【デザインイメージの伝え方】依頼する時のポイント4選-指示の仕方や思い通りに仕上がらない理由を解説

デザインの伝え方
この記事は次のような方におすすめします
  • デザインで「思っていたイメージと違う」という経験がある
  • デザインの指示の仕方を知りたい
  • デザインはデザイナーに全て任せている
  • 販促・宣伝、広報のご担当者

※実際の現場では、クライアント(依頼者)と印刷会社の営業やディレクターが打合せを行い、制作を進める場合もありますが、本記事ではわかりやすくするために、クライアント(依頼者)とデザイナーが直接やり取りをする場面を想定しています。

デザインイメージを伝える4つの方法とは

パンフレット等を作成する際にイメージ通りのデザインにするために、本記事では次の4つの方法を紹介します。

  • 具体的な表現、参考となる見本を準備して打合せすること
  • 作成する目的・ターゲット・使用される状況を共有すること
  • 修正指示はなぜそうしたいのかを伝えること
  • 面と向かって伝える場を持つこと

これら4つを見ると分かる通り、依頼者にとってより良いパンフレット等の印刷物のデザインには、依頼者とデザイナー間の適切なコミュニケーションが大切です。
それでは順を追って見ていきましょう。

デザイン依頼でありがちな「思っていたイメージと違う…」

デザインがイメージと違う
パンフレットがデザインが思い通りのイメージにならない

パンフレットなど印刷物のデザイン制作を、印刷会社や制作会社、広告代理店などに依頼した際「思っていたイメージと違う」「修正をお願いしても思い通りのデザインにならなかった」という話を耳にします。
事前に打合せを行っていなかったのかというと、そういう訳でもないようです。
また制作の途中には、ゲラ(校正・確認用に準備された出力紙)を見て「何かが違う」と思ったので、デザインに関する要望も伝えていたそうです。
しかし、このような修正を何度か繰り返したものの最終的には、依頼者が思い描いていたものとは違うものが出来上がってしまったのです。

デザイン制作においてこれはよく聞く話です。
またこのような場合、依頼者とデザイナーそれぞれに相応の理由があるものです。

なぜ、このような事が起きてしまうのでしょうか。
その理由を探っていきましょう。

デザインがイメージ通りにならない理由

理由①思い描くイメージは人それぞれ、伝わりにくい

「可愛い感じで」
「かっこよく」
「クールに」
あなたはデザイナーに、こんなデザイン指示をしたことはありませんか?

このようなデザイン指示では、自分(依頼者)と相手(デザイナー)が思い描くイメージに相違が生じる場合があります。

抽象的な表現は受け取り方に個人で差があるため、厳密には100人いれば100通りの答えが存在することになります。
そのため、依頼者が頭の中にあるイメージを「かっこいい感じで」と伝えても、デザイナーの頭の中の「かっこいい感じ」と一致させることは難しいでしょう。
依頼者が思い描くイメージにたどり着くのは決して容易なことではありません。

プロのデザイナーであれば、きれいなデザインを作ることは簡単なことです。
しかし、依頼者の頭の中にある、具体的なデザインのイメージを形にすることがとても難しいのです。

思い描くイメージは伝わりにくい
伝わったと思っていても正確に伝わっていないことも

では、次項のような依頼の仕方はどうでしょうか。

理由②デザイナーにすべて任せている

「デザイナーのセンスに任せます」
「とにかくいい感じにして下さい」
「デザイナーは専門家だから言わなくても分かるでしょ?」

これもデザインの打合せの場でよく聞く会話です。
デザイナーは原稿さえあればそれなりのものは制作できます。経験やテクニックで見映えのするものは作れるからです。
しかしそうした場合、依頼者のイメージ通りのものにならないだけでなく、目的を達成するものは出来上がらないことが多いのではないでしょうか。

本来デザイナーは、クライアント企業・販売商品・ターゲットユーザー(パンフレットを受け取る人)・競合・プロモーション戦略などを理解し、デザイン設計を行います。
印刷物本来の目的を達成できるよう、クライアントが思い描くものをビジュアル化するのです。
そのため、何も伝えずに原稿だけ渡し、あとはデザイナーの感性だけに任せてしまうと、依頼者が抱くイメージとのズレだけでなく、パンフレット等を作成する本来の目的すら達成できなくなる可能性があるのです。

もしかするとこれは、「デザイン」と「アート」を混同し、両者を同類もしくは、延長線上にあると認識してしまっていることが理由のひとつかもしれません。
デザイン≒アート、もしくはデザイナー≒芸術家と捉えてしまうと、よいデザインはデザイナーの感性次第という思考に至ってしまいがちです。
しかし、少なくともパンフレットなどのデザインとアートは異なるものです。

*知っておきたい!デザインとアートの違いとは

アートは一般的に、制作者の創造的で自由な表現と捉えることができます。
またアート作品は、その解釈を見る者に委ねつつ感情を動かすものとも言われています。

これに対しデザインは基本的に、ある目的の達成や課題解決に向けて作成されるものであり、制作者自身の自己表現ではありません。
そしてデザイン原則、色・形・見せ方等の標準化ルール、テクニックを用い、ビジュアルを通して印象を操作し、言葉で伝わりにくいもの・伝えられない情報をわかりやすく伝える手段だと考えることができます。
デザインは、なぜそのような配色なのか・レイアウトなのか…等について、その意図や根拠の説明が求められます。

理由③指示が具体的だからこその齟齬が生じている

前項では、デザイナーにすべてお任せは良くないという話をしましたが、事細かく具体的に指示をすのはどうでしょうか。
この場合によくある依頼者の不満は、「言った通りにしかデザイナーが作ってこない」というものです。

