パンフレットのデザインのポイント-基本とコツを知って成果につなげる

パンフレットのデザインのポイント-基本とコツを知って成果につなげる

パンフレットは、企業や団体の「顔」として、製品・サービスの特徴、企業の理念や魅力を伝えるプロモーションツールのひとつです。
会社案内、採用パンフレット、学校案内、病院案内など、その種類は多岐にわたり、目的に応じた構成やデザインが求められます。
しかし、デザインが古かったり、情報が整理されていないパンフレットでは、本来の魅力が十分に伝わらず、せっかくの印刷物も効果を発揮できません。

本記事では、用途に合った“伝わるパンフレット”でターゲットの心をつかむために必要なデザインについて考えます。
記事を読み終えたら、ぜひ今お使いのパンフレットを見直してみてくださいね。

なぜパンフレットはデザインが重要なのか?

魅力的なデザインは、第一印象を決める

パンフレットは、顧客との接点のひとつです。
パンフレットを手渡すこと自体が接点となり、さらにその後も、サービスや企業との関係性をつなぐ役割を果たします。

そのため、パンフレットのデザインは企業の「顔」となり、視覚的な印象を通じて、顧客に与える第一印象を大きく左右します。
魅力的に設計されたデザインは、企業の信頼性やブランドイメージを高め、顧客に好印象を与えることにつながります。

第一印象でポジティブなイメージを持ってもらえるかどうかは、その後の関係構築や商談の進展などで大きな差を生み出します。
つまり、デザインは、顧客が企業やサービスに抱く評価を左右し、ブランド価値や競争優位性に直結する重要な要素といえるのです。

効果的なデザインは、情報を的確に伝達する

効果的なデザインは、情報を整理し、複雑な内容でも視覚的にわかりやすく伝える力を持っています
フォントや色使い、レイアウト、アイコン、イラストなどを適切に組み合わせることで、伝えたいメッセージを的確に届けられます。
また、情報の階層を明確にすることで、必要な情報にスムーズにたどり着けるようにすることもできます。
デザインは、単に見た目を美しくするためのものではなく、情報伝達の質を高める役割を果たします。

ブランドを表現するデザインは、記憶に残る

デザインは、ブランド想起のための重要な要素のひとつです。
ロゴやカラー、フォントなどの視覚的要素は、人の記憶に残ります。
例えば、マクドナルドは赤と黄色、スターバックスは緑のロゴなど、思い浮かべることができるのではないでしょうか。
これらをガイドラインに従い、一貫して使用することで、企業独自のアイデンティティを印象づけることができます
ブランドの個性や価値観を視覚的に伝え、感情に訴えかけ、その結果「記憶に残る」ということになります。

このように、パンフレットのデザインは、第一印象の形成、情報の伝達、そしてブランドの想起といった重要な役割を担っており、企業やサービスの魅力を最大限に伝えるために欠かせない要素なのです。

パンフレットデザイン制作のポイント

ターゲットを明確にする

パンフレットデザインにおいて最も重要なポイントの一つは、「誰に向けたものなのか」、つまりターゲットを明確にすることです
顧客層の年齢、性別、職業、興味・関心、価値観といった属性を丁寧に分析することで、デザインの方向性が明確になります。
反対に、こうした分析を欠いたデザインは、場当たり的なものとなり、訴求力を持たせることが難しくなります。
例えば、若年層を対象とする場合には、トレンド感のあるデザイン、一方で、高齢者を意識する場合には、文字サイズを大きくし、落ち着いた配色を採用するなど視認性に配慮した設計が求められます。
このように、ターゲットに応じた適切なデザインを行うことで、伝えたい情報を的確に、そして好印象を持ってもらいながら届けることができます。

担当より

ついやりがち?ターゲット設定の盲点

「大企業の社員」というターゲット設定は一見それらしく聞こえますが、マーケティングやデザイン設計においては情報が不十分です。ターゲット属性を表層的な分類(企業規模や所属)にとどめたままでは、的確なデザイン要件を導くことができません。
例えば、職種・役職・意思決定権の有無・直面する課題などの条件を含めて、ターゲット像を具体化する必要があります。
「大手メーカーの広報部門に所属する30代中堅社員。販促物の統一感に課題を抱えており、社内外の関係者に情報を的確に伝えるためのツールを求めている」といったように、業務上のニーズや課題意識まで踏み込んだ設定があるとよいでしょう。
デザインに求められる要素(構造化された情報設計、信頼性を表現するトーン、ビジュアルスタイルなどの方向性など)が明確になります。
このように、ターゲットを単なる属性ではなく、より具体的なペルソナとして深く掘り下げて捉えることをおすすめしています。

