周年記念事業のアイデア|周年記念事業を成功に導くポイントや企画アイデアとは?スケジュールの例も紹介

周年記念事業のアイデア
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周年記念事業について

周年記念事業は、企業や学校法人、組合、自治体などの様々な組織が、10年など区切りが良い節目で行う事業です。
これらの節目では、組織はこれまでの成果や貢献を振り返り、感謝の気持ちを表明するとともに、未来に向けたビジョンを関係者と共有します。
節目は一定の年数に限らず、組織の価値観や目標によって定められることもあります。
周年記念では、新たなスタートの機会として、特別な行事やイベントを通じて様々な取り組みが行われます。

周年記念活動と周年記念事業の違い

周年記念を行う際の規模(対象の範囲や期間、内容)により、「周年記念活動」と呼ばれることもあります。
例えば、一回限りの記念イベントは周年記念の活動に該当します。
対して、周年記念事業は複数の活動を組み合わせ、全体の目標達成に向けて進めるものと考えることができます。
なお、この記事では理解しやすくするため、「周年記念事業」という用語で統一して説明しています。

周年記念のタイミングは10年区切り?

周年記念のタイミングは様々で、10年や50年などの節目が特に選ばれる傾向にあります。これは、節目としての伝統的な意義と、10年や50年という数が視覚的にも理解しやすく共感されやすいためです。また、ブランディングやマーケティング戦略において、周年記念事業の重要性がより高く評価されており、ステークホルダーの期待に応える取り組みがますます重要視されています。

周年記念事業成功のためのポイント

周年記念のタイミングは一定の年数を経て訪れます。したがって周年記念事業に取り組む際には、前回から組織の状況が変わっていたり、担当者が入れ替わっていたりすることが多くあります。
このため、独自のノウハウや進め方が組織内に蓄積されにくい傾向にあり、「前回に倣って」という方法では上手くいかないことが多いのです。
周年記念事業を担当することになった方は、改めて目的やコンセプトを考え、その時に必要なことを選択する必要があります。

ではここで、周年記念事業の具体的な施策を考える前に押さえておきたいポイントから、特に重要なことを3つご紹介します。

1.周年記念事業の対象者を特定する-誰に向けた周年記念事業か?

企業が周年記念事業の対象とするのは、「従業員」「従業員の家族」「顧客」「株主」「ビジネスパートナー」「地域社会」といったその企業の関係者が一般的です。
これらの対象ごとに、周年記念を通じて伝えたいメッセージや達成したいゴールは異なります。
なぜなら、それぞれの関係者がその企業に期待するものや、企業が各関係者に望む状態は違うからです。
そのため、周年記念が誰を対象にするのかを明らかにすることが非常に重要です。

「せっかくだから全ての対象者に向けたものに」と思うかもしれませんが、どの対象者に重点を置くかを、まずは3つ程度に絞って考えることをおすすめします。

2.周年記念事業の目的を明確にする

誰を対象とした周年記念事業にするかが決まると、その対象ごとの目的が見えてくるでしょう。

従業員を対象とする場合の目的の例:

従業員にとっての周年記念は、単なる一つのイベント以上のものにしたいものです。
それは、企業の存在意義や価値観、目指す方向、そして文化を再確認し共有する絶好の機会となるからです。
企業理念の浸透と組織の活性化を目指し、インナーブランディングの強化が求められている中、周年記念事業は核心的な取り組みとして位置づけられます。
従業員が企業の理念や価値を自らの言葉で語り、行動で示すことが、真の企業ブランド価値を高める鍵となります。
周年記念事業を通じて、内部からのブランド強化を促進し、組織の一体感と誇りを育むことができます。

顧客を対象とする場合の目的の例:

顧客に対して感謝を示し、さらなる信頼を築き、関係性を深めること、ブランドイメージを強化または一新する(リブランディング)、新しい取り組みを紹介するなど、ブランディングや顧客ロイヤルティの強化を目的とすることが多いです。

参考:インナーブランディングとアウターブランディング

インナーブランディングは、企業の従業員や関連する内部ステークホルダーを主な対象とし、アウターブランディングは、主に顧客や消費者を対象に行われます。
詳しくは、関連記事「インナーブランディングとは?アウターブランディングとの違い」でご確認いただけます。

3.周年記念事業のコンセプトを明確にする

複数の対象者とそれぞれの目的を達成するためには、コンセプトとなる方向性を明らかにしておく必要があります。
コンセプトを共有し、一貫性のある施策を展開することができなければ、個々の施策は分断され、結果として形式的な意味合いだけに留まってしまうかもしれません。
周年記念事業として行う様々な企画や施策が、コンセプトに基づいて一貫性と計画性をもって実施されることで、目的の達成に近づけます。
また、コンセプトはわかりやすい言葉で表現することをおすすめします。
その言葉をテーマやスローガンとして採用することで、関係者は共通の認識を持ちやすくなりますし、ビジュアル表現の際にも役立ちます。社外の人を含め、理解しやすく想像しやすいものが望ましいでしょう。

周年記念事業の企画アイデアをご紹介

周年記念企画のアイデア

周年記念事業の代表的な周年記念事業の企画をご紹介します。
これまでの説明や予算を考慮して、どのような選択肢が存在するのかを把握し、自社にとって最適な選択をするための参考にしていただければと思います。

周年記念誌・社史を発行する

記念誌は、記念すべき節目やお祝い事、大きな変化があった際に、これまでの軌跡やその出来事自体を記録するために作られる書籍です。周年のタイミングで発行される記念誌を周年記念誌といいます。
社史は、会社の歴史を中心に記したもので、編纂にあたっては会社の歩みを掲載することが基本とされます。自社の歴史を残す資料としての意味合いが強いです。

