デジタル印刷VSオフセット印刷!違いを徹底解説-それぞれのメリットデメリットや活用法も紹介

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印刷物を印刷する方式は「オフセット印刷」が主流ですが、近年「デジタル印刷」も増えてきています。これは、デジタル印刷機の性能向上と、少ロットで多様な内容の印刷物を作成する需要が増えているためです。

この記事では、オフセット印刷とデジタル印刷の基本的な知識やメリット・デメリットを確認しながら、どのように活用すれば良いのかについて解説します。

担当者

「オフセット印刷」と言っても、皆さんにはあまり馴染みがないと思いますので、まずは、オフセット印刷から説明していきます。

オフセット印刷とは何か-簡単に解説

オフセット印刷は、現在主流の印刷方法です。
一般的な印刷物の多くはオフセット印刷で印刷されています。

オフセット印刷は、刷版という印刷機に取り付ける印刷用の版にインキを付着させた後、インキをゴム製のブランケットに一旦転写、さらにブランケットから印刷用紙に転写することで印刷する方式です。
このように、直接版と用紙が触れず間接的に印刷する方式を、オフセット印刷と言います。

オフセット印刷は、油と水の反発性を利用しています。
刷版の表面に「印刷される部分にインキ(油性)」「印刷されない部分に水が付着する」性質を持たせることで、印刷機での印刷が可能になります。

担当者

オフセット印刷機の種類には枚葉印刷機や輪転機があります(当社所有の枚葉印刷機の一部)
ちなみに、写真左は「カーボン(CO2)ニュートラルの枚葉印刷機」で、印刷機製造時に排出したCO2をオフセットしています。詳しくは、記事「カーボンニュートラルへの取り組み-印刷機のカーボンオフセットとは」をご覧ください

[知識]平版印刷とは

印刷方式には、刷版の形状により平版印刷、凸版印刷、凹版印刷、孔版印刷等があります
平版印刷は、明確な高低がない・画像と非画像部を形成するという特徴を持つ版を使用する印刷方式です。
平版印刷のほとんどはオフセット印刷方式のため、オフセット印刷=平版印刷の意味で使われています。

オフセット印刷の特徴

オフセット印刷には、一般的に次のようなメリットとデメリットがあります。

オフセット印刷のメリット

  • 高品質の印刷物に仕上がる
    オフセット印刷は写真や文字を高精細に印刷でき、印刷物の仕上がり(写真や色などの再現性など)が優れる
  • コスト効率がよい
    大量に印刷する場合、単価(一枚当たりのコスト)が下がり価格メリットが感じられる
  • 高速で印刷が可能
    印刷機のセッティングに時間を要するが、セットアップが完了すれば高速で大量の印刷が可能
  • 大きなサイズの印刷物も印刷が可能

オフセット印刷のデメリット

  • 小ロットの場合、効率がよくない
    印刷用の版を作成する必要があるため、特に印刷量が少ない場合は単価が高くなる

これらの特徴からオフセット印刷は、カタログや冊子、ポスターなど印刷部数の多い場合に使用されています。

デジタル印刷とは何か

デジタル印刷は、刷版を必要とせず、デジタルデータから直接印刷機で印刷する方式です。
そのため、デジタル印刷は無版印刷やダイレクト印刷などと呼ばれる場合もあります。

ゼンリンプリンテックスのデジタル印刷機


印刷会社のデジタル印刷では、一般的なオフィスで使用するカラー複合機よりも、高性能な出力機を使用しています。
また、最近のデジタル印刷機は、さらに性能が向上しており、高品質の印刷物をつくることができるようになっています。

担当者

上の写真は当社にあるデジタル印刷機の一台です。
ご覧の通り、一般的な事務所で使用されるカラープリンターや複合機とは見た目がかなり異なります。
もちろん、印刷物としての仕上がりにも違いが現れます。

デジタル印刷の特徴

デジタル印刷のメリットとしては、少部数の印刷が低コストで対応可能であることや、内容の異なる複数の印刷物を作成できる点が挙げられます。
一方、デメリットとしては、大量の印刷物を作成する場合の効率の悪さが考えられます。