目的をきちんと定める

パンフレットを制作する前には、パンフレットを通じて何を達成したいのか、具体的な目的を定めるようにします
商品・サービスの認知度向上、販売促進、企業イメージの向上、イベントへの集客など、目的によってパンフレットのコンテンツやデザインは大きく変わります。
例えば、商品・サービスの認知度向上を目的とする場合は、商品・サービスの特長や魅力を分かりやすく伝えるデザインが求められます。
一方、販売促進を目的とする場合は、購買意欲を高めるためのキャッチコピーやお得な情報を掲載するなど、具体的な行動を促すデザインを考慮する必要があります。
このように目的を明確にすることで、パンフレットの方向性が定まり、より効果的なパンフレットを制作することができます。

情報を整理し、優先順位を付ける

パンフレット制作においては、掲載する情報を的確に整理し、「誰に、何を伝えるのか」を明確にしておくことが重要です。
「あれもこれも伝えたい」という思いは理解できますが、情報を詰め込みすぎると、肝心のメッセージがぼやけ、印象に残りにくくなってしまいます。

そのため、ページ構成・見出し・本文・画像などを意図的かつ効果的に配置し、視線の流れを意識したレイアウト設計が必要となります。
特に伝えたい情報には、フォントサイズや色、配置に工夫を凝らし、自然と目に留まるようにメリハリをつけるようにします。

忘れてはならないのは、パンフレットのすべての文章が読まれるとは限らないという現実です。
新聞や雑誌と同じように、まずは見出しやビジュアルに目を引かれ、必要な情報だけを拾い読みされるケースがほとんどです。
だからこそ、情報に優先順位をつけ、構成にメリハリを持たせることが、パンフレットの訴求力を最大化するための鍵となります。

パンフレットのデザインの基本ポイントを押さえる

パンフレットのデザインには、押さえるべき基本がありますのでいくつかご紹介します。

  • 配色の基本を意識する
    同系色で全体をまとめつつ、強調したい部分にはアクセントカラーを加えることで、メリハリのある印象に仕上がります。例えば、ベースカラー70%・メインカラー25%・アクセントカラー5%を基準にすると効果的です。
  • 適切な余白を設ける
    情報を詰め込みすぎず、要素同士の間に余白を持たせることで、各情報が整理されて見やすくなります。
    また、紙面全体のバランスが整い、読み手がストレスなく情報を追いやすくなります。
  • フォントの選択や文字間・行間を意識する
    フォントの種類やサイズ、文字間・行間の設定は、読みやすさや与える印象に大きく関わります。
    ターゲット層やパンフレットの目的に合った書体選びを心がけましょう。
  • ユニバーサルデザインの視点を取り入れる
    幅広い読者に配慮したデザインも重要です。たとえば、UD(ユニバーサルデザイン)フォントの使用や、色弱者にも配慮したカラーユニバーサルデザインの採用が挙げられます。見やすく、誤読しにくい工夫が、伝わるパンフレットを実現します。

デザインのトレンドを意識する

デザインのトレンドを意識することで、パンフレットに新鮮さや魅力が加わり、視覚的に目を引く効果が高まります。
しかし、トレンドをただ追いかけるだけでは不十分です。自社のブランドイメージと整合性の取れた形で取り入れることが重要です。
例えば、コーポレートカラーとまったく異なるトレンドカラーを用いたり、企業の雰囲気にそぐわないフォントを使用したりすると、統一感が失われ、ブランドイメージを損なうおそれがあります。
トレンドは“取り入れること”が目的ではなく、“自社らしさを際立たせる手段”として活用することを意識してください。

写真やイラストを最大限活用する

高品質な写真やイラストは、パンフレットの魅力を大きく高めます。
また、文章だけでは伝わりにくい情報を視覚的に表現し、顧客の理解を深めることもできます。
写真やイラストは、プロのカメラマンやイラストレーターに依頼することで、より高品質なものを手に入れることができます。
特に、商品やサービスを紹介するパンフレットでは、高品質な写真や適切なイラストが不可欠です。
商品の魅力を最大限に引き出すような写真を使用することで、顧客の購買意欲を高めることができます。

担当より

私が知るある流通小売業の企業では、販売する商品の魅力を最大限に引き出すため、自社スタジオを活用し、フードスタイリスト、カメラマン、ディレクターが連携して、時間をかけて丁寧に撮影を行っています。
その理由は明確です。
パンフレットに新商品を掲載する際、読者の目に最初に入るのは説明文ではなく「写真」です。
この数秒のインパクトこそが、消費者の感情を動かし、購買意欲を喚起できるかどうかの分かれ目です。
ビジュアルの質は、単なる装飾ではありません。
「売れるか、売れないか」を左右する、極めて重要な要素なのです。