デザイナーからすれば「これは依頼者からの指示だから」と、それがおかしいと思ってもそのまま作ってしまう場合もあります。
例えば、「このコピーを120%に、色を金赤(鮮やかな赤色、通常イエロー100%マゼンタ100%)に」という依頼者の指示をデザイナーは、「おかしいけどな」と思いつつそのまま作ってしまう場合があります。
デザイナーは「依頼者からの明確な指示」と考えたためです。

しかし依頼者は、出来上がってきたゲラ刷りを見て「え?おかしいなら言ってよ!」「あのデザイナーは言われた通りにしかしない!」と不満を抱くことになります。

具体的な指示をすることが良くないということではありませんが、「なぜコピーを大きくしたかったのか、色を変えたいのか」を伝えると良かったのではないでしょうか。
そうするとデザイナーは、「それならばもっとこうした方が良い」という代替案を提示してくれるはずです。

理由④部分的な修正を繰り返している

パンフレット制作の途中で、掲載する内容や情報量の変更等による部分的な修正を繰り返したり、紙面の印象のみを先行させるようなデザイン修正の指示を行うと、結果的にデザインが崩れてしまう場合があります。

デザイナーは、紙面の印象(例えばインパクト・開放感等)や視線の誘導などを考慮し、もっとも情報が伝わるように計算してデザインを作ります。
しかし、上記のようなことが頻繁に行われると想定していたデザインの全体感は崩れ、それを何とかするために幾度もスタートラインに戻ることになります。
そしてデザインは迷走し時間の制約などと合わさって、はじめに描いていたデザインのイメージと異なるものが出来上がってしまいます。

デザインが依頼者のイメージした通りにならない理由はここに挙げただけで4つありました。
デザインはマニュアル通りにいかないからこそ、様々な要因が絡み合い、その出来が左右されるものです。
ではどうすれば良いのか?
次に、デザインの指示方法やイメージを伝えるコツについて説明します。

デザイン指示の方法やイメージを伝えるコツ

デザイン打合せ
情報を共有しコミュニケーションをとりながら制作を進めるとよい

制作物の目的・ターゲットユーザー・使用される状況等を共有する

その制作物を作成する目的やターゲットユーザー、使用される状況などを、依頼者とデザイナーで共有することが大切です。
それらの情報を依頼者とデザイナーの共通認識として据えることで、デザイナーは、より根拠のあるデザインを作り、依頼者はデザイナーの意図やデザインの根拠を理解しやすくなります。そして、思いつきではない建設的な議論を積み重ねることで、デザインはよりブラッシュアップされ満足できる仕上がりとなるはずです。

イメージは見本や参考となるもので伝える

ある人気ドラマで、新米の女性警察官が容疑者の似顔絵を書く場面が話題になりました。
その女性警察官は、目撃者から顔の輪郭や特徴を独特な方法で聞き出します。
そして、出来上がった似顔絵はとても独特なものですが、そのおかげで見事犯人検挙につながるという話です。(特にその時に書かれた似顔絵がネットで話題になりました)

頭の中にあるイメージを言語化して人に伝えることは本当に難しいもので、聞き出す側のスキル(ヒアリング力)が求められます。
デザインを依頼する際も同様、自身の頭の中にあるイメージを言語化できると良いのですが、それはなかなか難しいので、そのような場合は、まずは頭の中にイメージがあることを伝えることが大切です。

プロのデザイナーは、具現化するための質問やサンプルを示すなどしながら、上手に頭の中にあるイメージを引き出し、デザインに落とし込んでくれるはずですので、まずは相談することからはじめて下さい。

そして、思い描くイメージに近い見本、逆にこれは絶対に違うという見本をネットなどで探してみるとなお良いです。それらの何がイメージと近いのかを紐解いていくことで、両者でイメージを共有しやすくなります。

なぜそうしたいのかも伝える

「具体的な指示により齟齬が生じる場合がある」と前に述べましたが、デザイナーに具体的な指示を出す場合は、面倒であっても「なぜそうしたいのか」その理由を伝えるようにしましょう。

「目立たせるために、文字を赤色にしたい」
デザイナーはこのように聞くと、メインカラーとの兼ね合いや全体の印象を考慮し、他色の選択肢を提示するなどよりよい提案をしてくれるでしょう。

面と向かって伝える場をもつ

デザインにおいて打合せはとても大切です。
制作初期の段階では、具体的なイメージを共有するために必要なコミュニケーションの場であり、デザイン制作にとって重要なプロセスでもあります。
ゲラでデザインを確認しデザインの修正指示を行う場合も、出来れば打合せの場で面と向かって指示や意見を伝えることをおすすめします。
文字だけでは伝わりにくいこともありますし、上記のようなコミュニケーションをとることで、デザイナーから具体的な案を示してもらうことができるからです。

最後に

デザインは見た目だけでなく目的を達成するために根拠に基づいて依頼者のイメージをカタチにするものです。
そしてデザインのプロであるデザイナーは、適切なコミュニケーションによって、依頼者から必要なことを引き出し、依頼者を導く存在です。

「コーポレートカラーはありますか?それをベースカラーにしますか?」
「過去に制作したものや他社の制作物で気に入っているもの、気に入らないものはありますか?」
「それはどのような点ですか?」

デザイナーはこのような質問を投げかけながら、依頼者の意に沿いつつも目的を達成できるデザインの完成に向けて進めていきます。

ぜひ、あなたにとって最適なパートナーを探してください。

この記事を書いた人

このお役立ち記事は、私がこれまでにお客様のプロモーション課題に取り組んできた経験や、お客様からお寄せいただいた質問をもとに執筆しています。印刷をデザインやマーケティングの観点も交えながら、読者の方に少しでも分かりやすくお伝えする事を心掛けています。

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