社史(年史)・記念誌の制作費用を抑えるアイデアと注意点

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この記事を読むとわかること

社史(年史も含む)や記念誌を作成する際、コストをおさえながらも高品質なものを作りたいと考えるのは自然なことです。
しかし、特に社史や記念誌においては、制作費用を安く抑えることばかりに気を取られてしまうと、完成したものを手にした時に後悔することになりかねません。そのようなことが起こらないように、本記事では、社史や記念誌の制作コストを抑えるアイデアと注意点について説明します。

【この記事でわかること】
  • 社史や記念誌作成にかかるコストを抑えるアイデア
  • 社史・記念誌の印刷費用を予算の範囲にとどめるための考え方
  • 後悔したくない!制作予算を抑える時の注意点

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社史・記念誌の制作にかかる費用の相場

制作費用は100万円?1000万円超?

社史や記念誌の制作や印刷にかかる費用は、印刷部数、ページ数、依頼する内容など様々な要素によって異なります。
あくまで一例ですが、ある企業の記念誌は350万円、またある企業では1000万円超、そして別のある企業は100万円程度などという場合もあります。
このように、社史や記念誌の制作費用はさまざまで、「〇〇〇万円の費用がかかります」と一概に言うことは難しいのです。

社史・記念誌の基本的な費用内訳

一般的に、社史や記念誌を制作する際、外部に依頼するためにかかる費用として次のようなものがあります。

デザイン制作費

社史や記念誌のデザイン費用は、制作会社や依頼内容によって大きく異なります。一般的には、デザインの複雑さや制作するページ数などが影響します。
デザイン費用の内訳としては、以下の項目が挙げられます。

  • コンセプト立案・企画費
    社史・記念誌のテーマやターゲット層、コンセプトを決定し、全体的な構成を企画する費用です。
  • デザイン制作・レイアウト費
    表紙、本文、写真、イラストなどのデザインを制作する費用です。デザインの修正回数によって費用が変わります。レイアウト費は、デザインされた要素を組み合わせて、誌面全体のレイアウトを作成する費用です。

印刷費用の内訳

印刷費用は、用紙の種類、印刷方法、部数によって大きく異なります。一般的には、高品質な用紙や印刷方法ほど費用が高くなります。印刷費用の内訳としては、以下の項目が挙げられます。

  • 用紙代
    紙質、厚さ、サイズによって費用が変わります。
  • 印刷代
    印刷方法(オフセット印刷、デジタル印刷など)によって費用が変わることがあります。
  • 製本代
    製本方法(無線綴じ、中綴じ、糸かがりなど)によって費用が変わります。
  • 加工代
    紙の加工(ニス、箔押しなど)などによって費用が変わります。

その他の費用項目

デザイン費や印刷費の他にかかる費用として、原稿作成のためのライターによる執筆費用、インタビューなど取材にかかる費用、撮影費、誤字脱字や日本語表現をチェックする校正費用、イラスト制作費用などがあります。
これらをどう扱うか(不要なものと考える、もしくは社内リソースでまかなうなど)によって、社史・記念誌の制作費用に幅が出てきます。

  • 原稿作成・執筆費
    専門のライターが、お客様が提供した原稿をもとに文章をリライトしたり、資料をもとに文章を作成する費用です。
  • インタビュー・取材費
    座談会やインタビュー形式のページを作成するためにかかる取材費用です。このインタビューや取材をもとに、前項の原稿作成を行う場合もあります。
  • 写真撮影費用
    記念誌に掲載する写真撮影が必要な場合は、別途費用が発生します。
  • 校正費
    誤字脱字がないかチェックする費用です。
  • イラスト制作費用
    イラストレーターがイラストを作成する場合は、別途費用が発生します。

社史・記念誌の制作費用を抑えるには?

