
印刷に関する深い知見とデザイン力が、印刷物の完成度を左右する
「デザインを依頼するなら、やっぱりデザイン会社?」
そう考える方も少なくありません。
しかし実は、印刷会社にデザインから印刷まで依頼することで、印刷物の完成度が大きく変わることがあります。
印刷会社は、デザインだけでなく「印刷の再現性」や「仕上がり」を見据えて制作を行うため、成果につながる印刷物づくりが可能になります。
本記事では、印刷物のデザイン制作を検討する際に、印刷会社を依頼先として選ぶ意義とその理由をわかりやすく解説します。
※本記事は、当社(ゼンリンプリンテックス)の知見や経験をもとに執筆しています。すべての印刷会社やデザイン制作会社にあてはまるものではありません。
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印刷会社のデザイン制作の特徴
印刷会社は、印刷再現まで考慮したデザインを制作する
印刷会社のデザイン制作チームは、一般的なデザインスキルに加え、「印刷」に関する深い知識と経験を持っています。
そのため、用紙や印刷加工などの条件を踏まえ、仕上がりの再現性まで考慮した設計ができ、印刷物の色味や質感などの要素において一貫した品質を保つことができます。
こうした“印刷とデザインの両立”を支えているのが、印刷会社のデザイン制作体制です。
例えば、当社ゼンリンプリンテックスのデザイン制作チームでは、印刷物に必要なデザインデータの作成から、企画段階でのデザイン提案まで幅広く対応しています。
印刷の知見を踏まえたデザインは、「印刷して美しく仕上がる」ことを前提とした実践的な設計として、多くのお客様からご支持をいただいています。
すべての印刷会社にデザイン制作チームがあるわけではない
ここで注意すべきなのは、すべての印刷会社にデザイン部門があるわけではないという点です。
在籍していても少人数で対応していたり、デザイン専門職ではないDTPオペレータがデザインを兼任している場合もあります。(通常、DTPオペレータはデザイナーが作成したデザインをもとに、印刷用データを調整・加工・修正する役割を担います。)
そのため、依頼時には「どんなデザイナーが制作を担当するのか」「どの範囲までサポートしてもらえるのか」を確認しておくことが大切です。
例:会社案内の表紙をデザインする場合
たとえば会社案内の表紙をデザインする場合、印刷会社のデザイン制作チームが確認するのは、ターゲットやコンセプトなどの基本情報だけではありません。
使用する印刷設備や用紙の種類・厚み、加工方法、特色指定の有無など、仕上がりに影響する多くの条件を事前にチェックします。実際の印刷では色校正を行い、デザインと印刷結果の差を最小限に調整します。こうしたプロセスを経ることで、より“完成された印刷物”としてのクオリティを実現できます。

印刷を理解しないデザインは、最終的に“思った通りに刷れない”という結果を引き起こします。
見た目の美しさだけでなく、「印刷として再現する」ことを設計段階で考えることが、印刷物のプロとしてデザインに向き合う姿勢だと言えます。
印刷会社とデザイン会社の違い:印刷物完成までの責任
デザイン会社と印刷会社の一番の違いは、「成果物の完成まで責任を持てるかどうか」です。
一般的に、デザイン会社は、ビジュアル表現やブランドメッセージの設計などクリエイティブ面が優れています。
しかし、多くの場合、印刷は外部の印刷会社に委託するため、印刷物としての仕上がりや再現性の部分は自社でコントロールしづらいという構造的な特徴があります。もちろん、深い印刷知識を持つデザイナーが在籍していたり、信頼できる印刷会社と連携して印刷品質まで管理する体制を整えている場合もあります。
一方、印刷会社はデザインから印刷・加工までを一貫して管理できる点が大きな強みです。
印刷工程を熟知しているため、「印刷でこう見える」「この用紙ではこう発色する」といった再現性と仕上がりを前提としたデザイン設計が可能です。特にパンフレット・カタログ・会社案内などのように、ブランドカラーや質感の再現性が求められる印刷物では、この強みが品質の安定に直結します。
印刷会社はさまざまな業種・仕様の制作を経験しており、印刷用紙や印刷加工の豊富な知見に基づいて、最終成果物=印刷物の品質を担保する体制を整えています。