多くの企業が周年記念事業を行う際に記念誌や社史を発行する理由は、後世に残る資料としての価値や、制作プロセスを社員と共有することに意義があるためです。

  1. 従業員が参加することで、組織の一員としての意識が高まる
  2. 組織の歴史や文化を深く理解する理解する機会となる
  3. 部門間や異なる役職の従業員同士のコミュニケーションが活発化する
  4. 組織の将来の展望やビジョンを共有することができる
  5. 組織のこれまでを整理し記録として残すことができる

【無料資料】お客様の事例-西南女学院様100周年記念誌発行
インナーブランディングにも活用される記念誌。
記念事業の一環として記念誌を発行されたお客様にインタビューしました。

社内報特別号を発行する

記念誌や社史より手軽さを求める場合、社内報特別号として発行する場合があります。

【事例】30周年を迎えた企業の場合

創立30周年を迎えたA社では、若手社員を中心に、社内報の30周年特別号を発行しました。
彼らはユニークな視点でアンケートやインタビューを進め、企画や構成を検討しました。
社内の反応は、若手社員の熱意に対しとても好意的で協力的なものでした。
紙面では、従業員の率直な声や知られざるエピソード、普段見せない一面が描かれ、内容が社内の結束を深め、活性化につながりました。
この社内報特別号の成功は、若手社員の努力と、彼らの活動を支える会社の姿勢によるものです。
若手社員の成長や組織の活性化を目指し、彼らが自由に取り組める環境を会社が提供し、その成果を尊重したからこそ導かれた結果と言えるでしょう。

周年記念式典、講演会などのイベントを開催する

記念式典やイベントを開催することで、顧客やステークホルダー、従業員との繋がりを強化します。専門家や関連する著名人を招いた講演会、運動会、日帰り旅行なども行われることがあります。これらの活動は、組織としての絆を深め、さらにはブランドイメージを高める機会にもなります。

周年記念グッズを作り配布する

感謝の気持ちを伝える広報ツールとして、イベントの記念品や記念誌とともに、マグカップやエコバッグ、ボールペン、クリアファイルなどを関係者に配布します。さらに、記念イベントで着用するTシャツなどのアイテムも用意されることがあります。

特設WEBサイトを制作し公開する

周年をテーマにした特設サイトやキャンペーンサイトを制作し、活動の予定や報告を掲載します。これは組織内外における理念の理解や共感、コミュニケーション促進を目指す場合に特に有効です。

記念動画を制作する

トップメッセージや企業の歴史、理念を映像でまとめたブランドムービーを制作し、特設サイトやSNSで公開したり、イベントで上映するなどの用途に使用します。就職活動中の学生に対して企業の文化を理解させたり、期待感を高める目的で活用されることもあります。

コンセプトブックを発行する

企業理念やコンセプトを統一感をもって小冊子にまとめ、従業員に配布します。冊子としての存在感が特別な意味を持つことから、しばしば制作されます。

VI(ビジュアルアイデンティティ)を開発する

VI(ビジュアルアイデンティティ)は企業や組織が外部に対して一貫したイメージを表すための視覚的要素です。シンボルマークやロゴ、カラースキームなどが含まれます。周年記念事業のタイミングで、これらを刷新したり、周年記念用のシンボルマークやロゴを作成することもあります。

コラボレーションする

他のブランドやアーティストとコラボレーションを行い、周年を祝う特別な商品やサービスを提供することで、記念イベントをさらに印象深いものにします。

周年記念事業のスケジュール例

インナーブランディングを主な目的とした、ある企業の周年記念事業のスケジュールをご紹介します。
周年記念として、記念誌やコンセプトブックの発行、特設WEBサイトや記念動画の制作、記念品配布などさまざまな施策に取り組まれていますので参考にしてみてください。

1年目

  • 4月
    周年記念事業のプロジェクトチーム立ち上げ、企画検討を開始
  • 9月
    社内告知(特設サイト公開)・従業員アンケート実施

2年目

  • 3月
    周年記念ロゴ・スローガン発表
  • 10月
    記念動画公開・ブランドコンセプトブック配布

3年目

  • 7月
    記念イベント開催・記念品配布
  • 9月
    記念誌発行

最後に

周年記念事業は、企業や組織が重要なマイルストーンを迎え、その歴史や成果を振り返り、未来に向けたビジョンを共有するための重要なイベントです。節目は伝統的に10年や50年とされがちですが、実際には組織の価値観や目標によって異なることもあります。このような記念事業は、一回限りのイベントから複数の活動を組み合わせたプロジェクトまで様々ですが、成功の鍵はその対象者・目的、コンセプトを明確にすることにあります。

これらを通じて、内部からのブランド強化や顧客ロイヤルティの増進を促し、組織の一体感と誇りを育むことができます。また、記念誌や社史の発行、社内報特別号の作成など、社員が参加し企業文化を深く理解する機会を設けることも有効です。これらの施策は、社内コミュニケーションを促進し、将来に向けた組織のビジョンを共有する上で大きな役割を果たします。

本記事が、皆さまの周年記念事業のお役に立てば幸いです。

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この記事を書いた人

このお役立ち記事は、私がこれまでにお客様のプロモーション課題に取り組んできた経験や、お客様からお寄せいただいた質問をもとに執筆しています。印刷をデザインやマーケティングの観点も交えながら、読者の方に少しでも分かりやすくお伝えする事を心掛けています。