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カタログ作成の基本とコツがわかる
はじめに― カタログ作成を担当する方へ
これまでにお客様の多くの印刷物作成に携わってきましたが、その中でもカタログ作成は本当に大変な業務だと思います。
多くの情報が掲載されるカタログの作成には、原稿作成・台割作成・校正(掲載内容のチェック)など、カタログ担当者にはとても大きな負担となっているのです。
でも、仕方ないとあきらめる前に!
本記事では、長年カタログ作成で苦労してきた、あるお客様の事例をもとに、「カタログ作成担当者の負荷を軽減し、効率化する方法」についてご紹介します。
カタログ作成担当者が抱える悩みとは?
そしてその解決方法とは?
カタログ作成でお悩みの方には、ぜひ読み進めていただきたい記事です。
商品カタログ3冊に加え、パンフレット等も同時に作成するお客様
商品カタログを年2回発行している小売業のお客様。
一度のカタログ発行で、企画(コンセプト)ページを含む240ページ、約2,000点の商品を扱う[総合カタログ]と、掲載商品を減らし80ページに再編集した[縮小版カタログ]、さらに別のカタログをもう一冊、合わせて3冊のカタログを同時に発行しています。
制作期間はたった2ヶ月間しかない中で、カタログの他にも、チラシやパンフレットの作成も行っています。しかもカタログの担当者は専任ではなく、通常の業務も兼任されており、まさに多忙を極めるという状況でした。
- お客様の業種
- 小売業
- 作成するカタログ
- 商品カタログ3冊をほぼ同時進行で作成
- その他、パンフレット・チラシも同時に作成
- カタログに掲載する商品数
- メインとなる総合カタログには、2,000点以上の商品を掲載
- カタログ作成期間
- 2ヶ月(年間では2ヶ月×2回の計4ヶ月)
カタログ作成担当者が抱えていた悩み
このお客様は、「カタログを短期間で作ることはとても大変なことだが、絶対に手を抜くことが出来ない大切な業務」と考えていました。カタログによって売り上げが左右されることがわかっているからです。
カタログ作成の上で一番避けたいのは、カタログを作ることが目的となり、本来注力すべきことに意識が向けられないという状況ですが、お客様はこのことをよく理解されていました。
お客様のカタログ作成業務を省力化するために、お客様の業務やプロモーション全体の理解、カタログ制作フローにおける問題点や内的・外的要因の確認、ボトルネック(全体に影響を及ぼしている箇所)の特定などと進めていきます。
このケースでは、お客様があまりに多忙を極め、あらためて時間を設けることが難しかったため、従来のやり方で実際にカタログを作成業務を進めていただきながら、一つひとつ確認していきました。
次に、お客様が抱えていた悩みを見ていきましょう。
原稿作成での大きな負担
- 原稿はエクセルで作成している
- 出先から事務所に戻り自分のPCからでないと、原稿作成ができない
- メーカーからの資料(商品提案書など)をみて商品情報をエクセルに入力する
- 前回のカタログと同じ商品の場合は、前回のエクセルデータからコピーする
古いデータを使用して先祖返りとならないよう、コピー元のデータが最新か、商品マスタと相違がないか、常に注意を払う必要がある - 出来上がった原稿を印刷会社に渡した後に、商品を追加する場合や、商品内容に変更が生じた場合、その都度印刷会社にデータを渡さなければならない
このように原稿を作ることに大変な時間と手間を要し、神経をすり減らしていました。
商品のコマ割り(台割)作成にかかる労力
商品を紙面のどこに配置するかを指定するコマ割りは、実際のレイアウト作業の原稿となるだけでなく、商品の配置によって売れ行きが左右することもある重要なものです。
- エクセルで管理している
- 掲載商品が変更されるたびに、大変な労力を要してコマ割り(台割)も最新の情報に更新している
- 商品原稿とコマ割り(台割)で、内容がいつの間にか合わなくなり混乱する
- 内容変更の把握、整合性をとるのが大変
- 掲載商品は複数の部門から出されるため、部門間の調整や変更内容の把握が頻繁に必要となっている。また、ほぼ毎日、整合性をとるための調整を行っている
- 印刷会社とのやり取り、打合せが大変
- このような変更があるたびに、印刷会社に最新の情報を渡し、打ち合わせを行っている
社内または取引先との校正のやり取りが繁雑
- カタログ1冊につき、取引先は数百社
- カタログには多種多様な商品を掲載するため、メーカーや卸売会社など取引先は数百社におよぶ
- 校正(掲載内容の確認)に時間がかかる
- カタログ掲載内容の確認のために、多数の宛先にPDFをメールで送付、もしくは対面で数日間かけて数百社の取引先と確認を行っている
- 社内の確認業務も大変
- 取引先だけでなく、社内にも多くの関係者がいるため、校正依頼や修正指示の受け取りに苦慮している
- 校正内容のとりまとめに苦労、ミス発生も
- 文字や写真の変更を取引先から大量のメールで受け取り、さらにそれを修正指示原稿として取りまとめなければならない
- その結果、メールでの見落としや修正指示モレが発生することも
カタログと商品マスタの整合をとる-手間とリスク
カタログを作成する過程で発生する、多くの商品情報の変更。
カタログ紙面はもちろん、限られた時間の中で、商品マスターも確実に変更していかなければなりません。
- カタログと商品マスター、両方に必要な修正指示
- 取引先から変更指示を受け取ったら、カタログ修正のための指示を行い、同時に商品マスターに変更を加えるという二度手間が発生している