ただし、先にも述べたとおり、すべての印刷会社が高いデザイン力を持っているわけではありません。
「デザイン対応可」と記載していても、実際にはDTPオペレータがレイアウト中心の制作を行っている場合もあります。
依頼前には、「どのようなデザイナーが担当するのか」「過去の制作実績はあるか」を確認しておくことが大切です。

厚生労働省職業分類(厚生労働省ホームページ)において、デザイナーは「グラフィックデザイナー」、DTPオペレータは「印刷・製本作業員」と別の分類として扱われています。
このように、デザイン会社には表現力、印刷会社には再現性というそれぞれの強みがあります。印刷まで含めた追求したい場合には、デザインと印刷の両方を理解し体制が整っている会社をパートナーとして選ぶことが重要です。
印刷会社でのデザイン制作と印刷の流れ
印刷会社では、デザイン制作を“印刷物の完成から逆算したプロセス”として進めていきます。
ここでは、標準的な流れをご紹介します。
最初に行うのは、お客様の目的とターゲットの整理です。
「どんな印象を与えたいのか」「誰にどのような場面で使われるのか」を確認します。この段階で方向性が曖昧なままだと後々デザイン修正が増えコストにも影響する傾向があります。
ヒアリング内容をもとにラフスケッチ、簡単なデザイン案を作成します。
デザインの方向性の共有を目的として、意図を明確にしながら進めます。
デザイン制作に進みます。印刷会社では、デザイン制作段階から印刷方式・用紙・加工の条件を考慮して“再現できる表現”を設計します。これが印刷会社ならではの強みです。
デザインが完成すると、校正で文字やデザイン・レイアウトをゲラ(印刷前のチェック用出力紙)で確認します。色校正を行う場合は、モニター上の見た目やゲラとの差異を確認・調整できます。
校正が完了したら印刷工程に入ります。断裁・加工・製本・検品等を経て、仕上がった印刷物を納品します。
デザインを依頼する印刷会社を選ぶ際のポイント
デザインだけでなく、「提案力」と「再現性」にも注目する
印刷会社にデザインを依頼する際は、表面的なデザインの美しさだけで判断せず、提案力や印刷物の再現性など、印刷とデザインの両面での実績を確認することが大切です。
1.提案力:印刷を踏まえたアドバイスがあるか
良い印刷会社は、デザインと合わせて「紙」や「加工」についても積極的に提案してくれます。
印刷物の目的に合わせて、「この紙なら発色が良くなります」「PP加工を施すと高級感が出ます」といった、印刷を前提にした具体的なアドバイスがあるかをチェックしましょう。
単に「どの紙にしますか?」と聞くだけの会社よりも、目的に応じた選択肢を提示できる会社の方が信頼できます。
2.再現性:印刷品質を安定させる体制があるか
印刷物の品質を左右するのが「再現性」です。
同じデータを使用しても、用紙の種類や印刷機の特性によって仕上がりに微妙な違いが生じます。
そのため、ブランドイメージにつながる仕上がりが重視される印刷物では、それを踏まえたデザインを制作した上で、色校正を行い実際の発色や質感を事前に確認します。
信頼できる印刷会社であれば、この段階で色味のズレや階調の差を調整し、最終的な仕上がりを最適化できます。こうした細かな対応が、印刷物としての再現性を高める要素となります。
また、印刷物は一度作って終わりとは限りません。
再印刷の際には、同じデザインデータを使用しても、印刷機や用紙、インキの条件によって初回と比べて色味が異なる仕上がりになることがあります。こうしたわずかな差が積み重なると、ブランドイメージやデザイン意図が損なわれてしまう場合があります。特にパンフレットや会社案内など、長期的に使用・増刷する印刷物では、将来の再印刷を見据えて品質管理体制が整っているかをチェックしましょう。
3.デザイン実績を見る
印刷会社の実績を確認する際は、自社と同じ業種・媒体の制作実績があるかを確認しましょう。飲食・不動産・学校などジャンルが違えば、訴求の仕方も異なります。過去の制作事例が、自社の目的に近いものかどうかが重要な判断基準のひとつとなります。
4.コミュニケーションと制作チーム体制
デザイン制作では、企画段階から修正に至るまで、発注者とデザイナーの意思疎通のスムーズさが非常に重要です。認識のズレが生じると、手戻りが増え、最終的に中途半端な仕上がりになることもあります。
