小学校記念誌の作り方|周年・閉校記念誌の構成からデザイン・印刷まで徹底解説

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小学校の記念誌は、児童や卒業生、保護者、教職員、そして地域の方々にとって、長く手元に残る“大切な宝”になります。
そのため、記念誌制作の担当者は「良いものにしたい」という思いで、作り方を調べたりしますが、同時に、さまざまな準備や調整に頭を悩ませることになります。

さらに、記念誌は一度発行すると差し替えができないため、内容チェック(校正)には細心の注意が必要です。“名前の漢字が違う”“写真が入れ替わっていた”などのミスは許されず、プレッシャーを感じる方も多いでしょう。

この記事では、こうした負担や不安を少しでも軽減できるよう、小学校の記念誌制作を担当する方に向けて、押さえるべきポイントをわかりやすく整理しました。
記念誌づくりに取り組む皆さまの力になれば幸いです。

この記事を書いた人

本サイトは、株式会社ゼンリンプリンテックスが制作・運営しています。
本記事は、ゼンリンプリンテックスの、社史・記念誌制作のノウハウ・経験をもとに執筆しました。

記念誌の基本について知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。

小学校の記念誌で代表的なものは「周年記念誌」と「閉校記念誌」です。それぞれの特徴は次のとおりです。

周年記念誌(創立◯周年)

周年記念誌は、学校の節目となる年に発行されるものです。
学校の歩みを振り返り、地域とともに築いてきた歴史、児童の様子、教育の変遷などをまとめます。
周年記念誌は、単なる思い出アルバムにとどまらず、学校の価値や歴史を「後世に残す」資料としての役割を持ち、過去・現在・未来をつなぐ架け橋となる冊子です。

閉校記念誌

閉校記念誌は、学校が統合・廃校となる際に発行されるもので、学校の歴史を記録するだけでなく、地域の記録としての性格も持っています。地域の教育の歩みや、児童・卒業生・住民の思い出を後世に残すため、近年では閉校記念誌の制作が増えています。

  • 未来へつなぐメッセージ
    言葉は、読み返したときに心の支えとなる“未来への贈り物”になります
  • いまを映す思い出
    子どもたちの表情や行事の熱気。その瞬間の“いま”を切り取って残す、感情の記録としての役割を持ちます
  • 過去を書き留める記録
    学校の歴史や行事、活動の歩みを、客観的な記録として残す資料の役割を持ちます

ここでは、実際の記念誌でよく使われる内容や構成例をご紹介します。
記念誌の目的によって異なりますが、基本的には次のような項目で構成されます。

1.表紙

記念誌の顔となるページ。学校のシンボルカラーや校舎の写真、児童の集合写真などがよく使われます。閉校記念や周年記念ではドローン撮影の校舎写真も人気です。

2.目次

記念誌全体の構成を示すページ。特にページ数が多い周年記念誌では、読者が内容を把握しやすくするため必須となります。

3.校歌・校章・校舎写真

学校を象徴する要素をまとめて掲載します。校舎の外観、校章、校歌の歌詞・楽譜などを掲載することで格調と統一感が生まれます。

4.あいさつ

校長先生、PTA会長、実行委員長などからのあいさつ文を掲載します。記念誌の冒頭を彩る重要な要素です。

5.寄稿文・祝辞

首長・教育長、関係者からの寄稿文を掲載します。学校が地域とともに歩んできた歴史が伝わるため、周年記念や閉校記念で特に重視されます。

6.学校生活・行事・施設・卒業記念制作などの紹介

学校の日常や特色を伝えます。運動会・学習発表会、遠足などの行事や卒業記念制作の紹介など、写真を中心に構成することで、視覚的に印象に残るページになります。

7.思い出(卒業生・先生からの寄稿)

卒業生など過去に関係していた人々が“いまの視点”から当時を振り返ることで、読者の心に残る温かいページとなります。感情のこもった思い出は、記念誌の価値をいっそう高めます。

8.座談会

複数の語り手による対話を記事にします。同世代はもちろん世代や立場の異なる人が語り合うことで、その時代の空気感や学校の魅力が臨場感を持って再現されます。

9.これまでのあゆみ(歴史・年表)

学校の歩みを時系列で整理するページ。年表や歴代校長一覧、卒業生数の推移などを資料性の高い記録としてまとめます。

10.記念式典・記念品・協賛紹介

周年記念事業や閉校式典の内容、記念品の紹介、協賛企業・団体の一覧などを掲載します。

小学校記念誌の制作は、関係者が多く、準備項目も多岐にわたるため、思わぬトラブルが起こりやすいものです。
ここでは、特に注意すべきポイントをご紹介します。

①原稿・素材収集の遅れ・不備は致命的

記念誌づくりで最も多いトラブルが原稿や写真が集まらないことです。
素材収集が遅れると、そのまま制作の遅れにつながり、場合によっては発行が間に合わず配付予定日に間に合わないケースもあります。そのため、トラブル前提で余裕を持ったスケジュールを組むことが欠かせません。

