病院パンフレット作成のポイント|デザインや制作の流れを解説

総合病院・クリニック・歯科医院など多くの医療機関で活用される「病院案内」ですが、
ただ病院の理念や施設を紹介するものになっていませんか?

病院パンフレットを集患や人材確保に活用するために必要な、考え方やデザインの「基本」を説明します。

【この記事は次のような方におすすめです】
  • 医療機関でパンフレット制作のご担当者様
  • 病院案内のリニューアルをご検討中の方
  • 病院・医療機関の広報ご担当者様

ゼンリンプリンテックスの
病院案内作成メソッド

病院案内パンフレットの種類と内容

パンフレットは目的やターゲットによって、掲載する内容や構成、デザインが異なります。
まずは、病院パンフレットの主な用途を整理します。

総合案内| 患者・医療機関など幅広く

医療機関の沿革や医療法人としての理念などを総合的に紹介するパンフレットです。
患者向けとして使用されるほか、職員採用ツールとしても使用されます。また、他の医療機関との連携や病院機能評価審査の際の資料としても使われています。

診療案内| 患者やその家族向け

病院の治療方針や診療科目や診療時間、どのような医師がどんな診療を行っているか、使用する医療機器は何か、など病院の情報を、初診・再診・紹介で来院される患者向けに発信するためのパンフレットです。

採用案内| 就活学生や求職者向け

看護師や保健師、薬剤師などのスタッフ採用に特化したパンフレットです。
人手不足が加速するなか人材確保のために、キャリアパスや働く環境、サポート体制、先輩職員の様子、教育プログラムなど、就活者が知りたい情報を伝えるのが目的です。
また、入職後のミスマッチを減らすためにも、出来る限り詳しい情報を提供することが望まれます。

  • 求職者が知りたい情報を中心に校正する
  • 「働く自分」を想像させる
  • 良い面だけでなく、求められる姿勢や覚悟を伝える

病院パンフレットの作り方-企画から納品までの流れ

病院パンフレット制作は、ただデザイン会社に依頼するだけでは期待通りの成果は得られません。関係者間の合意形成や企画設計など、事前準備がとても重要です。ここでは、病院パンフレット制作の基本的な流れを紹介します。

1.目的の明確化と関係者の整理

まずは「何のために作るのか(目的)」を明確にしましょう。
例えば、患者向けの診療案内、採用活動向けの人材アピール、他医療機関向けの紹介資料など、目的によって内容と構成は大きく異なります。

2.コンセプト設計と台割(構成案)の作成

誰に、何を、どう伝えるかを明文化した「コンセプト」を設定します。
このコンセプトをもとに、ページ構成(台割)を制作会社と共有することで、デザインや内容にブレがなくなります。

3.原稿・写真の準備とデザイン制作

原稿素材や写真を集める段階です。
この際、写真やコピーの質によって印象が大きく変わるため、外部のカメラマンやコピーライターの活用も検討しましょう。

4.校正・承認

デザイン初稿が完成したら、関係者によるチェックと修正指示を行います。承認の回数が多いとスケジュールが遅れるため、誰がいつ判断するかを事前に決めておくことが重要です。

5.印刷・納品

デザイン初稿が完成したら、関係者によるチェックと修正指示を行います。承認の回数が多いとスケジュールが遅れるため、誰がいつ判断するかを事前に決めておくことが重要です。

病院パンフレット 「デザインの基本」とは

デザインのポイント

次に、病院案内パンフレットのデザインや内容を考える際のポイントを説明します。
病院案内のデザインを考える際、ぜひ参考にしてください。

安心感と信頼感をベースに

病院のパンフレットは、「安心」「信頼」を感じられるデザインが基本です。
一般企業の会社案内では、“おしゃれ” “インパクトがある” “かっこいい”など、印象に残ることを最優先に考えたデザインが好まれる場合があります。
しかし、病院のパンフレットの場合は、医療のイメージに欠かせない「安心」と「信頼」を感じさせるデザインをベースに考える必要があります。
その上で、その病院「らしさ」=こだわりやアピールポイントが表現された病院案内は、手にとる患者や家族、他の医療機関、就活者の不安を解消し、病院の魅力をよりアピールさせるブランディングツールになります。

