カタログの作り方|カタログ作成の基本とコツー目的・役割・デザイン・作成の流れがわかる

カタログの基本

お客様のカタログ作成に長年携わってきた当社スタッフが、「カタログの基本」についてまとめました。
カタログの種類や目的、作成の流れなどカタログ作成のヒントになるよう、わかりやすく説明します。

※なお本記事での「カタログ」は、製品(商品)が掲載される紙のカタログを指しています

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はじめに― 今の時代、カタログは不要?

近年は、ECサイトで商品や製品を選んで購入するケースが増えていますが、オンラインで商品を探し選べるということはユーザーにとって非常に便利です。
しかしながら、
同じ製品でもカタログ(紙のカタログ)で見た時の方が魅力的に感じたことはありませんか?
WEBやアプリで商品を探す際に、意外と不便さを感じることはありませんか?

実はカタログ(特に紙のカタログ)は、訴求力・すぐに手にとれる利便性・読みやすさ・保存性など、プロモーションにおいて強い力を持っています。
さまざまなデジタルツールがありますが、カタログ作成の際には、紙かデジタルのどちらかを選ぶということではなく、シチュエーションやターゲットを考慮し、選択または併用することが求められています。

担当より

先日、あるテレビ番組で紹介されていたメーカーは、200ページ以上ある紙のカタログを毎年発行し取引先に届けているとのことでした。その理由は、カタログが取引先の担当者の手元に常にあることで、何かが必要となった時や困った時にそのカタログを開いてもらえるようにするためだそうです。その結果、同社のカタログをまずは開くことが取引先で習慣化され、担当者が異動などで変わった時にも、継続的な取引につながっているのだとか。

そもそもカタログとは?

カタログの有用性が確認できたところで、そもそも「カタログ」とは何か、言葉の意味を確認しましょう。

「カタログ」と言うと、皆さんは通販カタログや商品カタログをイメージするのではないでしょうか。
そのイメージどおり「カタログ」は、主に商品または製品、その企業の営業内容などを掲載し、それらを並べて一覧にした説明書や案内書のことを指します。(ちなみにカタログは漢字で「型録」と書きます)

会社案内や学校案内などパンフレットについては、こちらの記事をご覧ください。

カタログの役割・用途は?

カタログの役割は、自社が取り扱う商品や製品を一覧として網羅的に見せることです。
全商品または特定のカテゴリの商品・製品に関する大量の情報を、分かりやすく提示し、仕様や機能を比較しやすくします。そのため、カタログはページ数が多くなり分厚くなることがよくあります。

またカタログは、営業活動で訪問時に使用する、ダイレクトメールとして送付する、顧客の手もとに置いてもらい必要な時に商品を発注してもらうなど、さまざまな場面で力を発揮します。

カタログが活躍する場面

カタログの目的とは?

カタログの主な目的は、商品やサービスを検討・選択してもらい購買につなげることです。
基本的にカタログは、多くの商品やサービスについてスペックや価格を掲載し、それぞれの違いがすぐに理解できるように作成されます。

通信販売や流通小売業のカタログなど新しい商品を前面に出したい場合には、巻頭でおすすめ商品を大きく扱い、商品に関する情報(魅力を伝えるストーリーなど)を詳細に記載し、読み物としての性格を持たせることがあります。
この場合はカタログに、商品への興味を喚起したり、自社または自社商品のブランドイメージを醸成する目的もあわせ持たせています。

カタログは販売促進の重要な役割を担う重要なツールと言うことができます。

カタログとパンフレットの違い

カタログと同じようによく聞く言葉に「パンフレット」があります。
カタログとパンフレットの役割にはどのような違いがあるのでしょうか。

パンフレットの役割とは?

例えばパンフレットには会社案内や病院案内があります。
会社案内や病院案内の役割は、自社または自院のことをよく知ってもらうためです。
また、商品やサービスのパンフレットは、その会社が提供する特定の製品(商品)・サービスについて、関心を持ってもらうためにアピールするツールです。

▼商品パンフレットはこちらの記事がおすすめです

「商品パンフレット」の作り方-成功の架け橋となる重要ポイントを解説

このようにパンフレットは、ターゲットへの深い理解につながる情報を分かりやすく提供すること求められています。
ちなみに、パンフレットは「表紙を除き5ページ以上48ページ以下の非定期刊行物」と定義されています。

[まとめ] カタログとパンフレットの違い

ここで、カタログとパンフレットについて簡単にまとめます。

カタログパンフレット
特徴取り扱っている商品を一覧として見せ、探しやすいように作られる会社案内や病院案内、商品パンフレットなど
一つひとつを豊富な情報で丁寧に伝える
内容自社商品やサービスを網羅的に掲載する
スペックや価格が中心
詳細を掲載し、深い理解、またはもっと知りたい・欲しいと感じさせる内容
目的商品・サービスを比較・検討、選択してもらい注文につなげる自社商品やサービスに興味関心を持たせ、深く知ってもらう
主なターゲット既存顧客など、興味関心が高いユーザー購買意欲の低い層(既存顧客に新しい商品・サービスなど特定の商材を売り込む場合にも)

