紙媒体とは?紙媒体の種類や効果|メリット6選デメリットも解説-紙媒体だから出来る事

紙媒体のメリットデメリットとは

さまざまなものがデジタル化する今、紙媒体は不要となったのでしょうか?

紙媒体をデジタルメディアに置き換えることを前提とするのではなく、ターゲットや目的に合わせてそれぞれを利用し、相乗効果を高めることがプロモーションにおいては重要だと考えています。

本記事では、デジタルメディアと紙媒体を上手に活用するために、「知っているようで知らない、紙媒体の基礎知識」についてまとめました。
ぜひご一読ください。

そもそも、紙媒体とは何か?

紙媒体とは

まずは、紙媒体とは何か、言葉の意味を確認しましょう。

紙媒体とは、情報を伝達するために紙へ印刷したもの(印刷物)のことです。
プロモーション(広告)における紙媒体には、カタログ、パンフレット、DM(ダイレクトメール)、チラシ、ポスターなどの広告メディアがあります。

紙媒体広告の種類とは?代表的な紙媒体広告5選

広告として使用される代表的な紙媒体を5つピックアップし、その特徴をご紹介します。

チラシ(折込・ポスティング・手配り)

新聞等に折り込まれる「折込チラシ」、ポストに直接投函される「ポスティングチラシ」、店頭に設置または配布される「手配りチラシ」などがあります。
チラシの目的は、消費者にアピールし、来店や商品・サービスの購入などの行動(アクション)を促すことです。
また、何度もチラシを配布することで、認知度向上や親しみを感じさせる単純接触効果を狙う場合もあります。

※単純接触効果:何度も繰り返して接触すると、印象・好感度が高まり興味を持つようになるという心理現象。ザイオンス効果とも呼ばれ、ビジネスシーンでもよく活用される

DM(ダイレクトメール)

ダイレクトメールとは一般的に、宣伝・販売促進を目的として、ターゲットとなる個人や企業にはがきやカタログなどの印刷物を郵便等で届けることで、「DM」と略されることもあります。
ダイレクトメールは、インターネットが普及した今でも効果の高いメディアとして、教育(受験生向けの塾、通信教育など)や着物(成人式用)、自動車ディーラー・デパート/専門店(会員向けイベント案内)などの小売業、飲食店、金融・保険などさまざまな業界で利用されています。
ダイレクトメールは、BtoC企業だけでなくBtoB企業においても直接的なマーケティング手法として有効なツールです。

フリーペーパー(フリーマガジン)

定期的に無料で配布する印刷媒体で、基本的には広告収入によって運営されます。
一般的に、地域のイベントや店舗・グルメ・美容・レジャー・歴史などの情報をテーマに沿って読者(ターゲット)に向けて発信し、ターゲット層に合った広告を掲載します。
ポスティングや交通機関、公共施設などに設置されたラックから、手に入れることができます。

パンフレット

パンフレットの代表的なものには、会社案内や病院案内、製品・サービスパンフレットがあります。
会社案内や病院案内の役割は、自社または自院のことをよく知ってもらうためです。
また、製品やサービスのパンフレットは、その会社が提供する特定の製品(商品)・サービスについて、関心を持ってもらうためにアピールするツールです。

カタログ

基本的にカタログは、自社が取り扱う商品やサービスを一覧として網羅的に見せ、スペックや価格の違いがすぐに理解できるように作成されます。
カタログの目的は、商品やサービスを検討・選択してもらい購買につなげることです。
そのため、見やすさや探しやすさ(検索性)が重視されます。

生活に浸透するデジタルメディア

デジタルメディアの浸透

美容室で、お客様の年齢や性別、趣味に合わせた雑誌が渡される光景を、以前から見かけていました。
最近では、雑誌の代わりにタブレット端末が手渡され、お客様は自分の好きな雑誌を電子書籍で楽しんでいる、そんな光景を目にすることが増えています。
実は、私がはじめて「デジタルメディアが生活の中に浸透している」ことを実感したのは、美容室でタブレット端末を手渡された瞬間でした。
実際に使ってみると、雑誌を流して見ることが多い美容室では、デジタルメディアが最適!というのが正直な感想です。