コンセプトに沿ったデザインで

パンフレットを作成する際に最も重要なのは、コンセプトをしっかり決めることです。

まずは「誰に・何を・どのように」伝えるかを明確にし、コンセプトを固める。
その上でデザイン制作に入らなければなりません。
パンフレットを作った後の、「思い描いたものと違うものが出来上がった」「統一感がなく読みにくいものになってしまった」「読み手に訴えかける力が希薄」、という後悔や不満の原因は、コンセプトを固めていない、もしくは、関係者間でコンセプトを共有できていないことによる場合がほとんどです。

また、「せっかく作るのだから…」と、あれもこれもと多くの情報を掲載したくなるのは、よくある話です。
欲張って情報を詰め込みすぎると、読もうとする人の読む気(意欲)を削いでしまい、結局、誰にも・何も訴求できないという結果が待っています。
パンフレットを作る際には、伝える情報をしぼり込んでいくことも大切な作業です。
そしてこの時も、コンセプトに沿って考えることが大切です。

このように、掲載する情報をしぼり込み、デザインやコピーを作り込んでいく過程で、コンセプトはとても重要な役割を担うのです。

では、“ コンセプトを決めるためには「誰に・何を・どのように」伝えるかを明らかにする必要がある ”と述べましたが、具体的にどうすればよいのでしょうか。

医療機関に共通するパンフレット制作時の注意点

病院・クリニック・診療所など、形態の違いはあれど、医療機関に共通するパンフレット制作上の注意点があります。

医療用語や専門用語に注意する

患者やその家族など一般の方向けのパンフレットでは、専門用語は避け、わかりやすい表現に言い換えることが必要です。

法的な表現・薬機法のチェックも忘れずに

治療内容や効果に関する表現には制限があります。「絶対に安心」など、誤解を招く表現は避け、誇大表現にならないようにチェックが必要です。

マーケティング視点を取り入れる

現在は、医療機関をはじめ行政や学校などでもマーケティングの考え方を応用することが増えています。

マーケティングの考え方では、サービス業の特性を「無形性」「同時性」「変動性/異質性」「消滅性」としていますが、医療サービスの特性についても同様に考えることができます。
この特性をふまえサービスマーケティングモデルで医療サービスを考える場合、医療機関・スタッフ・患者を軸に、「医療機関と患者(外部)」(エクスターナル・マーケティング)、「医療機関とスタッフ(内部)」(インターナル・マーケティング)、「患者とスタッフ(双方向)」(インタラクティブ・マーケティング)の視点で捉え、満足度向上のための要素を、快適さや充実した設備、優秀で教育されたスタッフ、コンプライアンス強化などとされます。
この話を医療機関で働く人とすると決まって、「当然のことだ」という回答が返ってきます。
医療機関はマーケティング思考を軸に、「常に安心と満足感を求める患者のために、その医療機関の理念や価値観をスタッフと共有し、さまざまな取り組みを早くから行ってきたのだ」と感心します。

では、マーケティングのコミュニケーションツール「パンフレット」ではどうでしょうか。

「パンフレット」にもマーケティングの視点を取り入れて制作されているでしょうか。
「マーケティング視点」と言っても、難しく考える必要はありません。
マーケティングのフレームワークを活用すれば、どなたでも簡単に取り組むことができます。

まずは、マーケティングフレームワーク「STP分析」(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)を使って、「誰に」「何を」アピールするのかを考えることからはじめてはいかがでしょうか。

マーケティング視点で見ていくと、今まで気づかなかった価値や強み、アピールポイントに気づくことがあります。
パンフレット作成は、自社・自院を見つめ直す絶好の機会と考えて取り組むとよいかもしれません。

