
冊子印刷を依頼する際は、まず正確な見積もりを取ることが大切です。
もし、冊子の仕様が不明確なまま進めると「正確ではない見積もり」となり、納期の遅延やコストの増加、仕上がりのミスマッチといったトラブルを招く恐れがあります。
この記事では、はじめての方でも安心してスムーズに見積もりを依頼できるよう、見積もりに必要な情報、依頼方法、注意点などを解説します。冊子印刷の見積もりを依頼する前にぜひお読みください。
冊子印刷の基本から知りたい方へ
冊子印刷の基本|中綴じや無線綴じ、用紙選び、発注方法を印刷会社が解説-発注で失敗しないために
\ゼンリンプリンテックスの冊子印刷/
“仕上がり”と“対応力”で選ばれる
ゼンリンプリンテックスの冊子印刷

冊子印刷の見積もりを依頼する前に
なぜ冊子印刷の見積もりが重要なのか
冊子の印刷を発注する際には、予算の兼ね合いからも、なるべく正確な見積もりを手に入れる必要があります。
見積もりが不正確(本来希望するものとズレがあるなど)だと、後から思わぬトラブルが発生する可能性があります。
例えば、次のような問題につながるかもしれません。
- オンライン見積もりで「おすすめ」表示に従って用紙を選んだら、安っぽい仕上がりになってしまった
- 綴じ方や開き方が思っていたものと違う!印刷後に気がついた
- ページ数って、表紙を含んで数えるの?間違えてしまい納期遅延、追加料金も発生してしまった
- メージしていた仕上がりを実現するには、PP加工が必要だったことを後から知った
ここがポイント
印刷の見積もりは、仕様に基づいて工程ごとに積算されるため、仕様が変わると見積内容も変動します。
そのため、提示された見積もりで正式に発注した場合は、その仕様が確定内容となり、印刷会社はその内容で製造に入ります。見積内容に誤りがないか、事前にしっかり確認しておくことが重要です。
印刷会社の種類と特徴
印刷会社には、大きく分けていわゆる一般的な印刷会社とネット印刷があります。
一般的な印刷会社
まず、一般的な印刷会社は、対面での相談が可能で、きめ細やかな対応が期待できます。
もし、冊子印刷に関する知識がない場合でも、印刷会社のスタッフが、具体的に丁寧にヒアリングしながら導いてくれるはずです。印刷物の仕様やデザインについてのアドバイスもしてくれますし、特殊な加工に関する相談もできます。
そのため、冊子印刷に関する知識が少ない方やとにかく間違いなくスムーズに見積もりを手に入れたい場合におすすめです。
また、多くは、案件ごと個別に印刷の色調整を行いますので、高い品質で冊子を仕上げることができます。
ネット印刷
一方ネット印刷は、早めに注文する、オプションサービスを最小限に絞る、色校正・色調整は不要とするなど、提供されている条件にうまく対応できれば、印刷コストを抑えられる場合が多くあります。
実は、必ずしも一般的な印刷会社よりネット印刷の方が安価だとは限りません。
特に冊子印刷では価格差が生じにくい場合があります。
つまり、ネット印刷と同程度の価格で、一般的な印刷会社の手厚いフォローを受けることができる可能性があります。
ネット印刷の方が安いとは限らない?
【ネット印刷と印刷会社の違い】ネット印刷は低価格?メリット・デメリットを比較!