担当者

必要な時に必要な量だけを印刷する方法をオンデマンド印刷と呼ぶことがあります

デジタル印刷のメリット

  • 少部数の印刷に強い
    版を作るコストや時間が不要なため、少部数であれば効率的
  • 可変印刷に強い
    例えば、掲載するQRコードをターゲットごとに変えるといった、可変要素のある印刷物を作成することができる

デジタル印刷のデメリット

  • 大量印刷の場合、時間がかかりコストも割高になることがある

デジタル印刷のこれらの特性から、DM(ダイレクトメール)の印刷に頻繁に利用されることがあります。また、大量の印刷物を必要に応じて分割して使用する場合などには、在庫の保管スペースやコストが発生します。そのような時、必要になったら少量ずつ必要な分だけ印刷したいといったニーズにも適しています。

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ダイレクトメール(DM)の反応率・効果をアップする方法|DMの基礎知識

デジタル印刷とオフセット印刷、どちらを選ぶべきか?

では、デジタル印刷とオフセット印刷、どちらの印刷方法を選べば良いのでしょうか。
その答えは…
「印刷物の内容や用途、そして印刷する量」によります。

これまでの説明から分かる通り、デジタル印刷とオフセット印刷はそれぞれに特徴がありますので、作成する印刷物の特徴を考慮して、どちらの印刷方法が適しているかを検討することが必要です。


大まかに言えば、「可変要素がある」「少部数印刷したい」場合にはデジタル印刷が向いています。

デジタル印刷は、例えば、少部数のカタログやマニュアルの印刷、本の注文が入ってから印刷して発送する場合(在庫を持たない)、宛名や掲載情報や商品を差し替えて送付するDMなど、印刷物のコスト最適化やプロモーション施策として活用されます。
一方、「ページ数が多い」「印刷部数が多い」「色の再現性にこだわりたい」場合はオフセット印刷を検討するべきでしょう。

しかし、最も確実な方法は、信頼できる印刷会社に相談してみることです。
印刷会社は印刷機の特性を熟知しており、多岐にわたる印刷物の制作ノウハウや経験がありますので、ぜひ利用してください。

デジタル印刷オフセット印刷
少部数の印刷物を作りたい
→マニュアル・カタログ等
大量の印刷物を作りたい(部数が多い)
印刷物に可変要素がある
→ダイレクトメール(DM)等
印刷物のページ数が多く、ある程度の部数が必要
必要なときに必要な分だけ印刷したい(オンデマンド)
→出版本・カタログ請求等への対応
印刷物の色にこだわりたい
担当者

これはデジタル印刷とオフセット印刷の特徴をもとにした一般的な考え方です。印刷会社によって保有設備等が異なりますので、必ずしもデジタル印刷の方が色表現が劣るわけではありません。

最後に-デジタル印刷の注意点

この記事では、デジタル印刷とオフセット印刷の特徴を中心に説明してきました。
早速、デジタル印刷の活用を考えようと思われたかもしれませんが、その際にご注意いただきたい点があります。

それは、「印刷物を作るそもそもの目的を、忘れてはいけない」ということです。

オフセット印刷で作成していた印刷物をデジタル印刷に切り替えるために、ページ数や印刷部数を減らす、色へのこだわりを犠牲にするケースをお見かけします。
確かにこれで印刷物を作成するコストは安く抑えられる場合があるでしょう。
しかし、印刷物を作る本来の目的が達成出来なければ意味がありません。
デジタル印刷を選択すること自体が目的ではないのです。

デジタル印刷を活用する上で、最も重要なことのひとつは、デジタル印刷の特性を知り、印刷物を効果的なマーケティングツールとして利用することです。
例えば、ターゲットに合わせて印刷物の内容をカスタマイズする、必要な時に必要な内容を届けるなど、デジタル印刷を活用したプロモーションを検討してみてはいかがでしょうか。


そのような時は、ぜひ印刷会社にご相談ください。最適な提案やアドバイスをもらえるはずです。

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この記事を書いた人

このお役立ち記事は、私がこれまでにお客様のプロモーション課題に取り組んできた経験や、お客様からお寄せいただいた質問をもとに執筆しています。印刷をデザインやマーケティングの観点も交えながら、読者の方に少しでも分かりやすくお伝えする事を心掛けています。