印刷会社によっては、営業・デザイナー・生産現場がチームで連携し、ヒアリング内容や修正指示を共有できる体制を整えています。こうした体制がある会社ほど、修正対応が早く、イメージのズレが少ない傾向にあります。
印刷物のデザインの基本
4つの基本原則と情報整理
まず「何を伝えたいのか」「誰に届けたいのか」を明確にすることが欠かせません。
目的が定まっていないままデザインを始めると、要素が多くなり、訴求点がぼやけてしまいます。
印刷会社では、ヒアリング段階で目的・ターゲット・使用シーンを整理し、伝える情報を優先順位づけしてからレイアウト設計を行います。デザインは単に見た目を整える作業ではなく、情報を整理し、意図を効果的に伝えるために設計するものです。
例えば、デザインには、印刷物をより魅力的に見せるために欠かせない4つの基本原則があります。
印刷会社のデザインは、それを前提にしたうえで、印刷の再現性や視覚効果を最大限に引き出すよう設計されます。
デザインの基本原則について知りたい方は、こちらの記事で説明しています。
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ネット印刷と印刷会社を使い分ける
ネット印刷サービスの普及により、誰でも手軽に印刷を発注できるようになりました。テンプレートを選んでオンライン上で自らデザインを作成できる点も魅力です。しかし、すべての印刷物がネット印刷に向いているわけではありません。
デザインも印刷についても、印刷会社との違いを理解することで、コストと品質のバランスを取った最適な選択ができるようになります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
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デザインの原則に関するFAQ
デザイン実績豊富な印刷会社では、実際に刷った時に美しく仕上がることを念頭にデザインをつくりますが、デザイン会社の中にも、印刷知識があり、信頼できる印刷会社と連携して制作を行っている会社があります。そうした会社であれば、印刷結果まで含めた品質を期待できるでしょう。デザインを作るだけで、印刷物としての仕上がりや再現性に責任を持てないデザイン会社はおすすめできません。印刷物を「完成品」として考えられるパートナーを選ぶことが大切です。
印刷会社の見積もりを「高い」と感じる場合は、まず費用の内訳を確認してみましょう。
デザイン費だけでなく、印刷費・納品費・色校正費などが含まれているケースもあります。
そのため、デザイン費用のみの見積もりとは単純に比較できません。印刷会社の見積もりは、印刷工程まで含めた「トータルコスト」で提示されることが多いため、どの範囲までが費用に含まれているかを確認することが大切です。
印刷会社でもデザイン制作のみの対応も行っています。(例えばゼンリンプリンテックスでは、eBook用のデザイン制作も承っています)
最後に:印刷会社にデザインを頼む理由
印刷物はデザインと印刷によって決まります。
印刷会社にデザインを依頼する最大のメリットは、「デザインから印刷まで全体を見据えた品質管理ができる」という点にあります。これまで、「デザインはデザイン会社へ」と決めていた方も、一度印刷会社への依頼を検討してはいかがでしょうか。印刷の知識とデザインの力を兼ね備えたパートナーと組むことで、企業の想いを最も確実に「カタチ」にすることができるでしょう。
デザインも印刷も、ゼンリンプリンテックスにお任せください
社名 | 株式会社ゼンリンプリンテックス |
URL | https://zpx.co.jp/ |
設立 | 1947年 9月 |
事業所 | 東京、福岡、熊本 |
関係会社 | 株式会社ゼンリン、株式会社ゼンリンデータコム、株式会社ジオ技術研究所など 関係会社一覧 |

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本記事は、弊社デザイナーのノウハウ・技術・実績をもとに執筆しました。
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