それでは、社史・記念誌制作にかかる費用を抑えるアイデアをいくつかご紹介します。

アイデア①自社で原稿を作る

社史・記念誌の制作費用を抑えるアイデア:自社で原稿を作る

「自社で原稿を作る」というのは、社史や記念誌の紙面を制作するのに必要な原稿を、外部の制作会社(ライターや編集者)に依頼するのではなく、自社のスタッフが文章を執筆し作ることを指します。

原稿作成のポイント

文章を書く際は、読みやすく、分かりやすい文章を書くように心がけます。専門用語を適切に使い、複雑な内容をわかりやすく説明することが重要です。これは、読む人への配慮を忘れないためです。

集めた資料や原稿を整理し、複数の担当者が執筆した文章を一つの統一された文章にまとめるのは大変な作業です。しかし、このプロセスが非常に重要です。
文体やトーンを統一し、一貫性のある内容にすることで、読み手にとって理解しやすくなります。そして、全体を把握しながら、各章やセクションのつながりや流れを確認します。これにより、文章全体の構造がまとまりのあるものになります。

担当より

インタビューや取材を通して原稿を作る場面もあらかじめ想定しておくようにしましょう。

ここに気をつけて!

  • スケジュール管理
    定期的に原稿作成の進捗状況を確認、予定通りに進んでいるかをチェックし、必要な調整を行います。
  • ひとりで抱え込まない
    社内でのサポート体制を整えます。一人の担当者がすべてを抱え込んでしまうと、進行が停滞する傾向があります。
    必要に応じて、外部の専門家にアドバイスやサポートを求めることも考慮します。その際は、社内チームと外部専門家のそれぞれの役割と責任を明確にし、誰が何を担当するのかをはっきりさせるようにします。

アイデア②自社で紙面のデザイン・レイアウトをする

社史・記念誌の制作費用を抑えるアイデア:自社でデザイン・レイアウトをする

デザインのポイント

社史や記念誌のデザインはシンプルで分かりやすく洗練されたものが好ましいです。余白を効果的に使い、写真や文章をバランス良く配置することで、洗練された印象を与えることができます。また、フォントは、読みやすく内容に合ったものを選びます。ゴシック体や明朝体など、基本的なフォントでも、サイズや太さを変えることで、デザインに変化を加えることができます。さらに、カラーは、テーマやイメージに合わせたものを選び、統一感を出すことが重要です。

デザインツールを活用する

近年では、デザインに精通していない人でも直感的に扱えるデザイン・レイアウトツールが登場しています。無料でも使用できるオンラインデザインツールには、テンプレートやフォントなどを提供したり、ドラッグアンドドロップ操作で簡単にデザインを作成できるものもあります。
これらのツールを活用することで、自社内でデザイン・レイアウトを行い、費用を抑えることができるかもしれません。

ここに気をつけて!

  • デザイン品質の確保
    デザインツールが使いやすいとはいえ、プロのデザイナーのような高い品質のデザインや、その品質を冊子全体にわたって維持することは難しいかもしれません。デザインの基本原則を理解し、視覚的にバランスの取れたデザインを心掛ける必要があります。
  • テンプレートの限界
    オンラインツールなどが提供するデザインテンプレートは便利ですが、他の企業や個人も同じテンプレートを使用する可能性が高いです。オリジナリティを出すためには、テンプレートをカスタマイズする工夫が必要です。
    また、制作を進める中でどうしてもデザイン・レイアウトの変更を余儀なくされることがありますが、それにも対応できるようにしておかなければなりません。それが紙面の一部であったとしても、ページ単位でデザインのバランスが崩れていき、書籍全体に影響を及ぼす場合があるからです。
  • ブランド一貫性の維持
    企業のブランドガイドラインに従ってデザインを行うことが重要です。色、フォント、ロゴの使い方など、一貫性を保つことで、企業のブランドイメージを保ちます。
  • 著作権など権利の確認
    使用する画像やフォントに対し、適切なライセンスを所持していることを確認する必要があります無料で利用できる素材にも著作権や使用条件が設定されている場合があるため、注意が必要です。
  • ツールの操作習得にかかる時間
    ツールの基本的な操作は直感的でも、細かい機能や効果的なデザイン技法を習得するためには時間と努力が必要です。特に初心者の場合、思った以上に時間がかかることがあります。