この場面ではデジタルメディアが最適でしたが、紙媒体の方が価値を発揮するターゲットや用途、場面があります。
次に、紙媒体とデジタルメディアを比較して、紙媒体のメリットについて見てみましょう。

紙媒体のメリット-デジタルメディアとの比較

紙媒体のメリット

例えば、ある企業では紙のカタログを毎年取引先に届けています。取引先の担当者の手元に実際のカタログがあることで、何かが必要となった場合に、まずはそのカタログを開くという習慣ができ、担当者が変わった際にも、カタログが新任者に引き継がれることで、継続的な取引につなげやすいというメリットがあるそうです。

デジタルが苦手な人にも情報が届く

日常生活でスマートフォンやPCなどでインターネットを上手く使いこなせない高齢の方、デジタル機器を保有できない人など、情報格差(いわゆるデジタル・ディバイド)の拡大が問題となっています。
そのようなデジタルメディアからの情報取得が得意ではない人、またはそれが困難な人にとって、紙媒体は貴重な情報源です。

デジタルが苦手な人にも紙媒体は情報が届く

また現状では、公共性のある情報を発信する際は、あらゆる媒体を通じた広報が求められていますので、そのような際にも紙媒体は有用だと言えます。

視認性・可読性・一覧性を確保しやすい

紙媒体では基本的に、ページなどで区切られたスペースの中で分かりやすく情報がまとめられます。
そして、文字や写真を鮮明に、そしてユニバーサルデザインの視点も踏まえて表現することができます。

また、紙媒体は、机に並べて全体感を把握したり、見比べたりすることができます。
一方デジタルメディアは、スマートフォンで広告を閲覧する時は、縦にスクロールさせなければならないことがほとんどで、紙媒体と比べると一目で全体感を把握し見比べるのには不向きです。そのためデジタルメディアでは、はじめの段階で興味を持たせることが出来なければ、そのサイトから離脱されることがあります。

そして、一般的なPCモニターの解像度は、紙媒体よりも低いため、写真や文字の鮮明さが損なわれてしまいます。

感覚マーケティングと相性がよい-紙媒体で差別化も

感覚マーケティングという言葉をご存じでしょうか?
感覚マーケティングとは、消費者の五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)に訴えかけ、商品や企業の印象または、ターゲットの次の行動に影響を与えようとする考え方です。

紙媒体における感覚マーケティングの例として、次のようなものがあります。

  • 表紙などに、印刷加工で目にとまるような工夫を施す
    (ニス加工、エンボス加工、箔押し、型抜きなどの加工)
  • 印刷物を手に取った時の手ざわりで訴える-温かみやなめらかさなど
    (印刷用紙の種類(特殊紙))

また、最近増えているのは「印刷物にまで配慮する企業」として差別化を図ることです。
印刷物に抗菌加工・抗ウイルス加工を施したり、環境に配慮した森林認証紙やベジタブルインキで印刷物を作成するなどが挙げられます。

信頼を得やすい

次に、紙媒体の特徴として信頼を得やすいという点に着目してみましょう。

みなさんは、同じ情報でも、その情報をWEBやSNSから得た場合と、紙媒体から得た場合に、紙媒体の方が信用できそうだと感じたことはありませんか?
そのように感じるのには、いくつか理由が考えられます。

  • 紙媒体は以前から長い間、私たちの生活や文化に根付いている
  • 紙媒体は、印刷後修正ができないため(修正は刷り直しとなる)、制作者・制作会社(印刷会社など)などのチェックが入念に行われている
  • 紙媒体に掲載されている情報(特に出版物などで)は、発行者の責任において発行されている
入念なチェック-校正
紙媒体の作成には、校正や校閲と呼ばれるチェック・修正が行われている

翻ってWEBメディアは、誰でも手軽に情報発信、またその修正ができる、物理的なモノとして存在しないなどから、信頼という面で偏向的な見方をされる場合があります。

記憶に残りやすい・理解度が高い

紙媒体は、記憶の定着や記憶の想起、内容の理解度でデジタルメディアより優れていると言われています。
見た人の理解を深め、記憶に残るということは、紙媒体を広告に使用するメリットのひとつとなります。