正確な見積もりに必要な情報
見積もり依頼に必要な情報としては、まず印刷物の仕様が挙げられます。
冊子のサイズ、ページ数、用紙の種類・厚さ、色数(フルカラー、モノクロ/単色)、製本方法(中綴じ、無線綴じなど)、印刷加工方法、納期、納品場所・方法などがあります。これらの情報を整理し、的確に伝えることが見積もり依頼の第一歩です。
冊子印刷の仕様については、後述します。
冊子の用途も重要な情報のひとつです。
特に、印刷物に適したサイズがわからない場合や、用紙の種類や厚さの選び方に迷う場合には、用途の情報が参考になります。
冊子の用途によって最適な用紙や製本方法が異なるため、印刷会社は用途に合わせた提案をしてくれるはずです。
また、予算や納期を伝えれば、印刷会社は予算内で可能な範囲で最適な提案をしてくれますし、納期に合わせてスケジュールを調整し見積もりを作成するでしょう。
では次に、具体的に一つひとつ見ていきましょう。
冊子印刷の見積もり基礎知識
印刷物の見積もりを依頼する際には、事前にいくつかの基礎知識を把握しておく必要があります。
知識を持っておくことで、より正確な見積もりを得ることができますし、印刷会社とのコミュニケーションも円滑になります。これは、冊子印刷の見積もりを依頼する場合も同様です。
受注生産である冊子印刷においても、印刷会社との間に共通の認識を持つことは不可欠です。
そして、そのひとつが印刷物の仕様です。印刷物の仕様はサイズや用紙、製本方法などがありますが、これらを明確にすることは、印刷の正確な見積もりを算出するだけでなく、実際の印刷物の製造においても必要な情報となります。
では次に、冊子印刷における印刷物の仕様を簡単に説明していきます。
冊子印刷のおもなサイズ
210×297mm 一般的な冊子、写真集など
182×257mm 雑誌など
148×210mm 教科書など
128×182mm 単行本など
210×257mm パンフレットや雑誌など
冊子印刷のサイズは、A判、B判などの規格サイズがよく用いられます。
A4サイズ(210×297ミリ)は、一般的な書類やパンフレットによく使われます。B5サイズ(182×257ミリ)は、書籍や雑誌によく見られます。
これらのサイズを知っておくと、印刷物の用途に合わせた適切なサイズを選びやすくなります。
また、規格サイズではなく、変形サイズとして個別にサイズを指定することも可能です。

印刷数量
必要な冊子の数量を指定します。
一般的に、一度に印刷する数量が多くなるにつれて単価は低くなります。
のちに追加で印刷を発注するよりも、一度にまとまった数量を発注した方が安くなる傾向があります。
そのため、以前は、必要な数量より少し多めに発注することが多かったのですが、保管管理や廃棄になることを考えると、必ずしも得策とは限りません。
例えば、追加が発生した場合をあらかじめ想定し、小ロットに対応しやすいデジタル印刷の費用を把握しておき備えておくと安心です。
ページ数
1冊(部)あたりのページ数も見積もりに影響する重要な要素です。
ページ数が多いほど、印刷にかかる費用も高くなります。
見積もりを依頼する際には、正確なページ数を伝えるようにしましょう。その際、表紙込みのページ数かどうかに注目することをおすすめします。
1冊の中に、カラー印刷とモノクロ印刷のページが混在する場合や印刷用紙を変更する場合は、総ページ数とは別にその内訳を明らかにしておくようにします。
出来れば、「台割」と呼ばれる、冊子全体の構成や内容をまとめた設計図を作成しておくことをおすすめします。
台割は、冊子のページ番号を1から順番に並べ、各ページの内容を記したものですが、そこに用紙の情報や色数も記しておくと間違いを防げる、印刷会社と情報を共有しやすいなどのメリットがあります。

印刷用紙の種類と厚さ
用紙の種類には、コート紙、マットコート紙、上質紙など様々な種類があります。
コート紙は光沢があり、写真やイラストを美しく印刷するのに適しています。
マットコート紙は、光沢が抑えられており、文字が読みやすいのが特徴です。
上質紙はコート紙やマットコート紙と違い、表面に塗料が塗られていない用紙です。光沢が少なく、書き込みがしやすいのが特徴です。
冊子印刷では使用する用紙の厚みによってもかなり印象が変わります。
印刷用紙の厚さは「○○kg」などと表され、数値が大きくなるほど厚みのある紙を表しています。用紙は品質とコストのバランスで考えることが大切です。
例えば、表紙では110kg以上の用紙、パンフレットでは90~135kgの用紙がよく選ばれるなどの目安があります。
とは言えイメージするのは難しい面がありますので、実際の印刷物を見せてもらうことをおすすめします。
印刷色(色数)
印刷物の色数は、使用するインキの数を表します。
カラー印刷では、通常4色のインキ(プロセスカラー)を掛け合わせることで、色を鮮やかに表現することができます。
単色印刷では、1種類のインキ(主に墨/ブラック)のみを使用します。
色数によって、印刷費用が異なるため、予算に合わせて適切な色数を選ぶようにしましょう。
