
成果が出るポスターデザインには、「目的設計」「視線誘導」「行動設計」など、共通する11の原則があります。
これらを押さえることで、制作会社とのやりとりがスムーズになり、期待通りの反応や結果につながるポスターを実現しやすくなります。
ポスターデザインで成果を出すには、見た目の美しさだけでは足りません。
本記事では、デザインと印刷のプロとして、ポスター制作から印刷まで手がけている弊社が厳選した「11の原則」を紹介します。
この記事は次のような方におすすめです
- 社内でポスター制作の発注を任されたが不安がある方
「はじめてだから、どう伝えればいいかわからない」 - 過去に自己流で作成したが、効果が出なかったと感じている方
「自己流で作ったけど、誰にも見られてない気がする」 - 自治体や商業施設など、多様な人に届けなけばならない方
「デザインの方向性に悩んでいる」 - 制作会社に依頼するが、丸投げしたくない広報・販促担当者
「見た目の前に、伝えるべきことを整理したい」
ポスターの基礎知識から印刷会社の選び方
ポスターが本来役割を果たすには、デザインが鍵を握る
ポスターの目的を達成するには、デザインが最も重要な要素のひとつです。
ポスターには、企業や団体が達成したい目的があります。
- 情報伝達(イベント日時、製品紹介など)
- 行動喚起(来場、購入、応募など)
- ブランド認知・イメージの向上
これらの目的を果たすために、ポスターには3つの重要な役割が求められます。
- 情報を正確に「伝える」
- 視覚的に「興味を引く」
- 見た人を「行動に導く」
限られたスペースの中で、これらの役割を的確に果たすためには、デザインの力が欠かせません。
成果を出すポスターは、情報をただ並べるのではなく、目的を達成するための設計された視覚表現によって成り立っています。
伝えるべき情報が整理されていなければ、ポスターはただの装飾で終わってしまいます。
逆に、ターゲットの目線を意識したレイアウトや色使いができれば、短時間でも強く印象に残り、行動につながるのです。
ポスターを作る際は、「何を伝えるか」だけでなく、「どう伝えるか(=デザイン)」に重点を置くことで、目的達成につながります。
では、厳選した11の原則について見ていきます。
目的とターゲットを明確にすることで、ズレのない設計ができる
ポスターの目的(何を達成したいのか)と、ターゲット(誰に伝えたいのか)を最初に定めることが、すべての設計の出発点です。目的が明確になれば、「どんな内容を」「どんな表現で」伝えるべきかが定まります。ターゲットが明確であれば、関心を持ってもらいやすい情報の切り口やトーンも決まります。
また、ターゲットの年齢層、性別、興味関心、ライフスタイルなどを考慮することで、よりターゲットに響くメッセージを伝えることが可能になります。例えば、子供向けのイベントポスターであれば、カラフルで可愛らしいデザインが効果的です。一方、ビジネス向けのポスターであれば、シンプルで洗練されたデザインが好まれやすいでしょう。
そして、何のために作成するのか、誰にどのようなメッセージを伝えたいのかが決まったら、それを言語化します。
ポスターに関わる人がそれを共有することで、ポスターのデザイン全体に一貫性を持たせることができます。
また、ポスター作成を外部に委託する場合には、依頼者と制作者の間でそれが共通認識となり、制作がスムーズに進みやすくなるという利点があります。
伝える情報を整理・優先づけると、理解されやすくなる
目的とターゲットを踏まえて、伝える情報を「何を載せるか」「どの順番で伝えるか」の視点から整理します。情報の取捨選択や要点の強調は、見る人にとっての理解のしやすさに直結します。
情報の取捨選択が甘いと、見る人が混乱し、肝心なメッセージが埋もれてしまいます。
たとえば、イベントポスターで「日時・場所・申込方法」は最優先事項ですが、「主催者情報」などは小さくまとめても構わないでしょう。
何を一番に伝えるのかを決めることが、デザインにとって、効果的なポスターにとって重要なのです。
見た目だけで判断しない!本来の目的、基本ルールを考慮する
ポスターは、視覚的に訴求するツールです。そのため、インパクトのある画像やイラスト、キャッチコピーなどを効果的に配置することで、関心をひき付け、メッセージを効果的に伝えることができます。
ポスターデザインにおいては、レイアウトや情報設計などの要素も十分に考慮する必要があります。
ところで、ポスターのデザインに対する印象は人それぞれです。ある人はA案のポスターが、ある人はB案のポスターの方が良いということはよく起こります。こういった場合に、個人が感じた印象やセンスだけで判断することはおすすめしません。
多くのデザインは第三者(この場合はポスターを見る人)のために制作します。
ポスターを見る人がどのように感じるか、それが目的に合っているか、見る人に必要な情報が伝わるか、これらを主体としながら、デザインの基本ルールをもとに制作することが大切です。

