※本記事は、当社(ゼンリンプリンテックス)がパンフレット制作に携わってきた知見をもとに執筆していますので、当社独自の考え方が含まれている場合があります
パンフレットの基本を知りたいなら
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最も重要なのは、戦略×デザイン×印刷の3つが揃うこと
①戦略がなければ、良いデザインでも行動につながらない
観光パンフレットの目的は、訪れた人やこれから訪れる人が「とって欲しい行動」を実現することにあります。
そのためには、「誰に・何を・どのように伝えるか」を決めなければなりません。
しかし、それが定まっていなければ、デザインだけなく掲載する内容すら「伝えるべき価値」から簡単にズレてしまいます。
その結果として、「制作側の視点だけで一方的に情報が並べられる」「せっかくの魅力が受け手にとって価値として伝わらない」「行動につながらない」という状態に陥ってしまいます。
また、「作らないといけないから、とりあえず作る」という流れになりがちですが、パンフレットの役割を定めないまま制作を進めると、作っただけで終わるパンフレットになってしまいます。
必要なのは、「誰に・何を・どのように伝え、どのように行動を促すか」というデザイン戦略です。
戦略がない場合に起こること
- 伝えたいことが伝わらない
- たとえデザインが良くても、内容が好意的に取られず、魅力も感じられない
- 情報が価値として受け入れられない
②デザインが未熟だと、戦略が正しくても価値が届かない
どれだけ良い戦略を立てても、デザインが未熟だと情報は受け手に届かず行動にもつながりません。
特に観光パンフレットは「第一印象」や「見て理解できるかどうか」で成果が決まる一面があるためです。
パンフレットを手に取り開いたとき、文字をじっくり読む前に視覚情報が飛び込んできます。その時、写真が暗い、情報が詰まりすぎて読みにくい、レイアウトに一貫性がなく、ちぐはぐな印象を抱くと内容を読む前に離脱されてしまいます。
また、構成が読み手にとって理解しやすい流れになっていない場合には、読んでいる途中で読むのをやめてしまうでしょう。根気強く理解しようとしてもらえるとは限りません。
そして、観光パンフレットの重要な要素である写真や地図が、以前に使用していた古い写真をそのまま流用、地図が複雑で動線がわからないなど、とりあえず準備したものを使っている場合には、「行ってみたい」という感情が生まれないでしょう。
デザインが未熟だと起こること
- 観光パンフは“視覚情報”が意思決定を左右する媒体のため、第一印象が弱いと離脱されやすい
- “伝える順番”や“視線誘導”が適切でないと、読み手に魅力が伝わらない
- 写真や地図の品質が低いと、「行ってみたい」という感情が生まれない
四季の料理や情緒ある街並み、露天風呂といった写真を最新のものに刷新したり、モデルコースごとに色分けし、所要時間に合わせて導線が一目でわかる地図へ改善したりすることで、パンフレットは「見た瞬間に理解できる」ようになり、読者の行動を喚起するカギになります。
③印刷品質が低いと、デザインの価値が再現されない
凝ったデザインなのに、どこか残念に見えてしまうパンフレットを目にしたことはありませんか。
その原因のひとつは、デザインではなく「印刷品質」にあります。
どれだけ優れたデザインを作っても、印刷品質が伴わなければ、その価値は再現されません。特に観光パンフレットは、風景・料理・街並み・人物といった色を伴う視覚情報が重要です。しかし、仕上がったパンフレットの色味や質感が、想定していたものと違ってしまうケースは少なくありません。
それでは、デザインが持つ本来の訴求力を十分に発揮できず、パンフレットを手に取った際の第一印象が弱まり、結果として行動につながらない可能性があります。
さらに、印刷に使用する用紙の選択も大きな影響を与えます。
写真が多いのに紙質が合わず映えない、コストを優先しすぎて質感が損なわれる、厚みや種類を誤って読みづらくなる。こうした問題はよく起こります。
印刷用紙は「見た目」「手触り」「読みやすさ」を左右し、デザインの印象を大きく変えるため、慎重な選択が欠かせません。
このように、印刷品質や用紙選択を誤ると、どれほど良い戦略やデザインを用意しても、その価値は十分に再現されないのです。
印刷品質が低いと起こること
- 色の再現性が低く、デザインで表現しようとした世界観が崩れる
- 用紙の選択を誤り、質感や読みやすさが損なわれる
- デザインの意図が再現されず、第一印象が弱くなる
観光パンフレットのデザインで
成果を出すためのポイント
①ターゲットを明確にすることからスタートする
ここまで説明してきたとおり、観光パンフレットにおいてデザインはきわめて重要な要素のひとつです。
デザインは、単に見た目を整える作業ではなく、“誰に・何を・どのように伝えるか”を整理し、それを“伝わる形”へ落とし込むための工程です。
そのためには、まず誰に向けたパンフレットなのかを明確にすることが出発点になります。
ターゲットが定まることで、コンセプト、配色やトーン、レイアウト、情報の優先順位、写真の選び方まで、デザイン全体の判断基準が決まっていきます。
ターゲットを考えるときに、“全員に届けたい”という発想では焦点がぼやけてしまいます。結果として誰にも刺さらない「伝わらないパンフレット」になりかねません。
ターゲットがないと「伝わるデザイン」にならない
- デザインコンセプトがぶれ、一貫した世界観が作れなくなる
- 視線誘導や紙面ストーリーが適切に設計できなくなる
- 写真の選び方・撮り方が定まらず、魅力が伝わりにくくなる
- 掲載する情報量が増えすぎて焦点がぼやける
明確なターゲット像を最後まで共有する
ターゲットは「決めるだけ」では不十分です。
関係者全員が、制作の最初から最後まで同じターゲット像を共有し続けていることが重要です。
たとえ企画段階でターゲットが設定されていても、制作が進むほど方向性がズレていくことがあります。
典型的な例(関係者間の会話)

もっとファミリー向けにしたほうがいいのでは?