印刷・加工にもこだわる

パンフレットの印象は、印刷の仕上がりや加工の有無によって大きく左右されます。
印刷品質が高ければ、より魅力的に伝わり、与える視覚的な印象も良くなります。
また、ニス加工や箔押し、エンボスなどの印刷加工を加えることで、高級感や特別感を演出することも可能です。
さらに、使用する用紙の種類によっても手触りや質感、色の出方が変わり、パンフレット全体の印象やブランドイメージに直結します。
せっかくデザインにこだわって制作したパンフレットであれば、印刷にもこだわることで、その価値を最大限に引き出すことができます。

<デザイナーの視点>
パンフレットのデザインで大切なこととは?

弊社デザイナーにパンフレットのデザインで大切にしていることを聞いてみました。
参考にしてみてください。

Q.パンフレットのデザインで、一番大切にしていることは?

A. 実はデザインって、カッコよく見せるだけなら、意外と簡単なんです。

デザインの技法を使ったり、いい写真を使えば、ある程度それっぽくは仕上がるんですよ。
でもそれだけじゃ、(例えば会社案内の場合)本当にその会社らしさが伝わるパンフレットにはならないんです。

デザイナーが語るパンフレットデザインで一番大切なこと

やっぱり大事なのは、クライアントのことをきちんと理解すること。
どんな想いがあって、どんな強みがあって、どんな未来を描いているのか。
それをしっかりくみ取って、どういう切り口で見せるか、コンセプトをどう設計するか。
そしてそれらをデザインでどう表現するかが肝なんですよね。
見た目とか、小手先だけでごまかそうとしているものって、意外と見る人にはちゃんと伝わっちゃうので。
リアルな中にその会社の価値や存在意義がちゃんと見えるデザイン、そんなパンフレットがいちばん強いと思います。

それを実現するにはやはり、デザインの“引き出し”をどれだけ持っているかが大事だと思っています。
経験を積み重ねて得た知見や感覚、過去の成功・失敗の積み重ね――
そういったものを、状況に応じて迷わず引っ張り出し、昇華させられるかどうか。
そこにデザイナーとしての力が出ると思うんです。
単にセンスだけじゃなくて、考えて、選んで、組み立てる。そういう思考と技術があってこそ、本当に「伝わる」パンフレットがつくれるんじゃないかなと感じています。

どこに依頼する?パンフレットのデザイン依頼先選び

パンフレット制作を検討する際、「どこに依頼すればよいか」と悩んだことはありませんか?
いつもお願いしている制作会社があるものの、「ほかにもっと良い選択肢があるのでは」と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
実際、依頼先の選択によって、パンフレットのクオリティはもちろん、制作コストやスケジュールの柔軟性にも大きく影響します。つまり、依頼先の選定はパンフレット制作における非常に重要な意思決定のひとつです。

それでは、パンフレットデザインの依頼先として代表的な4つの選択肢――印刷会社、デザイン制作会社、広告代理店、そしてフリーランスについて、それぞれの特徴を見ていきましょう。

デザイン制作会社

一般的にデザイン制作会社は、チラシやポスター、パンフレットなどのグラフィックデザインの制作を行う会社です。
デザイナーやディレクターなどが在籍し、クリエイティブ性に強みを持っていますので、独自性の高いパンフレットを制作したい企業には心強いパートナーになります。
一方で、デザイン制作会社は小規模なところが多いこともあり、実績が限られている、執筆(文章作成)など幅広い対応が出来ない、マーケティング知識がない等のデメリットが考えられます。
また、印刷は印刷会社に依頼することになりますが、デザイン会社が印刷品質をコントロールすることは難しいため、せっかくのデザインが台無しになってしまうケースも見受けられます。

印刷会社

印刷会社に依頼する最大のメリットは、デザイン制作から印刷まで一貫して任せられることです。
当然ながら、印刷に関する知識が豊富なため、用紙選びや加工の相談にも強く、実物の仕上がりをイメージしながら、デザインを制作することができるという利点があります。

ただし、印刷会社内にクリエイティブ部門がある場合とそうでない場合には勝手が違います
もし「デザイン制作ができます!」という印刷会社であっても、実際にはレイアウトを整えるだけのDTPオペレーションに近い作業とどまり、クリエイティブ性のある提案や構成力までは期待できない場合もあります。
そのため、印刷会社に依頼する場合は、社内にクリエイティブ部門があるか、どのようなデザインができるのか、どこまで提案してもらえるのかを事前に確認しておくことをおすすめします