視線の流れを設計すれば、メッセージが届く
ポスターでは目線の流れを意識したレイアウトも非常に重要です。
見る人が自然に目を動かす順序を意識したレイアウト(たとえば左上から右下へなど)にすることで、メッセージがより効果的に伝わりやすくなります。
また、重要な情報やキャッチコピーを目立つ場所に配置したり、視覚的にアクセントとなる要素を配置したりすることで、視線を誘導することができます。
視線誘導は、ポスターを見た人の視線を、意図した方向に導くテクニックです。
- 視覚的な要素
大きな画像、明るい色、太い線など、視覚的に目立つ要素を使うことで、視線を誘導することができます。 - 配置
情報の配置によって、視線を誘導することができます。例えば、重要な情報は、ポスターの中央に配置したり、目立つ場所に配置したりすることで、視線を誘導することができます。 - その他の要素
例えば、矢印を使って、重要な情報や行動を促すメッセージに視線を誘導することができます。
読みやすく美しいレイアウトが、情報の伝達力を高める
見出し・本文・画像などの要素を整理し、視線がスムーズに流れるよう配置することで、情報の理解度と印象は大きく変わります。
文字の大きさや余白のバランス、行間、左右の揃えなど、視覚的に「整っている」状態をつくることが、ポスターにおける読みやすさにつながります。
とくに視覚的なジャンプ率(文字サイズや色のコントラスト)を意識すると、重要な情報がより際立ちます。
読みやすさは「情報が届く前提条件」です。
レイアウト設計が整っていなければ、どんなに魅力的な内容でも読まれません。
図版と見出し、その他の文字要素を見やすく配置する
図版(写真や絵)と見出し、その他の文字情報の置き方によって、さまざまな効果が生まれます。また、それぞれの大きさや形を変えると受ける印象や効果にも違いが出ます。



黄金比(黄金分割比率)を意識する
黄金比は、人間が無意識に美しいと感じるバランスの取れた比率、1:1.618を指します。
もしかすると、パルテノン神殿、ミロのヴィーナス、ピラミッドなどが、黄金比にかなり近い比率で作られていることを聞いたことがあるかもしれません。
この黄金比はデザインの現場でも使用されています。ポスターのデザインに黄金比を取り入れることで、視覚的な調和を生み出し、バランスの取れた仕上がりとなります。
※実は、前項でご覧いただいたポスター例も、黄金比を意識してレイアウトしています。

ちなみに、黄金比のほかにも白銀比(プラチナ比)があります。白銀比は、1:√2(およそ1.1414)の比率ですが、A4サイズ(210×297mm)は非常に近いものです。A4サイズを半分に折るとA5サイズになりますが、もちろん比率は同じです。
白銀比は、日本の美意識にも影響を与えたと言われ、法隆寺の五重塔など和風建築に使われていることは有名です。
印象に残るビジュアルと見せ方で、記憶に残す
ポスターを見て、まず目に飛び込んでくるのは、写真やイラストです。
イラストや写真を上手に活用することで、現実の世界をそのまま表現したり、ポスターのテーマをより具体的に表現することができます。
イラストでわかりやすく表現する
イラストは、ポスターのテーマやメッセージをより分かりやすく表現するのに役立ちます。オリジナルのイラストを作成したり、フリー素材を利用したりすることができます。
写真でリアルに伝える
写真は、ポスターのテーマやメッセージをより具体的に伝えるのに役立ちます。高画質で、ポスターのデザインに合った写真を選びましょう。
下のポスターをご覧ください。
同じようなレイアウトや要素のポスターであっても、メインビジュアルに写真を使用するか、イラストを使用するかで、受ける印象が違うことがわかるのではないでしょうか。


配色で感情と雰囲気をコントロールする
ポスターの配色によって、印象や雰囲気が大きく変わります。ターゲットやテーマに合った配色を心がけます。
- 心理効果
色には、それぞれ心理的な効果があります。例えば、赤色は活力や情熱を、青色は落ち着きや信頼感を、黄色は明るさやポジティブさを、それぞれイメージさせます。ターゲットやテーマに合わせて、適切な色を選びましょう。 - コントラスト
コントラストをつけることで、ポスターの視覚的なインパクトを高めることができます。例えば、明るい色と暗い色を組み合わせたり、太い線と細い線を組み合わせたりすることで、コントラストを生み出すことができます。 - 70-25-5の法則
全体の70%をベースカラー(おもに背景や余白)、25%をメインカラー(イメージを決定する色)、5%をアクセントカラーとして配色することで、バランスが良く、視覚的に安定したデザインを作ることができます。
メインカラーを最初に決めると、上手くいくことが多いです。 - 色相環の活用
色相環は、色の組み合わせを考える際に役立ちます。
例えば、補色(色相環で反対の位置にある色)を使うと、視覚的に目をひくデザインが可能です。
類似色(色相環で隣り合う色)を使うと、調和の取れた落ち着いた印象を与えます。
3色配色(トライアド配色)という、色相環で正三角形を描きその頂点に(等間隔に)位置する3色を使用する配色もあります。3色配色(トライアド配色)では、1つの色をメインカラーに、残りの2色をサポートとして使うのが一般的です。
また、色の明るさや濃淡で視覚的なバランスを取ることが大切です。