アイデア③制作会社のデザインテンプレートを使用して作ってもらう

制作会社があらかじめデザインのテンプレートを持っている場合、それに合わせた文字原稿や写真を準備することができれば、デザイン費用を抑えられる場合があります。
このテンプレートは、作成する社史や記念誌の目的やコンセプトなどに合わせたものでなければなりません。
必ずしも抱いていたイメージと合致するとは限りませんし、掲載する内容は社史・記念誌によって異なりますから、多くの場合はデザイン・レイアウトのカスタマイズが必要となることを念頭に置いてください。

アイデア④「社内報の周年特別号」を発行する

社史や記念誌発行を検討する場合、もう一つの選択肢となり得るのが「社内報の周年特別号」です。
発行する目的によっては大変おすすめです。
こちらの記事で詳しく説明していますのでぜひご覧ください。
記念誌でお悩みの方必見!「社内報周年特別号」で解決-記念誌の費用や時間の問題

記念誌でお悩みの方必見!「社内報周年特別号」で解決する方法

印刷費用を抑えるコツ

次に、印刷費用を抑えるアイデアをいくつかご紹介します。

印刷の色をモノクロにする

カラー印刷よりもモノクロ印刷の方がコストが抑えられます。本文をモノクロにすることで、ある程度のコストダウンが見込めるでしょう。モノクロ印刷は、社史・記念誌の内容やデザインに合わせて、適切に選択するようにしましょう。

用紙の種類や厚みを選定する

本文の用紙の種類や厚みの選択によって印刷費用を削減できる場合があります。薄い用紙は印刷コストを低く抑えるだけでなく、冊子全体の重量を軽減し、郵送費の削減にも寄与します。
しかし、ページをめくった時の印象にも影響を与えるため、ただ単に薄ければ良いというわけではありません。

表紙は社史や記念誌の顔となる部分であり、高級感や耐久性を演出する重要な役割を担います。そのため、厚めの用紙を使用したり、特別な印刷加工を施すことをおすすめします。本文用紙と表紙用紙の厚みを適切に組み合わせることで、コストをおさえつつ、見た目の良さも両立できます。

用紙の種類や厚みは、実際に本になった時のことを想定して選ぶ必要があります。
普段印刷物の発注を業務として行っていない人にとって、これを判断するのは難しいかもしれません。
そのような場合は、印刷会社に相談するのが良いでしょう。
専門家のアドバイスを受けることで、最適な用紙選びができ、満足のいく仕上がりを実現できます。

印刷部数の最適化

必要な部数をあらかじめ計算し、過剰な在庫を避けることで費用を節約できます。印刷部数は、配布先や目的などを考慮して、必要な数を計算することが重要です。配布先や目的を明確にし、必要な部数を正確に把握することで、無駄な印刷を避け、費用を節約することができます。

担当より

印刷後に「もう少し追加で欲しい(増刷したい)」となった場合、必要以上の費用がかかることがありますので注意してください。

印刷会社の選び方

通常は、複数の印刷業者からの見積もりを比較し、最もコストパフォーマンスの良い業者を選ぶことが重要視されがちです。
しかし、社史や記念誌においては、特に慎重に印刷業者を選択することをおすすめします。
社史・記念誌は後世に残る重要な財産の一つです。それを手にした時に感じる品質や美しさは、企業の歴史や価値観を象徴するものの一つとなります。
印刷の精度や色の再現性、紙質などは、実際に手に取った時の感覚に影響しますので、印刷を任せる印刷業者は十分に検討し、社史・記念誌の印刷実績や印刷品質は十分かという点にも注目してみてください。

担当より

印刷会社を選ぶ際は、コミュニケーションがとれるか、気軽に相談できる会社かという点にも注目してみてください。困った時に相談できないと、社史や記念誌の知識をお持ちでないお客様は行き詰ってしまうこともあります。ですから、業者を比較検討する際には、コミュニケーションの質という面も考慮することをおすすめします。