そうですね。
でもシニア層もカバーしておきたいので、このページは残しておきましょう。

そうだな。でも、若者にも見てもらえるようにするべきだよ。
だから、もっとおしゃれな感じに作り直してもらいなさい。
これらの意見は一見もっともらしく聞こえます。
しかし、関係者それぞれの思いつき・好み・ひと言によって、ターゲットが少しずつズレていることがわかります。
気が付くと、企画段階で明確にしていたターゲット像はどこにも見当たらず、結果として 「誰向けかわからないパンフレット」=「誰にも刺さらないパンフレット」が出来上がってしまいます。
②コンセプトを設計する
ターゲットにどんな価値を届けたいのかを明確にすることで、パンフレット全体のデザインの方向性が定まります。
そして、その価値を読み手に正しく伝えるためには、デザインコンセプトを明確に(できれば言語化)しておくことが欠かせません。
デザインコンセプトは、配色・フォント・トーン・レイアウト・写真・コピーなど、デザイン判断の指針となるものです。
コンセプトが明確であれば、パンフレット全体に一貫性と世界観が生まれ、読み手にとって理解しやすいデザインに仕上がります。
デザインテーマとコンセプトの違い
よく混同される言葉に「デザインテーマ」があります。テーマは“主題”であり、デザインの雰囲気を方向づけるものです。例えば「レトロな街並み」はテーマとしては成立しますが、コンセプトとは言えません。なぜなら、テーマからは「どんな価値を、どのように伝えるのか」までは読み取れないからです。
このことから、コンセプトは、テーマで設定した世界観を、具体的にどのようにデザインに落とし込み、どんな価値として読み手に届けるのかを示すものだと言えます。
③行動に導くための流れ(ストーリー)をつくる
観光パンフレットは、ただ情報を並べるだけでは、読み手の行動につなげることは難しいでしょう。
大切なのは、「自分も実際に動いてみよう」と思えるようにする流れをパンフレット上で表現することです。
例えば、(1)まずは魅力を伝え興味を抱かせる、(2)体験・行動をイメージさせ自分ごとと感じさせる、(3)行動の導線を示し実際に行けそう・行ってみたいとイメージさせる。このように読み手の心理に沿ったストーリーを描くことで行動意欲を高めます。
| パンフレットの構成 | 読み手の心理 |
|---|---|
| 魅力を伝える(推しの提示) | 興味がわく、関心を持つ |
| どんな体験ができるかを表す | 自分に関係あると感じる |
| 行動(回り方・モデルコース・所要時間等)を具体的に示す | 行けそうだ・行きたいと思う |
④写真とコピーで「行ってみたい」を引き出す
観光パンフレットにおいて写真とコピーは「行ってみたい」「歩いてみたい」などという意欲を生み出す重要な要素のひとつです。
どれほどデザインが整っていても、写真が古い・暗い・季節感がない、あるいはコピーが説明的で心に響かない場合、地域の魅力は十分に伝わりません。
観光パンフレットを手に取った瞬間、読み手はまず写真を見て“行く価値があるか”を判断することもあります。
たった1枚の写真でも、印象や魅力の伝わり方が大きく変わるほど、写真は行動に直結する情報なのです。
そして、その写真に、読み手自身が歩いている光景を自然と思い浮かべられるコピーを添えることで、体験のイメージが一気に具体化します。
写真とコピーが相乗効果を発揮し、「行けそうだ」「行ってみたい」という感情を高めることができます。
観光パンフレット制作の流れ
ターゲットを決める(誰に届けるのか)
目的を達成するために、誰にどんな行動を促したいのかを明確にします。
ターゲットが定まることでデザイン判断の基準が生まれます。
コンセプトを設計する(何をどのように伝えるのか)
ターゲットに対してどんな価値を伝えるかを明確にし、トーン・レイアウト・写真などデザインの軸となる基礎をつくります。制作会社と相談しながら考えていきます。
コンテンツの選定(掲載する情報を決める)
コンセプトに沿って、載せる情報・載せない情報の基準を明確にし、情報の取捨選択を行います。
ここが曖昧だと、焦点のぼやけたパンフレットになりやすくなります。
写真撮影(または写真整理)