プロセスカラー/CMYK
CMYKは、シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、Y:イエロー(Yellow)、K:墨/ブラック(Keyplate)を指し、これらを組み合わせてカラー印刷が行われます。
表面加工(表紙)
PP加工は、印刷物の表面に光沢感、もしくはマット感を与え、耐久性を向上させる加工方法で、雑誌や本などの表紙の表面にもよく施されています。
その他、箔押しや疑似エンボス加工などがあります。
製本方法
冊子印刷では、表紙と中身(本文)を合体させる製本方法を選択しなければなりません。
製本方法には、中綴じ、無線綴じ、あじろ綴じ、糸綴じなどがあります。
製本のために印刷された紙を折った部分を針金で綴じる
背の部分をカットした断面から糊を浸透させて綴じる
本文の束の背にスリットを入れ糊を浸透させて綴じる
糸で縫い合わせて綴じる
中綴じ冊子を詳しく
中綴じ冊子印刷の基本
無線綴じ冊子を詳しく
無線綴じ冊子印刷の基本
印刷用データの作成(デザイン制作、編集)
印刷に使用するデータ(印刷用データ)を自ら準備し、印刷会社に渡す場合には基本的にデザイン代や編集費用は不要です。
ただし、Wordなどで作成した原稿を印刷会社に渡し、印刷で使用できるようにしてもらう場合や、作成したデータに問題がないかチェックを依頼する場合などには、別途費用が発生することがあります。
また、自分でデータを作成した場合であっても、印刷用データの入稿にはルールがあります。
それを守らないと、意図しない仕上がりになったり、印刷自体できないという事態に陥ってしまいます。
また、印刷用データの入稿ルールは印刷会社ごとに異なる場合があるため、事前に各社のガイドラインを十分に確認しておくことをおすすめします。
校正(文字校正・デザイン校正)
校正は、もととなる原稿とその時点での完成物を比べ、間違いを正すことを指します。
文字校正では、誤字や脱字などを指摘します。
なお、一度校正し修正したものに対し、その指摘が間違いなく修正されているか、指摘の意図通りになっているかなどをチェックする校正もあります。
内校
発注者に校正刷りを提出する前に、印刷会社や制作会社が内部で校正を行うことを内校(ないこう・うちこう)と呼びます。
印刷会社にもよりますが、この内校によって、依頼者が準備した原稿内容について、誤字脱字がないかをチェックするサービスを行っている場合もあります。
色校正
色校正(いろこうせい)は、冊子の色の仕上がりに関する校正です。
通常のプリンターから出力されたものや、ディスプレイで見える色は実際の印刷物の色とは異なるため、印刷機で印刷する際の色の基準を決定するために行われます。
その多くは実際の印刷となるべく近い形で表現できる簡易的な色校正を採用します。
本番と同じオフセット印刷機、インキ、印刷用紙を用いて行う場合は、本機校正と呼ばれ、特に色に関する品質が求められる場合に利用されます。
もっと詳しく知りたい方
【色校正とは何か】意味や色校正の種類と違い・修正指示の方法も解説
見積もりを依頼する方法
印刷会社に見積もりを依頼する方法は、主にメール、お問い合わせフォーム、電話・対面商談などがあります。
それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、状況に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。
電話や対面で見積もりを依頼する場合、直接担当者と話すことができるため、細かいニュアンスや要望を伝えることができます。また、疑問点をすぐに解消できることもメリットです。ただし、担当者の都合によっては、すぐに連絡が取れない場合や、口頭でのやり取りのため、認識のずれが生じる可能性があります。
メールで見積もりを依頼する場合、事前に必要な情報を整理して伝えることができるため、印刷会社との認識のずれを防ぐことができます。また、記録が残るため、後で内容を確認する際に便利です。ただし、印刷会社からの返信に時間がかかる場合があります。
見積もりフォームは、印刷会社のウェブサイトに用意されている専用のフォームから見積もりを依頼する方法です。
必要な項目が予め設定されているため、情報を漏れなく伝えることができます。
また、24時間いつでも依頼できるのがメリットです。ただし、自由な形式で質問や要望を伝えるのが難しい場合があります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
電話・対面商談 | ・要望を伝えやすい ・疑問をすぐに確認できる | ・時間の調整が必要 ・記録が残りにくい ・担当者によって対応に差が出る |
メール | ・要望を文章で伝えられる ・時間的な制約が少ない ・記録として残る | ・返信が遅れる場合がある ・記載ミスや漏れが生じやすい ・形式に迷うことがある |
