題解決の手段のひとつです。チラシの配布先や方法などの最適化も考えると良いでしょう
【参考】使用している改善テクニック
視線誘導
視線誘導とは、視線を意図的に誘導することで、重要な情報を効果的に伝え、行動を促すテクニックです。
このチラシでは、視線は一般的に左上から右下へとZ型に移動する傾向があるため、この法則を意識したレイアウトにしています。
意図した順序で情報を伝え、最後には行動を引き出せるように設計されています。
視覚的階層
視覚的階層の設定により、情報の重要度に応じて見せ方にメリハリをつけます。
これにより、見る人が「どこを最初に読むべきか」「何が重要なのか」を直感的に理解できるようになります。
視覚的階層を設定することで、情報が整理され、チラシがさらにわかりやすくなります。
デザインテンプレートを使用する際の注意点
昨今は、デザインテンプレートを使用することで、誰でもチラシを作成しやすくなりました。
テンプレートの中には、先に述べたデザイン技術を前提に作られてものもあります。
しかし、テンプレートはあくまでもテンプレートです。
本記事をお読みいただいた皆さまもお気づきかと思いますが、チラシのデザインにおいて大切なのは、「そのデザインが目的を達成するために本当に適しているか」を確認することです。
見た目が整っている、かっこいいというだけでテンプレートを選んでしまうこともあるかもしれませんが、本来の目的に沿ったデザインであることが重要です。
ぜひこの記事の内容を参考にして、目的を意識しながらターゲットに響く効果的なチラシづくりに役立ててください。
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このお役立ち記事は、私がこれまでにお客様のプロモーション課題に取り組んできた経験や、お客様からお寄せいただいた質問をもとに執筆しています。印刷をデザインやマーケティングの観点も交えながら、読者の方に少しでも分かりやすくお伝えする事を心掛けています。