STP分析とは何か|ポイント・活用例を紹介します
マーケティングの基本、STP分析についてポイントや活用例をまとめています。

病院案内パンフレットの役割を明らかにする方法

パンフレットなどのプロモーションツールでは、その役割を明確にしておくことが大変重要です。
何のためのパンフレットか?どのような使用シチュエーションを想定しているのか?
病院案内パンフレットにおいても、こうした視点を事前に明らかにしておくべきです。
それによって、パンフレットの内容や構成、デザインの方向性も大きく左右されるからです。

マーケティングファネルで考えてみる

病院案内パンフレットの役割を考える時、マーケティングファネルが参考になります。
マーケティングファネルとは、消費者が商品・サービスを知ってから購入・利用に至るまでの心理的・行動的なプロセスを段階的に表したモデルです。「ファネル(漏斗)」という名前の通り、はじめは多くの潜在層、見込み客が存在し、段階を経るごとに数が絞られていく構造をしています。

  • 【認知】 商品やサービスの存在を知る
  • 【興味・関心】 魅力を感じ、もっと知りたいと思う
  • 【比較・検討】 他社・他サービスと比較しながら選定する
  • 【行動・購買】 購入・申し込みなどの具体的な行動を起こす
  • 【継続・ファン化】 リピート利用・他者への紹介

これは、一般的なマーケティングファネルですが、このように「相手が今どの心理状態にあるか」という、行動や認知フェーズを考えていきます。もちろん、すべてこのファネルに表現できるとは限りませんが、どの段階の人に何を届けるかを明確にする助けとなります。

例えば、採用案内であれば、求職者の行動にあてはめながら、どの段階で使用するパンフレットなのかを考えます。
そうすると自ずとそのパンフレットの役割が見えてきますし、その段階での求職者の状態を考慮した掲載内容やデザインを検討することが出来ます。

病院案内パンフレットでも「なんとなく一通り情報を詰め込んでいる」状態は、読む人の心理状態に合った訴求ができず、印象にも残りにくくなります。このファネルの考え方を落とし込んで考えてみると、

  • 「どの段階の読者に向けて作るのか」
  • 「その段階では何が知りたいのか」
  • 「どんなデザイン・情報構成が適しているか」

といったことが明確になり、より効果的で戦略的なパンフレット設計が可能になります。

最後に

病院パンフレットを作成する際は、次のことを意識してはいかがでしょうか。

・ 「言いたいことを言う」だけの内容にならないようにする
・ 「アピールするような特徴がない」と悩んだら、第三者の意見も参考にする
・ 病院パンフレットの作成やリニューアルは、自院を客観的に見つめ直す機会と考える


そして、コンセプト設計やデザインなど専門的な分野は、ノウハウのある制作会社とじっくり相談しながら進めることをおすすめします。

病院案内など医療施設パンフレットの制作はおまかせください

ゼンリンプリンテックスでは、病院など医療関連施設のパンフレット制作を承っております。病院案内、入院案内、採用パンフレットなど、お客様の課題を解決するために伴走いたしますので、ぜひ弊社のサービス内容をご覧ください。

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広報誌|北九州病院グループ西日本産業衛生会様
西日本産業衛生会様は、健康情報誌 あんしん通信「まもる」を発行し、地域の医療や健康、文化情報などを広く発信しています。冊子の顔である表紙は、造形作家 入江千春氏に依頼し、ほのぼのとした子どもたちの表情が、どこか懐かしい風景に溶け込んだ光景を、素焼きの人形で表現。…

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この記事を書いた人

このお役立ち記事は、私がこれまでにお客様のプロモーション課題に取り組んできた経験や、お客様からお寄せいただいた質問をもとに執筆しています。印刷をデザインやマーケティングの観点も交えながら、読者の方に少しでも分かりやすくお伝えする事を心掛けています。