高校の学校案内デザインで最も重要なこと
高校の学校案内で最も重要なのは、中学生と保護者が「この学校は自分に合っているか」を判断できるようになっていることです。
高校の学校案内は、単なる情報をまとめた資料ではありません。
進学を検討する中学生と保護者が、複数の学校を比較しながら、「どんな学校なのか」「自分に合いそうか」を判断するためのコミュニケーションツールです。
そのため、学校案内のデザインには「見た目を整えること」以上の役割が求められます。
本記事では、高校の学校案内デザインにおいて重要な考え方と、失敗しやすいポイント、そして失敗を防ぐための設計の考え方を整理して解説します。

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本記事は、ゼンリンプリンテックスのパンフレット制作のノウハウ・経験をもとに執筆しました。
大学や専門学校の学校案内パンフレットは、こちらが参考になります
高校の学校案内の目的と役割
高校の学校案内は、ただ情報を集めて掲載する「資料」ではなく、中学生と保護者が進学先を比較し、納得して判断するための媒体です。
学校案内の目的は、単に教育内容や実績を網羅することではありません。
学校の雰囲気や価値観を伝えたうえで、「この学校は自分に合っているか」を考える材料を提供することにあります。
そのため、高校の学校案内は学校側の想いや魅力を一方的に伝える場ではなく、読み手の理解を助け安心感を抱いてもらい、比較・判断を助ける約割を担います。
高校の学校案内が担う3つの役割
高校の学校案内には、「理解」「安心」「比較」という3つの役割がある
- 学校をイメージさせ、「理解」を促す役割
教育方針や学習環境、学校生活の雰囲気などを伝え、読み手が学校の姿を具体的にイメージできるようにする - 「安心」感を与える役割
中学生本人だけでなく、保護者にとっても「この学校なら安心できそうだ」と感じてもらう - 「比較・検討」を助ける役割
複数校を検討する中で、「何が違うのか」「どんな特徴があるのか」を比較し自分に合った学校かどうかを判断する材料を提供する
これらの役割を果たすためには、自校の良い点をただ並べたり、掲載する情報を増やしたりするだけでは不十分です。読み手の立場に立ち、「どう見せるか」「どう伝えるか」を整理することが重要になります。その手段のひとつが、学校案内のデザインです。
中学生・保護者は最初に、学校案内のどこを見ているのか
中学生や保護者は、学校案内を熟読する前に、雰囲気や直感的な印象を受け取ります。
学校案内をはじめからすべてを熟読する人は、そう多くはありません。
多くの場合、まず写真やレイアウトから全体の雰囲気を感じ取り、見出しや気になった部分を拾い読みします。
作る側としては、すみずみまで読んでもらえる前提で考えてしまいがちですが、
実際の読み手の行動とは乖離があります。
- 生徒の表情や学校生活の様子が伝わる写真
- 校舎や教室、部活動などの雰囲気
- 教育方針や学校の考え方が分かるメッセージ
実際は、このような視覚情報から、「なんとなく良さそう」「自分に合いそう」という印象が、初期の段階で形づくられていきます。
高校の学校案内のデザインの重要性
高校の学校案内では、内容そのものよりも先に、視覚要素が学校の第一印象を形成するため、デザインの力で第一印象を設計することが重要になります。
前段で述べたとおり、学校案内では最初から「正確な情報」が重視されるのではなく、「直感的に伝わる情報」が先に受け取られます。読み手は、無意識のうちに、どのような学校か、自分に合いそうかという判断をはじめているのです。
だからこそ、高校の学校案内デザインでは、レイアウトや色づかい、写真といった視覚情報が、学校の印象を大きく左右することを念頭に置く必要があります。見た目を派手に飾ることばかりを優先したり、全体のトーンがバラバラだったり、写真が暗い・粗い状態だったりすると、学校本来の魅力は十分に伝わりません。
おしゃれな高校学校案内のデザインとは
おしゃれな学校案内は、トレンドを適切に取り入れつつ、情報が整理され、学校の価値や印象、個性が自然に伝わるデザインです。
「おしゃれな学校案内にしたい」という要望は、学校案内の制作現場でよく聞かれます。
しかしこの「おしゃれ」という言葉は、制作者と学校側でイメージがずれやすい言葉でもあります。
たとえば服装を考えてみてください。最新トレンドのアイテムを身につけ、身なりを整えたからといって、必ずしもおしゃれに見えるわけではありません。着る人に合っていなければ、かえってちぐはぐな印象になってしまいます。
学校案内のデザインも同じです。
トレンドをそのまま取り入れただけおしゃれなパンフレットにはなりません。
大切なのは、その学校がどんな雰囲気を持ち、どんな価値観や教育方針を大切にしているのかといった学校の個性が、統一されたデザインから無理なく伝わってくることです。
そのためにはデザインの基本をしっかりとおさえることが必要です。そのうえでデザインされた学校案内は、結果として「おしゃれ」「洗練されている」と感じられやすくなります。
「伝わらないデザイン」の高校学校案内が生まれる原因
高校の学校案内で「伝わらないデザイン」が生まれる背景には、大きく分けて2つの要因があります。