[参考]紙媒体とデジタルメディアの記憶に関する研究結果

スケジュールなどを書き留める際に使用するメディア(紙の手帳や、スマートフォンなどの電子機器)によって、記銘(記憶の定着)に要する時間が異なり、想起(記憶の再生)での成績や脳活動に差が生じることを初めて明らかにしました。~中略~
電子機器にはない紙の特性が、五感を通して空間的な手がかりを与えることで、より深い記銘を可能にするという仮説を支持します。教育やビジネスにおいて電子機器が多用される中、記憶力や創造性につながる紙媒体の重要性が明らかとなりました。

出典:東京大学 大学院 総合文化研究科「紙の手帳の脳科学的効用について」(2021年3月19日)~使用するメディアによって記憶力や脳活動に差~(東京大学大学院総合文化研究科、(株)日本能率協会マネジメントセンター、(株)NTTデータ経営研究所の共同研究)

手元に残り、繰り返し読んでもらえる

紙媒体は物理的に手元に残せるため、いつでも手に取って、繰り返し読むことが可能です。

ずっと残しておきたい・また読みたいと思った書籍や、気になる製品のパンフレットはデジタルメディアではなく、紙媒体を手に入れたいと思ったことがあるのではないでしょうか。
手元に残したいという所有感を満たすなどの理由から、紙媒体を望む人もいます。

また、貴重な文献などはデジタルと紙の両方で保存されるなど、物理的な記録媒体としても活用されています。

紙媒体のデメリット

紙媒体のメリット

このように、紙媒体にはさまざまな利点があることがわかりました。
では次に、紙媒体がデジタルメディアに敵わない点を考えてみましょう。

新しい情報を即座には届けにくい

前述の通り、紙媒体はさまざまな人のチェックを経て発行されことが多く、また印刷・配送・配布という工程があります。(紙媒体のメリット-3.信頼を得やすい 参照)
そのため、どうしても時間を要してしまい、リアルタイムな情報を届けることは得意ではありません。

印刷後の修正は難しい

紙媒体は、印刷を終えた後で掲載内容を修正する場合、デジタルメディアに比べて多くのコストを要することが多くなります。その印刷物をすでに配布していた場合には、回収・廃棄も必要になる場合があります。
だからこそ、印刷物はよく考えて作成され、印刷前には入念なチェックが行われています。

掲載できる情報量には限りがある

紙媒体に掲載できる情報量は、その印刷物のサイズやページ数、デザイン・レイアウトなどによって決まります。
無理に多くの情報を掲載しようとして、紙面が見にくくなってしまっては、手に取ってもらえないかもしれません。
一方、デジタルメディアはどうでしょうか。
例えばWEBサイトでは、ページスクロールや遷移、リンク設置によって多くの情報を伝えることができます。
もちろん、それが読まれるかどうかは別問題ですが、掲載できる情報量という面では、デジタルメディアに利があります。

リーチできるターゲットやエリアに限りがある

40代以降では高齢になるほど、紙媒体の利用が多い。
若い世代ではデジタルメディアを中心に、情報の種類によって紙媒体を利用するといったように、デジタルメディアを上手く使い分けている。
世代別の紙媒体とデジタルメディアの利用についてはこのような印象があります。

またデジタルメディアは、インターネットをを介して容易に配布することができ、拡散性があるのに対して、紙媒体は、配布・設置できるエリアや範囲が限られてしまいます。

最後に-結局、紙媒体は必要なのか?

WEB広告、電子書籍、書類デジタル化、パンフレットやカタログ等のデジタルブック化など、これまで紙媒体が担っていた役割をデジタルメディアが果たすようになっているのは事実です。

しかし一方で、デジタルメディアが浸透してきたからこそ、紙媒体の有用性が見直されたり、デジタルメディアと組合せることによる相乗効果などが注目されているのも事実です。
コンテンツマーケティングに取り組む企業でも、WEBコンテンツを中心としながらも、パーソナライズしたダイレクトメールを郵送するなど紙媒体を活用しているところがあります。

紙媒体かデジタルメディア、どちらがよいか決めるのは顧客です。
CX(顧客体験)向上を実現するために、紙媒体の効果的な利用を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

このお役立ち記事は、私がこれまでにお客様のプロモーション課題に取り組んできた経験や、お客様からお寄せいただいた質問をもとに執筆しています。印刷をデザインやマーケティングの観点も交えながら、読者の方に少しでも分かりやすくお伝えする事を心掛けています。

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