伝えたい価値を正しく表現できる写真を撮影・選定します。季節感・天候・人物の有無・構図など、コンセプトの世界観に合うかが重要です。
デザイン制作
コンセプトを元に、視線誘導、情報の優先順位、紙面のストーリーなどを設計し、読み手が行動までイメージできる“伝わるデザイン”に仕上げます。
誤字脱字だけでなく、写真や色味、地図の見やすさなどを多角的にチェックします。
意図したデザインが正しく再現される印刷品質であること、そしてコンセプトに合った用紙や加工を選ぶことが、完成度を左右します。
やってはいけない観光パンフレットNG事例
①情報を詰め込みすぎて、結局何も伝わらない
情報を盛り込みすぎると、“何を伝えたいパンフレットなのか”がぼやけ、読み手が注目すべきポイントが見えなくなります。
仮に読み手が興味を持ったとしても、優先情報が整理されていなければ、次にどんな行動を取ればよいかが分からず、行動につながりません。
さらに、よくある勘違いとして 「パンフレットを精読してもらえる前提」 でつくってしまうケースがあります。
しかし、実際には多くの読み手は、パンフレットを手に取った瞬間、まず数秒で「見る価値があるか」を判断します。
この段階で興味を引けなければ、それ以上読み進めてもらえる可能性は高くありません。
②とりあえず地図を載せているだけになっている
観光パンフレットの地図は、単なる“情報”ではなく、訪れる人の行動をデザインするための要素です。
地図の目的は、スポットの位置をただ並べて説明することではありません。
読み手が 「どこに何があるのか」「どのくらいの距離や時間で回れるのか」 を直感的に理解できるようにし、不安を解消しながら行動をイメージさせることにあります。
しかし、スポットを点で配置しただけの地図では、位置関係が分かりにくく、観光の導線も見えません。
また、紙面のデザインとトーンが揃っていない地図は、パンフレット全体の世界観を損なってしまいます。
地図もデザインの一部として、他の要素と統一感を持たせることが重要です。
③写真が古い・暗い・統一感がない
読み手は文章より先に写真を見て、「行く価値があるか」を瞬時に判断します。
しかし、写真が古い・暗い・季節感がずれている・色味がバラバラなどの場合、本来の魅力が正しく伝わりません。さらに、紙面全体の世界観も崩れ、読み手が“自分がそこで過ごす姿”をイメージできなくなってしまいます。
逆に、トーンが統一された写真が並ぶだけで、地域の魅力は直感的に伝わり、読み手の行動を一段階押し上げることができます。
④ターゲットが途中でブレる
先に説明した通り、制作が進むにつれて、関係者の要望や周囲の意見が重なり、はじめに決めたはずのターゲットが少しずつズレていくことは珍しくありません。ターゲットがブレていくと、写真、コピー、レイアウト、掲載情報など、パンフレットの全体の基準が揺らいでしまい、その結果、“誰にとっても中途半端な内容”になってしまいます。
ターゲットは「決めるだけ」でなく、制作の最後まで関係者で共有し続けることが不可欠です。
観光パンフレットを発注する担当者のためのチェックリスト
制作をはじめる前、制作途中、印刷の前など、次のポイントを確認しながら進めてください。
目的・ターゲット
- パンフレットの目的(促したい行動)は明確か
- 誰に届けるのか、ターゲットは具体化されているか
- ターゲットの興味・価値観を把握しているか
- 関係者全員で同じターゲットを共有できているか
伝える内容・構成
- 掲載する情報/載せない情報の基準があるか
- 魅力は整理されているか(言語化できているとよい)
素材の準備
- 使用する写真データの準備はできているか、使用許諾は確認済みか
- 必要な写真の撮影リストを作成しているか(撮影依頼の場合)
- 文章や地図は準備できているか(制作を依頼することもできる)
デザイン制作時
- デザインコンセプトは共有されているか
- ターゲットが途中でブレていないか
- 誤字・表記ゆれ・情報更新漏れをチェックしたか
- 写真の統一感(明るさ・色味など)は保たれているか
- 印刷前の色確認(色校正)が必要か判断したか
観光パンフレット制作会社の選び方
観光パンフレットの制作を依頼するに押さえておきたいポイントを3点ご紹介します。