フリーランスデザイナー

フリーランスのデザイナーに直接依頼する手もあります。やり取りがシンプルでスピード感もあり、柔軟な対応が期待できます。
一方で、デザインのクオリティにばらつきがあったり、印刷に関する知識が不十分なためにトラブルが起きたりするリスクもあります。
そのため、依頼する際には過去の制作実績や専門性、印刷工程への理解の有無をしっかりと確認することが大切です。

広告代理店

広告代理店にはデザイン制作だけでなく、マーケティング戦略の立案から、WEBやテレビCMを活用したキャンペーンプロモーションの展開など、総合的な広告戦略全般をお願いすることが出来ますが、一般的に、パンフレットなどの印刷物のデザインだけを考えた場合は、コストが割高に感じられることがあります

パンフレットのデザインに関するQ&A

Q
パンフレットで高級感を演出したい場合は?
A

高額な商品を扱う企業の場合は、パンフレット全体で高級感と信頼感を演出することが重要です。
そのためには、用紙の質感、デザイン、写真のクオリティなど細部にまでこだわり、特別感のある仕上がりを目指す必要があります。
例えば、落ち着いた色調や洗練されたフォントを使うことで、企業の格式や信頼性を視覚的に表現できます。
これにより、読み手に安心感と品格ある印象を与えることができ、高額商品への納得感を生み出します。
また、写真はプロのカメラマンに依頼し、商品の魅力を最大限に引き出す構図やライティングを工夫することで、商品への信頼感や魅力がより一層伝わります。
レイアウトはシンプルながらも洗練された印象を持たせ、情報を整理し、見やすく配置することで、読み手にスムーズに内容を届けることができます。

Q
内容を分かりやすく伝えるパンフレットにするには?
A

情報量が多く、サービス内容が複雑な場合は、いかに整理して伝えるかがパンフレット制作の重要なポイントになります。
そのためには、まず内容を分類・構造化し、全体像を把握しやすくする工夫が必要です。複雑な情報は、イラストや図解を用いて視覚的に整理することで、読み手の理解を助けることができます。
また、ターゲットとなる顧客層に応じて、落ち着いたデザインや視線誘導を考慮したレイアウトを採用することが効果的です。専門用語は必要最低限にとどめ、平易な言葉で丁寧に説明することも、理解を促進する上で欠かせません。
このように、「視覚化」「構成」「言葉選び」を意識することで、情報を的確に伝えるパンフレットにすることができます。

Q
信頼感を表現するパンフレットにするには?
A

企業の信頼感を伝えるパンフレットを作成するには、デザインとコンテンツの両面からの工夫が必要です。
まず、コーポレートカラーを基調にした統一感のあるデザインを採用することで、企業のブランドイメージと誠実さを視覚的に伝えることができます。落ち着いた配色や整ったレイアウトは、堅実で信頼できる印象を与える効果があります。
また、実績や強みについては、具体的な数値データや導入事例を交えて説明することで、説得力を持たせることができます。
さらに、社員の写真やメッセージなどを掲載することで、人の顔が見える安心感や、企業の温かみを伝えることにもつながります。
このように、ビジュアル、情報の見せ方、そして人間的な要素をバランスよく盛り込むことで、信頼感を伝えるパンフレットを作成することができます。

最後に―デザインで失敗しないために

本記事で紹介したように、魅力的なデザインは、顧客の心をつかみ、企業のブランドイメージを高める武器になります。
そのためには、次のような点がポイントとなります。

  • ターゲットを明確にする
  • 目的を定め、情報を整理する
  • デザイントレンドを適切に取り入れる
  • 写真やイラストで視覚的に魅せる
  • 印刷・加工・用紙選びにもこだわる

単に“おしゃれ”なデザインを目指すのではなく、伝えるべき相手に、伝えるべき内容が、しっかり届くことが何より大切です。
デザインへの投資は、企業の成長につながる戦略のひとつ。
パンフレットを見直すことで、顧客からの反応が変わり、売上や信頼の向上につながる可能性もあります。
パンフレットは、企業と顧客を結ぶ大切なコミュニケーションツールです。
ぜひ、顧客の視点に立ち、伝わるデザインを意識して、効果的なパンフレットづくりに取り組んでみてください。

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この記事を書いた人

このお役立ち記事は、私がこれまでにお客様のプロモーション課題に取り組んできた経験や、お客様からお寄せいただいた質問をもとに執筆しています。印刷をデザインやマーケティングの観点も交えながら、読者の方に少しでも分かりやすくお伝えする事を心掛けています。