見積もり フォーム | ・気軽に問い合わせ可能 ・情報を整理して伝えられる ・記録として残る | ・返信に時間がかかることがある ・細かい要望が伝えにくい場合がある |
見積もり確認と比較
見積もりを複数の印刷会社から取り寄せたら、価格だけでなく、納期、品質、対応なども総合的に判断し、最適な印刷会社を選びましょう。
見積もり内容に不明な点や変更したい点がある場合は、遠慮なく印刷会社に追加見積もりを依頼しましょう。
追加で見積もりを依頼する際には、「用紙の種類を〇〇に変更したい」など内容を具体的に伝え、再度見積もりを依頼する旨を明確に伝えます。
印刷会社選びのポイント
印刷会社を選ぶ際には、「本当に必要なこと」と「印刷会社とそのサービス」を照らし合わせて選ぶことをおすすめします。
例えば、できる限り美しい印刷品質を望む場合や、自社内に印刷に精通したデザイナーが在籍している場合、あるいはその分野に精通した専門的なノウハウを持つ印刷会社を求める場合など、状況や用途に合わせて得意分野を持つ印刷会社を選びましょう。
対応の丁寧さについては、見積もり依頼時の対応や、質問に対する回答内容などを参考にしながら、担当者の姿勢が丁寧で信頼できるかどうかを判断することが大切です。
冊子印刷の見積もりでよくある質問(FAQ)
印刷費用の相場は、印刷物の種類、量、用紙の種類、色数、製本方法などによって大きく異なります。複数の印刷会社から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
見積もり依頼時には、印刷物の種類、サイズ、ページ数、用紙の種類、色数、製本方法など、できる限り詳細な情報を伝えるようにしましょう。また、希望する納期や予算も伝えることで、印刷会社はより適切な提案をしてくれます。
印刷会社とのコミュニケーションは、メール、電話、対面など、様々な方法があります。どの方法を選ぶ場合でも、明確な言葉で、丁寧に伝えることが重要です。また、疑問点や要望があれば、遠慮なく質問しましょう。
一般的にはPDF形式での入稿が推奨されますが、印刷会社によって対応形式が異なる場合があります。IllustratorやInDesignなどのネイティブデータも対応している場合がありますので、事前に確認しましょう。フォントのアウトライン化や画像の解像度なども注意が必要です。
はい、多くの印刷会社ではオンデマンド印刷により、10部や20部といった少部数でも対応可能です。ただし、単価が高くなる可能性があります。費用とのバランスを考慮することが重要です。
もっと詳しく知りたい方
印刷見積もりの基礎知識!依頼方法がわかる!
印刷トラブルを防ぐために
ネット印刷に依頼する場合
データ不備によるトラブルを防ぐためには、入稿前にデータのチェックを念入りに行いましょう。
また、ネット印刷会社によっては、データチェックサービスを提供している場合がありますので、活用してみるのも良いでしょう。なお、事前に見積もりをもらっていた場合は、入稿日・納品日の設定によって価格が変動する場合が多いので注意が必要です。
印刷会社に依頼する場合
事前に色校正を行うことをおすすめします。色校正とは、実際に印刷する前に、試し刷りを行い、色味を確認する作業です。色校正を行うことで、イメージ通りの色味で印刷することができます。 納期遅延を防ぐためには、余裕を持ったスケジュールで依頼しましょう。特に、繁忙期や年末年始などは、納期が遅れる可能性が高いため、注意が必要です。また、印刷会社とのコミュニケーションを密にし、進捗状況をこまめに確認することも重要です。
最後に
冊子印刷を成功させるためには、まず正確な見積もりを得ることが何よりも重要です。仕様や要望が不明確なまま進めると、納期遅延やコストの増加、仕上がりのミスマッチといったトラブルを招く恐れがあります。
また、印刷会社にはネット印刷と一般的な印刷会社があり、それぞれ特徴や強みが異なります。用途や重視したいポイント(価格、品質、対応力など)に応じて最適な印刷会社を選びましょう。
見積もり依頼時には、サイズ・ページ数・用紙・色数・製本方法・納期など、仕様を整理して伝えることが大切です。特に冊子の用途や予算感も共有することで、より的確な提案を受けることができます。
印刷トラブルを防ぐためには、入稿データの確認や色校正の実施、スケジュール管理なども欠かせません。事前準備と印刷会社との丁寧なコミュニケーションが、納得のいく冊子制作につながります。
印刷会社とネット印刷のどちらを選ぶべきか迷った場合は、価格だけでなくサポート体制や対応の柔軟性も考慮し、目的に応じて使い分けることが重要です。
特に冊子印刷では、条件によっては両者の価格差が小さいこともあるため、見積もりを比較しながら最適な選択をするのがおすすめです。
初めて冊子を制作する方も、用途や目的を明確にし、印刷会社としっかり相談しながら進めていくことで、納得のいく仕上がりを実現できます。
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