①理解力:発注者の意図を正しく汲み取り、言語化できる
観光パンフレット制作では、「誰に・何を・どのように伝えたいのか」を正しく整理し、発注者自身が気づいていない魅力や課題まで掘り下げてくれる制作会社を選ぶべきです。良い制作会社は、発注者と一緒に“伝えるべき価値”を考え、ともに言語化するはずです。こうした姿勢があるかどうかは、ヒアリングの段階で判断できます。
②デザイン力:魅力を“伝わるカタチ”に変換できる
観光パンフレットでは、ただ美しいレイアウトをつくるだけでは不十分です。
「発信者が伝えたい価値」 と「読み手(来訪者)が求める情報」を理解し、その差を埋めながら“伝わるカタチ”に変換できる制作会社が理想的です。
そのためには、次のような力が備わっているかを確認するとよいでしょう。
- 推すべきポイントを整理できる
- 情報に優先順位をつけて考える
- ストーリーを考慮した構成ができる
- 必要な写真・コピー、地図などを具体的に提示できる
③再現性:デザインを“印刷物として”最適な品質で仕上げられるか
デザインがどれだけ良くても、印刷物として仕上がったときに「色が違う」「写真が沈んで見える」「全体が安っぽくなった」
といった問題が起きることがあります。
この原因には、制作会社側の印刷知識の不足や、適切な印刷方式・色校正方法の選択、品質管理が行えていない可能性などがあります。
- 色再現や用紙に対する知識がある
- 写真の色調整や補正の技術がある
- 色校正を含めた品質管理の判断ができる
- 印刷工程まで責任を持てる
【チェックリスト】こんな制作会社には気をつけて!
- 目的・ターゲットを確認しない
- 表面的なヒアリングで、深掘りしない
- デザインの根拠を説明できない
- 情報の優先順位が整理されていない
- ストーリーや導線を考えず、雰囲気で作る
- テーマだけ合わせ、コンセプトへの理解がない
- 要望を理由なく断る・代替案がない
- 無理な依頼も「できます」と言ってしまう
- 説明が曖昧、判断基準がない
- 色再現や紙の特性に説明ができない
- 色校正の必要性を判断できない
- 印刷は印刷会社に丸投げする
FAQ:観光パンフレットでよくある質問
情報が多すぎると“何も伝わらないパンフ”になる可能性があります。「全部載せたい」という気持ちは理解できますが、優先情報を絞れないパンフレットは、誰にも刺さらないという結果を招きかねません。
ターゲットが広いと“誰にも響かない”可能性が高まります。観光パンフでは「ファミリーも、シニアも、若者も…」とするのは失敗するパターンのひとつです。
制作会社に全てを丸投げすると、曖昧なうちに制作が進み完成後に「何か違う…」という状況が起こります。例えば当社では、お客様と制作会社がともに考え、結果をみて改善を繰り返すことがベストだと考えます。
まとめ
観光パンフレットを成功させるために、特に発注者が押さえておくべきポイントは次の3つです。
- ターゲットと目的を明確にすること
だれに、どんな行動を促したいのかが定まらなければ、どれだけ写真やデザインにこだわっても伝わりません。 - 魅力を“伝わる形”に編集し、写真・コピーで世界観をつくること
観光パンフでは、写真とコピーが読み手の意欲を左右します。 - その意図が制作〜印刷までブレずに再現されること
制作会社の理解力、デザイン力、再現性が不足すると、完成物は“誰にも刺さらないパンフレット”になってしまいます。
この記事で紹介した内容を参考に、ぜひ成果につながる観光パンフレットを完成させてください。
デザインも印刷も得意なゼンリンプリンテックス
| 社名 | 株式会社ゼンリンプリンテックス |
| URL | https://zpx.co.jp/ |
| 設立 | 1947年 9月 |
| 事業所 | 東京、福岡、熊本 |
| 関係会社 | 株式会社ゼンリン、株式会社ゼンリンデータコム、株式会社ジオ技術研究所など 関係会社一覧 当社は、株式会社ゼンリン(東京証券取引所プライム市場)のグループ会社です |

【特集記事】広報・販促・宣伝をサポートするパートナー
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