フォントにこだわって、読みやすさを向上させる
フォントは、ポスターのメッセージを伝える上で重要な要素です。
フォントの種類、サイズ、太さは、読みやすさだけでなく、雰囲気や信頼感にも影響します。
- 可読性
ポスターのテキストは、読みやすく、理解しやすいフォントを選びましょう。 - 印象
フォントの種類によって、ポスターの印象が変わります。
例えば、ゴシック体は現代的・力強さ・フラットな印象を与え、明朝体はフォーマル・伝統的・上品で落ち着いた印象を与えます。
この2つでは大きく印象が異なるため、与えたい印象によって使い分けると同時に、全体のイメージとの調和も考慮する必要があります。
また、文字の左右・中央揃えによっても見え方や印象が変わります。

行動を促す導線(CTA)で反応を引き出す
ポスターの目的が「見てもらう」だけで終わっていては意味がありません。
具体的な行動を促す導線(Call To Action=CTA)を設計しましょう。
例えば、QRコードで記載し、チケットの購入やさらに詳しい情報を得られるWEBサイトへの導線をつくるなどです。
印刷品質まで設計に含めて、仕上がりの完成度を上げる
「ポスターが納品されたが、なんか色が違う」
この理由のひとつは、ポスターのデザインを制作している段階では、カンプ(デザイン確認のための見本)や、モニター上でデザインを確認(承認)してきたことです。
カラープリンターやモニターで見る色は、実際に印刷された色とは異なることが多いため、期待した色がそのまま再現されるとは限りません。
通常、色にこだわりがある場合は、印刷機で刷った時の色に近い色で出力したものや、実際に印刷機で刷ったもので色を確認(色校正)します。
※色校正について詳しくはこちらの記事をご覧ください
また、ポスター印刷では、オフセット印刷、インクジェット・オンデマンドなど、印刷方式によっても品質が異なる場合がありますが、部数と費用のバランスを考えて選択する必要があります。
そして、ポスター印刷失敗のもうひとつの原因は、依頼先の印刷会社によって仕上がり品質が異なるためです。
せっかくのポスターを高品質に仕上げたい場合には、価格だけで選ばず、いくつかの印刷会社に相談してみることをお勧めします。
デザインテンプレートを使用する際は注意する
専門的な知識・技術がない方が、質の高いポスターデザインを制作することは難しいため、デザインソフトやオンラインツールで提供されているテンプレートを活用する場合があります。
テンプレートを活用することで、デザイン初心者でも手軽にポスターを作成することができます。
しかし、テンプレートを選ぶ際には、少なくとも以下の点に注意が必要です。
ポスターのデザインテンプレートを選ぶポイント
- デザインの統一感
テンプレートのデザインが、ポスター全体のテーマやメッセージと合っているか確認しましょう。 - オリジナル性
テンプレートに頼りすぎず、オリジナル要素を加えることで、より魅力的なポスターに仕上げることができます。 - 著作権
テンプレートによっては、無料となっていても商用利用が制限されている場合があります。利用規約をよく確認しましょう。
ゼンリンプリンテックスのポスター印刷について
ポスターは、その会社やイベントのイメージ決める大切なツールです。
だからこそ、せっかくのデザインが印刷品質で台無しになってしまうのは避けたいところです。
ゼンリンプリンテックスは、印刷品質にこだわった高品質なポスターをご提供します。
私たちは、お客様の疑問の解消はもちろん、課題やニーズにこたえるべく全力でサポートしています。
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【特集記事】広報・販促・宣伝をサポートするパートナー
選ばれる5つの理由
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ゼンリンプリンテックスがお客様に選ばれている理由を特集記事にまとめました。

このお役立ち記事は、私がこれまでにお客様のプロモーション課題に取り組んできた経験や、お客様からお寄せいただいた質問をもとに執筆しています。印刷をデザインやマーケティングの観点も交えながら、読者の方に少しでも分かりやすくお伝えする事を心掛けています。