パンフレットよりカタログが効果を発揮するケース

商品・サービスごとにパンフレットを用意しているが、商品・製品のラインアップをまとめて見られるカタログを準備していないという場合。
お客様がある商品が必要となった時、あなたの会社のパンフレットを棚から一つひとつ引っ張り出して、その中から目的の商品・サービスを見つけようとしてくれるでしょうか。
そして、競合他社の商品が一覧で見られる総合カタログがお客様の手元にあったら・・・。

自社の事業領域が拡大するにつれて、取り扱う商品やサービスは増えていきます。
そのような時こそ、お客様の手元に残り利便性の高いカタログが効果を発揮する時です。

カタログに求められること

次に、カタログ作成において最低限知っていただきたいことについて説明します。

検索性を高める

掲載アイテムが数千点にのぼることもある総合カタログなどには、大量の情報が掲載されます。
特にこのようなカタログを作成する際は、必要とする製品を容易に見つけられるようにすること(検索性を高めること)を念頭に置かなければなりません。
検索性を高めるためには、製品の用途や種類などでカテゴリーに分ける、インデックスやページの端に柱(ページツメ)を表示するなど、ユーザー視点で利便性を考慮するようにします。

また、通販カタログや小売業の商品カタログでは検索性に加えて、消費者が買い回る動線を考慮したカタログの構成とすることも求められます。

カタログインデックス-柱

デザインは見やすさを考慮する

創造的で斬新な感性で作られた格好良いカタログでも見づらかったり、目当ての商品やその情報を探しづらい、また、関連する商品と比較しづらいものでは、カタログ本来の目的を見失うことになります。
デザインは、カタログの機能性を損ねることがないよう見やすさに十分配慮します。

コンセプトや差別化のポイントを明確にする

カタログで自社らしさを出して、競合との差別化を図ることは大切なことです。
しかし、カタログを手にする人に自社または自社の商品・製品のイメージや強みを伝えるための方法として、奇をてらったようなデザインやコピーだけで、それを解決しようとしてはいけません。
事前にコンセプトを設計し、それが伝わるようにデザイン・コピーライティング・写真、印刷加工などを検討するようにします。
また、差別化を考える上では、競合他社のカタログを研究することも効果的な方法の一つです。

ブラッシュアップを繰り返す

カタログを開きたくなるようにするには?
カタログの利便性を高めるには?
新しい商品商品の魅力をどう伝える?

カタログを発行する度に、現状のカタログの課題を確認し「今回は〇〇を改善する」など、具体的な目標を掲げて、何をどうするかを考えるようにします。
その際は、数多くのカタログ作成を手がける印刷会社などに相談してみると、思わぬ視点や情報を提供してもらえることがありますので、ぜひ活用してください。

正確な情報を掲載する

当たり前のことですが、カタログに正確な情報を記載するということが何より大事です。
基本的にカタログを見る人は掲載されている製品のスペックや価格が「間違っているのではないか?」と疑いを持ちません。
カタログを見て注文する人は、そのカタログに記載されている内容だから注文するのです。
でも、カタログに記載している内容と少しでも違うものが手元に届いたら・・・
そのたった一つの不備で、お客様の信用を損ねてしまうかもしれません。

カタログの仕様

カタログのサイズ

サイズは経済性や利便性を考慮し、A4(210×297mm)の規格サイズで作成するのが一般的です。書棚にも収めやすく使いやすいのが特徴です。
その他に、AB判(210×257mm)はワイド判とも呼ばれ、幅がA判(210mm)・高さがB判(257mm)を組み合わせたサイズで、仕上がりはより正方形に近くなるものもあります。

カタログの用紙

カタログに使用する紙の代表的なものには、光沢(コート)紙とマット紙があります。
光沢(コート)紙は、紙の表面に光沢があり写真など色を鮮やかに表現することができます。
マット紙は、紙への光の反射が少なく、落ち着いた雰囲気を出したい時に使用されることが多いです。

用紙には様々な種類がありますので、使用する紙の厚さも含めて実績豊富な印刷会社に相談することをお勧めしています。

代表的なカタログの綴じ方(製本方法)

接着剤を使って綴じる(無線綴じ)

無線綴じは、総合製品カタログやギフト商品カタログなど、特にページ数が多いカタログに用いられることが多い製本方法です。

無線綴じは、表紙と本文(中のページ)を糊で接着する(本の背の部分を固める)ため、カタログにある程度の厚さが必要です。
無線綴じで作成されたカタログは、表紙も厚手のものを使用することが多く、しっかりとした作りとなり耐久性も高まります。

無線綴じ

針金を使って綴じる(中綴じ)

カタログを開いた中央を針で綴じる製本方法を中綴じと言います。
中綴じは、接着剤を使って綴じる無線綴じカタログと比べ、ページ数が少なく用紙も薄いものを使用する場合に用いられます。