- 修正モレというリスクと、常に隣合せの状態
担当者は、他の業務と兼任-手が回らない
そして、カタログ制作に携わるスタッフは通常の業務と兼任することが多く、通常業務に加えて、カタログ制作に関わる業務(原稿作成・カタログの企画・コマ割り(台割)作成・校正・スケジュール管理・社内調整、商品マスタの作成など)を行うことになります。
その結果、どの業務にも神経が行き届かなくなったり、スケジュールの遅れが発生し、予定していた納期に間に合わなくなることもあります。
カタログ作成の課題を解決した、具体的な方法
このような多大な手間とリスクの下で行うカタログ作成業務の改善に向けて、次の3つの側面からアプローチしました。
- 原稿や台割作成を省力化する
- 原稿・台割・校正などの情報を、一括管理・共有する
- データを二次利用する
具体的には次のような方法です。
①WEB原稿入力・管理システムの導入
事務所に戻らないと入力ができない、商品マスタや原稿入力用などたくさんのエクセルファイルを開かないといけない、ファイルを更新するたびに印刷会社に渡さなくてはならない、
このような不便さを解消するために、原稿入力・管理用のWEBシステムをご提供しました。
- 出先からでも、タブレット端末やPCから入力作業が進められる
- メーカー支給の商品提案書を見ながらでも入力しやすい画面設計
- 最新の商品情報を呼び出すことができる(入力支援・入力ミスの削減)
- 常に最新の入力状態が共有できる(原稿の受け渡しが不要)
②WEBコマ割り(台割)作成・管理システムの導入
コマ割り(台割)作成においても、WEBシステムでカタログ紙面のどこにどの商品を配置するかを指定できる仕組みをご提供しました。
- WEB原稿入力・管理システムの情報と連携させることで、原稿とコマ割り(台割)で掲載商品の整合が自動で取れる
- 商品の配置忘れがなくなり手戻りを防ぐ
- 入力の進捗状況が視覚的にわかる
- 関係者間で容易に最新情報を共有できる
③オンライン校正を活用
社内の関係部署や取引先のメーカー等への確認業務で、大量に発生するメールの送受信を、WEB上で校正紙を確認し、修正指示を書き込める仕組みを導入し、校正関連業務の効率化を図りました。
複数人が共通の校正画面に修正指示を記入するため、修正指示の書かれたメールを一つひとつチェックし、校正紙にまとめる業務が不要となります。また、異なる担当者が同一商品に違う修正指示を行うなどの面倒な事態も避けられるようになります。
④カタログ校了(最終)データの二次利用
カタログに修正を加えた最終的な印刷データをもとに、社内システム用の商品マスタやECサイト用のデータをご提供し、カタログ以外の媒体でもできるようにしました。
また、このデータを使用し縮小版カタログも作成したため、二重作業やミス発生のリスクを減らすことにつながりました。
このようにWEBを使用したシステムを用いることで、繁雑な作業がスムーズに行え、またカタログ作成の流れもわかりやすくシンプルになります。
その結果、余計なことや無駄なことに意識や時間が割かれなくなり、結果的に、今までカタログ作成に費やしていた時間の一部や意識を、プロモーション戦略策定や、別の業務にあてることができるようになります。
また、カタログ作成がWEBを中心としてシステム化されることで、業務が標準化され、属人的な部分を減らすことができます。
そして、原稿の情報やコマ割り(台割)の情報、そして校正をWEBで行うことで、常に最新の状態で作業や確認ができ、間違いが起こりにくい環境でカタログ作成業務を進めることができます。
さらには、二度手間や手戻りが減り、スムーズにカタログ作成が進行することで、スケジュールの短縮も期待できます。
なお、今回のお客様は以前、カタログ作成時期には毎日の残業や休日出勤が当たり前の状況で、カタログの企画や掲載商品など熟考することもままならない状況でした。
しかし今では、精力的なプロモーションに向けて時間を使えるようになってきたとのことです。
よくある質問|カタログ作成効率化
A. まずは、カタログ作成の業務の全体を見渡すことです。
紙に書き出して図にしてみると良いでしょう。
そうやって俯瞰してみると、同じことをやっている工程(作業の重複)、必要以上に確認をしている、人に依存している(個人でやり方が違う)など、あらためて気づくことがあります。
また、前任者から引き継いだものの、いったい何のためにやっているのか分からないような作業もあるかもしれません。
そうして抽出した課題を、一つひとつ解決していくことが効率化の近道となります。
A. オンライン校正の導入を検討してみましょう。
今回の事例のように、多くの取引先に校正用のPDFをメールで送付し、その返信を確認し、カタログ紙面に反映させるということはよく見られます。
このような場合には、オンライン校正を導入すると良いでしょう。
オンライン校正のメリットのひとつは、WEB上にある一つ校正紙を関係者が見るため、修正指示もそこに集約されることです。
そのため、一日に何十通と届くメールの文面から、カタログの修正指示を探し出す必要もなくなります。
ただし、オンライン校正はユーザー(校正をする人)に利用してもらうまでに時間を要する場合があります。
定着させるには、丁寧な説明と操作方法のサポートが必要です。
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このお役立ち記事は、私がこれまでにお客様のプロモーション課題に取り組んできた経験や、お客様からお寄せいただいた質問をもとに執筆しています。印刷をデザインやマーケティングの観点も交えながら、読者の方に少しでも分かりやすくお伝えする事を心掛けています。