最悪のケースは、不備に気づけないまま印刷してしまうこと

写真素材を準備して「これで安心」と思っていても、実はそこにもトラブルが潜んでいる場合があります。
そのまま印刷に使用すると、写真が粗い、暗い、色がくすむなど、意図しない仕上がりになることがあるため注意が必要です。
また、自分たちでデザインデータを作成し、ネット印刷へ入稿するという選択肢もあります。
最近では誰でもデザイン・レイアウトできるツールが増えましたが、やはりそこにもトラブルがつきものです。Wordで作った書類をプリンターで出力するのとは違い、もしデータに不備があれば、レイアウトがずれる、画像が粗い、フォントに置き換わるなど取り返しのつかない結果になる可能性があります。

原稿・素材でよくあるトラブル

  • 原稿が集まらず制作が進まない
  • 写真の色が悪い・粗い
  • 自分でレイアウトしようとしたが、データ不備で印刷できない

②良いデザインでも、印刷が最適でないと価値は再現されない

記念誌のデザインがどれほど優れていても、用紙選び・製本方法・表紙加工・印刷品質が最適でなければ残念な仕上がりとなってしまいます。記念誌の最終的な見え方・印象は印刷工程で決まると言っても過言ではありません。
だからこそ、デザインと並行して印刷に関してもしっかり検討することが重要です。

  • 色の再現性が低く、デザインの世界観が崩れる
  • 用紙の選択を誤り、質感や読みやすさが損なわれる
  • デザインの意図が再現されず印象が弱くなる

小学校の記念誌は、手にとって開いてもらうための魅力的なデザインだけでなく、幅広い年齢層が読むため誰にとっても読みやすい工夫が必要です。表紙デザインを考えるときは、学校らしさが伝わることを中心に据えていることが基本です。
その他にも、次のポイントを意識するとよいでしょう。

表紙は“記念誌の印象を決める顔”

表紙は記念誌を手にとった際の第一印象を左右し、「大切な一冊として保管したくなるかどうか」を決めるほど重要な要素です。表紙デザインは、学校らしさが伝わることを“中心に据えて”次のように考えてみてください。

  • 学校らしさが伝わること
  • 品位・重みが伝わる
  • 何を強調するか明確になっている

デザインにはルールがある

デザインは感覚やセンスだけでつくるものではありません。実は、デザインにはルールがあります。読みやすい記念誌にするためには基本ルールを押さえておきましょう。

  • 余白は“空き”ではなく“整理するためのスペース”
    詰め込むほど読みづらくなります。
  • 視線の流れを意識する
    読みやすい誌面は、視線が自然に流れるように設計されています。
  • フォントは多用しない
    使用フォントをあらかじめ決めておく
  • 写真はデザインの一部
    どの写真を選び、どのように配置するかによって、ページ全体の印象は大きく変わります。

これらの他に、デザインの基本原則を意識するようにしましょう。

制作に必要な期間は内容によってかなり異なります。ここでは一例として1年で作成する場合を見ていきます。

編集委員会立ち上げ・企画立案(12ヶ月前)
  • 目的を決める
  • ページ数・仕様・予算
  • 発行日

※この段階で、制作パートナーとなる会社を決めておくことをおすすめします。この段階からサポートしてもらえるからです。

ページ構成・役割分担決定(11ヶ月前)
  • 目次案を作る
  • 原稿、写真集めの担当を決める
  • 内容確認(構成)責任者決定
原稿収集・デザイン案決定(10~7ヶ月前)
  • 校長/PTA/来賓の寄稿依頼
  • 卒業生コメント依頼・回収
  • デザイン案の決定
編集・レイアウト(6~3ヶ月前)
  • デザイン制作
  • 写真補正
校正(2~1ヶ月前)
  • 色校正をおすすめ
  • 印刷仕様の最終確認
印刷・製本

記念誌の制作を依頼する場合は、一般的な冊子制作とは異なるノウハウが必要です。
最低限、次のポイントを押さえるようにします。

  1. 学校案件の制作実績があるか
  2. デザイン力:魅力を“伝わるカタチ”に変換できるか
  3. 印刷品質に責任を持てるか(用紙選定・色再現など)
  4. 予算に応じて制作プランを提案できるか
  5. 相談しやすいか(担当者の対応力)
Q
いつから準備を始めればいいですか?
A

遅くとも発行の1年前を目安にしてみてください。ただし、内容によってはかなりタイトなスケジュールになりますので、出来ればもっと余裕をもって準備を進めることをおすすめします。

Q
印刷だけお願いできますか?
A

もちろん可能です。ゼンリンプリンテックスの場合、ご希望に応じてご予算にあわせて仕様のご提案も可能です。

Q
費用はどれくらい?
A

ページ数・部数・仕様に加え、制作会社のサポート内容によって大きく変動します。価格だけで比較すると、後々困ったことになる場合もありますので、まずは無料相談を利用してみることをおすすめします。

小学校記念誌は関係者が多く、スケジュールもタイトになりやすいプロジェクトです。
最後に、制作で失敗しないコツをご紹介しますのでぜひチェックしてください。

  • 目的を先に明確にする
  • 素材収集は「締切と担当」を明確化する
  • 校正は必ず複数人で行う
  • 制作経験者に相談する

記念誌のご相談は、ノウハウと実績のゼンリンプリンテックスへ

社名株式会社ゼンリンプリンテックス
URLhttps://zpx.co.jp/
設立1947年 9月
事業所東京、福岡、熊本
関係会社株式会社ゼンリン、株式会社ゼンリンデータコム、株式会社ジオ技術研究所など
関係会社一覧

当社は、株式会社ゼンリン(東京証券取引所プライム市場)のグループ会社です

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