中綴じ

カタログ作成の流れ

カタログを作成する大まかな流れをおさえておきましょう。

1.制作準備(企画立案)

①目的やターゲットを明文化し、デザイン方針を決める

カタログの果たすべき目的は何か、ターゲットとなるユーザーは誰か、どのような場面で使われるカタログなのか。
これらを明確にし、出来れば文章として関係者で共有することをおすすめします。
そうすることで、何となくのカッコよさに引っ張られることなくデザインコンセプトを固めていくことができ、共通の認識で制作を進められるようになります。

②掲載する情報を整理する

カタログの総ページ数、掲載予定のアイテム数、1ページあたりに掲載するアイテム数などを整理します。
そして、製品番号や製品名、スペック、価格など掲載項目も確認し、掲載製品リストを作成します。
この段階からアイテムはSKUできちんと把握しておくことをおすすめします。
デザイン後の商品追加や掲載項目の増減は、レイアウトの崩れや全体にわたる修正が発生し、納期の遅れや無駄なコストにつながることがあるため、この段階で整理しておくのがベストです。

③印刷の仕様を決める

印刷用紙の種類・厚み・サイズ、綴じ方(中綴じ・無線綴じ)、部数、表紙加工方法(PP貼り・箔押し等)を決めます。
表紙加工は、印刷会社からの提案や見本を提示してもらい参考にしましょう。

2.台割作成

カタログ全体のページ構成(台割)を作成します。どのページにどのような内容を掲載するかというカタログの設計書と考えてください。

台割(コマ割り)


ページの種類には次のようなものがあります。

1)コンセプトページ

伝えたいメッセージをコピーなどで表現しブランドイメージを表現するページ
趣旨と掲載する商品をあらかじめ決めておく

2)商品掲載ページ

カテゴリー設定、レイアウトパターン、商品配置コマ割り(どこにどの商品を配置するか)を作成する

3)表紙

表紙のデザインを作成。キービジュアルやデザインイメージをなるべく具体的にデザイナーに伝えるために、参考となる見本を準備しておくと良い

3.制作-デザインフォーマット作成・表紙デザイン作成・各ページ作成

商品掲載ページのデザイン・レイアウトをカンプ(仕上がりをイメージするための見本)で確認し、決定したらデザインの基本フォーマットとします。
また、表紙やコンセプトページのデザインもカンプで作成します。

デザインがひと通り固まったら、決定したフォーマットをもとに原稿の情報を落とし込みます。
また必要に応じて、コピー作成や掲載商品の撮影を行い、紙面に反映させていきます。

4.校正

掲載商品の文字や写真、商品の配置に間違いがないかなどを確認します。
誤字・脱字、写真と文字の不整合、表記の統一性、不適切な表現(不当表示)など慎重にチェックする必要があります。
文字・写真の変更だけでなく、掲載商品自体を変更を行うこともありまが、この場合、他のページへの影響などを考慮しながら慎重に行う必要があります。

5.印刷・製本

すべての修正が完了し確認も終えたら、色校正(簡易校正または本紙校正)で実際の印刷物の色を確認します。
印刷物の色再現では用紙や印刷方法等により微妙なズレが生じることがありますので、心配な場合は本紙校正(実際の紙に実際と同じ方法で試し刷りを行うこと)をおすすめします。
また、印刷会社によっては刷り出しに立ち合い、微調整を依頼出来る場合があります。
ただし本紙校正や刷り出しへの立ち合いは、簡易校正の場合に比べて、費用がかかりますので、予算や色に対してどの程度許容できるか、またはこだわるかによって選択します。

印刷に関しては専門的な知識が必要となりますので、遠慮なく印刷会社に相談してください。

最後に-カタログで失敗しないために

カタログ作成の基本について、ポイントをしぼって説明しましたがいかがでしたか?
カタログの作成はとにかく準備が大事です。

カタログの作成はページ数や掲載するアイテムが多いこともあり、数ヶ月から半年程度の期間を要することになります。
そのため、「まだまだ時間がある」と思って準備がおろそかになり、その結果、印刷間近になって問題が発生。気が付けば、もはや妥協するしかないという状況になっているということがあります。
時間が不足し十分なチェックが行えないまま印刷すると、表記の間違いが発生するリスクも高まります。

このような事にならないように、効率的なカタログ作成をサポートする、経験豊富な制作パートナーを選ぶことも大切です。

【無料資料】カタログ作成の効率化でお悩みの方へ
カタログ作成の効率化を実現した事例資料をお送りします。

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当社では、お客様の状況に合わせてカタログ作成のご相談を承っております。
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この記事を書いた人

このお役立ち記事は、私がこれまでにお客様のプロモーション課題に取り組んできた経験や、お客様からお寄せいただいた質問をもとに執筆しています。印刷をデザインやマーケティングの観点も交えながら、読者の方に少しでも分かりやすくお伝えする事を心掛けています。