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近年、環境問題がますます深刻化しています。
特に、温室効果ガスの排出による地球温暖化が注目されており、多くの企業がCO2排出削減に取り組んでいますが、これは印刷業界でも同様です。
本記事では、カーボンニュートラルへの取り組みの一例として、印刷機のカーボンニュートラルについて紹介します。
印刷機製造時には多くのCO2が排出される
はじめに-印刷機の基礎知識
まずはじめに、印刷機について簡単に説明します。
現代はオフセット印刷という印刷方式が主流となっています。
オフセットと呼ばれる理由は、版に付けられたインキを一度ゴムブランケットなどに転写(オフ)した後で紙などに印刷(セット)すると考えると理解しやすいでしょう。
オフセット印刷は、印刷物の仕上がり(写真や色などの再現性など)に優れ、品質が重視される印刷物を大量に印刷する場合に向いているため多くの印刷会社で用いられています。
当社でも複数のオフセット印刷機を所有しており、日々さまざまな仕様の印刷物を製造しています。
オフセット印刷機は大きな機械です。オフセット印刷機が稼働する姿をはじめて見た時、その迫力に驚かれる方もたくさんいらっしゃいます。
余談ですが…
印刷会社と言えば、映画「男はつらいよ」に登場する印刷会社をイメージする方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は映画に登場する印刷機はしばらく活版印刷機でした。しかし、1980年代の作品になるとオフセット印刷機が導入されています。
※第32作(1983年公開)では、朝日印刷にオフセット印刷機が導入されたことが分かるやりとりがあるそうです
印刷機製造時のCO2排出量とは?
これだけ大きな機械(印刷機)を製造する際には、どうしてもCO2を排出してしまいます。
オフセット印刷機の場合、200トン以上のCO2がその製造過程で排出されるというデータもあります。
印刷機製造時に排出されるCO2の原因のほとんどは「鉄」だと思われがちです。
しかし実際は、機械重量としてはわずかな電子部品も大きな要因となっています。
これは、電子部品に含まれる貴金属やレアアースが、非常に複雑な洗浄工程を経て製造されるためと言われています。
印刷機のカーボンニュートラルとは
このような中、当社では新たに「カーボン(CO2)ニュートラル印刷機」を導入しました。
私たちが導入する印刷機を検討する際に注目したのは、次の2点です。
- 印刷機製造時に排出したCO2をオフセット可能であること
- 印刷の生産性が向上し、エネルギー消費量減少が見込めること
カーボンニュートラルについて詳しく知りたい方は、「カーボンニュートラルとは-企業が取り組むメリットなど基本を解説」をご覧ください
カーボン(CO2)ニュートラル印刷機
当社が導入したオフセット印刷機は、ハイデルベルグ社製のCO2ニュートラルマシンと呼ばれるものです。
この印刷機では、製造する時に排出されるCO2を算出※しています(CO2フットプリント)。
そしてそれは、印刷機の生産時だけでなく、原料の鉱石採掘時や鉄鋼生産時など上流段階も考慮されたものです。
実は、印刷機のCO2排出量を計算する国際的な基準はありませんでした。
そこでハイデルベルグ社は、ダルムシュタット工科大学と協力し、印刷機のCO2フットプリントを正確に計算する方法を考案しました。
フラウンホーファー研究機構(欧州最大の科学技術分野の応用研究機関)は、ハイデルベルグ社の計算方法を検証し証明しています。
このオフセット印刷機は、消費エネルギー効率の向上や損紙削減にも貢献します
227tのCO2eをオフセット
今回導入した印刷機を製造する際に排出されたCO2e※は227t。
このCO2eに一致した排出クレジット(気候保護認証書)を購入することでオフセット(埋め合わせ)しました。
※CO2e…CO2以外の温暖化効果ガスもCO2に換算して算出した合計値
エチオピアのソドなどの森林再生地域をサポート
オフセットされたクレジットは、「エチオピアソドプロジェクト」※などに充当されます。
このプロジェクトは、京都議定書に基づき、森林再生に関する最高基準である「ゴールドスタンダード」に基づいて認証されています。ゴールド・スタンダードの認定を受けたプロジェクトは、環境(土壌、水、生物多様性)に対してさらなるメリットをもたらすと同時に、地元の人々にも利益をもたらすものでなければなりません。上記プロジェクトでは、「アジェンダ2030」の17の国連持続可能な開発目標(SDGs)のうち、11の目標がサポートされています。
※エチオピアのソドの森林再生地域で取り組んでいる生態学的および社会持続可能性の活動
最後に
この記事では、SDGsやカーボンニュートラルに向けた取り組みとして、CO2をオフセットする事例を紹介しました。
しかし、SDGsに貢献する方法はもっと身近なところにもあります。
こちらの記事もご参考にしていただけると嬉しいです。
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このお役立ち記事は、私がこれまでにお客様のプロモーション課題に取り組んできた経験や、お客様からお寄せいただいた質問をもとに執筆しています。印刷をデザインやマーケティングの観点も交えながら、読者の方に少しでも分かりやすくお伝えする事を心掛けています。