ネット印刷について

ネット印刷は、オンラインで注文できるため便利です。しかし、自分たちで用紙を選択し、あるいは自分たちで印刷用データを作成することにある程度慣れていないと、発注すること自体が難しい場合があります。
また、発注したものの、印刷物が完成して手元に届いた時に「自分が思っていたものとかけ離れている」ことに気が付く、などということが起こりかねません。十分に準備や確認を行うことをおすすめします。

担当より

ネット印刷を活用する場合は、印刷に適したファイル形式や色設定について知識を深めると良いでしょう。例えば入稿する印刷データを、CMYKモードなどと指定されている場合、RGBモードの画像をそのまま印刷すると、色が変わってしまうため、印刷前にCMYKモードに変換し色を調整する必要があります。ファイル形式や色設定を正しく設定することで、印刷の品質を向上させ、無駄な再印刷を防ぐことができます。

これだけは押さえておきたい!校正の重要性

社史・記念誌は、過去・現在・未来をつなぐ大切な記録です。誤字脱字があると、せっかくの価値が損なわれてしまう可能性があります。そのため、校正は非常に重要です。
校正は、文章の誤字脱字や誤りをチェックすることです。校正は、自分で行うこともできますが、文章を書いた当事者はどうしても見落とすことが増えてしまいます。そのため、第三者に校正を依頼することで、より客観的な視点でチェックしてもらうことができます。校正は、必ず行い、誤字脱字がないか確認しましょう。

担当より

印刷会社の中には、専門の校正スタッフを有する会社があります。社史や記念誌の制作に長年携わる会社の校正ノウハウも活用することをおすすめしています。

こんな考え方も!ある企業の事例

A社は創業以来、節目となる10周年、20周年、30周年、40周年の節目に記念誌を発行してきました。そして、その編集・デザインを自社で行ってきました。
そんな中、50周年を迎えるにあたって、大きな節目にふさわしい記念誌を制作するために印刷会社に依頼することを決めました。その結果、満足のいくものを手にすることが出来たそうです。

このように、大きな節目の際には質の高いデザインと印刷のために、外部の業者に依頼するという考え方もあります。

A社が印刷会社に期待したこと

  • プロフェッショナルなデザイン
    プロのデザイナーや編集者の手によるデザイン・レイアウト
  • 印刷技術
    高い印刷技術による高品質な仕上がり
  • 効率的なプロジェクト管理
    スケジュールや制作過程の効率化
  • 外部の視点による新しいアイデア
    新しい視点やアイデアを取り入れたい
担当より

自社内で何とかしようとして挫折したり、安価な制作会社に依頼した結果、制作が滞ったという話を耳にします。
制作を開始する前に、自社内での対応能力やリソース、または依頼先の専門知識や経験(パンフレットと社史・記念誌を同じように考えていないか)などについて確認しましょう。
詳しくはこちらの記事をご覧ください↓

記念誌制作は3つのプランで課題を解決できる!プラン比較と選び方を解説

まとめ

社史や記念誌の制作費用は、印刷部数やページ数、依頼内容によって大きく異なります。
費用の内訳には、原稿作成費、取材費、撮影費、デザイン費、校正費、印刷・製本費などが含まれ、これらをどう扱うかでコストは変動します。費用を抑えるアイデアとしては、自社で原稿を作成する、デザインツールを活用して自分でデザイン・レイアウトを行うなどがあります。さらに、印刷費用を抑えるために用紙の種類や厚み、印刷部数の最適化も重要です。

このように、社史・記念誌の制作費用をなるべく抑えるために出来ることはいくつかあります。
しかし、忘れてならないのは「そもそも何のために社史や記念誌を作成するのか」ということ。本来の目的を見失わないようにすることが大切です。
もしあなたが、未来への大切な資産である社史・記念誌をこれから作ろうとしているなら、いま一度、品質とコストのバランスを考えてみてはいかがでしょうか。

本記事をあなたの社史・記念誌づくりにお役立ていただければ幸いです。

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この記事を書いた人

このお役立ち記事は、私がこれまでにお客様のプロモーション課題に取り組んできた経験や、お客様からお寄せいただいた質問をもとに執筆しています。印刷をデザインやマーケティングの観点も交えながら、読者の方に少しでも分かりやすくお伝えする事を心掛けています。