ひとつは、制作の前提や判断が整理されないまま進んでしまうケース。
もうひとつは、紙媒体に対する理解やデザインスキルが十分でないまま制作されてしまうケースです。
学校案内の制作は、ほとんどの場合、制作会社やデザイナーといった“プロ”が関わっています。
だからといって、常に「良いデザイン」になるわけではありません。
原因①:デザインスキルや紙媒体の理解が不足している
紙媒体の学校案内のデザインには、WEBとは異なる特性がある
たとえば、ホームページを主に手がけるWEBデザイナーが、その感覚のまま紙媒体の制作に入ってしまうケースを考えてみます。
紙のパンフレットのデザインには、WEBとは異なる紙媒体ならではの特性があります。
それらを十分に理解しないまま制作を進めてしまうと、次のような問題が起こりやすくなります。
- 紙で見たときの視線の流れが考慮されていない
スクロール前提のWEBと異なり、紙では「どこから見て、どの順で読むか」を見開き単位で設計する必要があります。 - 情報量と余白のバランスが適切でない
有限のスペースの中で、情報を詰め込みすぎたり、逆に余白の意図が整理されていないと、読みづらさにつながります。 - 印刷に適した写真データ処理が行われていない
WEBはRGB、印刷物はCMYKと色の再現方式が異なります。また、その他にも印刷物の色は専門知識がなければ意図通りの結果を得ることはできません。その特性を理解せずに制作すると、写真が暗く沈んだり、色がくすんで見えたりする原因になります。
こうした状態では、読み手は内容を正しく理解する前に、「読みにくい」「品質が低い」といった印象を持ってしまい、結果として学校全体の印象を下げてしまいかねません。
原因②:判断や設計が曖昧なまま進んでしまう
デザインスキルがあっても、軸がぶれると「伝わらない学校案内」になる
制作の初期段階では、「誰に向けた学校案内なのか」「どんな学校だと伝えたいのか」が整理されていたとしても、「この情報も大事ではないか」「これは削らないでほしい」「もっと目立つ色にした方がいい」「この文字をもっと大きく」などといった要望が少しずつ積み重なっていくことがあります。
その結果、何を一番伝えたいのかが見えにくくなり、視線誘導や情報の優先順位が崩れてしまいます。
なぜこの問題が起こるのか
これは、関係者全員が「良いものを作りたい」と考えているからこそ起こる問題です。
制作途中でもっとよくしたいという思いや意見が飛び交い、制作の途中で判断軸が揺らいでしまうのです。
そして、設計の前提が共有されなくなってしまったことが、本質的な原因です。どこを削るか、何を優先するかという判断ができないまま制作が進行してしまいます。
高校の学校案内で失敗を防ぐための考え方
高校の学校案内で失敗を防ぐために最も重要なのは、制作に入る前に「設計の軸」を明確にし、それを最後まで共有し続けることです。
デザインスキルや表現力の問題以前に、学校案内が「伝わらないもの」になってしまう原因の多くは、制作途中で判断基準が揺らいでしまうことにあります。また、あらかじめ設計の軸が明確であれば、その軸に沿ってデザインができているかどうかを評価しやすくなりますので、依頼先のデザイナーのスキルや設計力も客観的に確認できるというメリットもあります。
①最初に「誰に伝えるか」を明文化する
「誰に向けた学校案内なのか」を最初に言語化することが、すべての判断基準になります。これには、制作で必要とされる判断に共通する前提条件を言葉にするという意味あいがあります。
- 想定している読み手は誰か
- どんな生徒に来てほしいのか
- どんな価値観を持つ生徒や保護者に共感してほしいか
これらが曖昧なままでは、表現のトーンが定まらない、写真や言葉選びに一貫性が出ず、情報の優先順位も決められません。
「誰に向けた学校案内なのか」は、デザイン・構成・文章すべての判断基準になります。
制作の最初に明文化し、制作途中でもブレていないかを確認し続けることが重要です。
②「何を一番伝えたいか」を決める
高校の学校案内では、伝えたいことが多くなりがちです。
しかし、すべてを同じ熱量で伝えようとすると、結果として何も印象に残らなくなってしまいます。
そこで重要になるのが「この学校で最も伝えたい価値は何か」という軸です。
- 読み手に最も伝えたい価値は何か
- この学校の最大の特徴は何か
この軸が明確であれば、どの情報を前に出すか、削っても問題ない情報は何かといった判断がしやすくなります。
③デザインの判断基準を言葉にして共有する
「なんとなく良さそう」を判断基準にしないことも、失敗を防ぐポイントです。
制作途中でよくあるデザインのトラブルの多くは、「目立つから」「他校もやっているから」「雰囲気がいいから」といった、曖昧な理由での修正が起因します。具体性のない指示や、先の軸から逸脱したものは全体の雰囲気やバランスを崩していきます。そのため、なぜこのデザインなのか、何を優先したのかなど、判断の理由が説明できる状態をつくることが重要です。
高校の学校案内デザインのポイント
高校の学校案内デザインでは、見た目を整えること自体が目的ではありません。
中学生と保護者が、学校の特徴を理解し、「自分に合っているかどうか」を判断しやすい状態をつくることが重要です。そのためには、感覚的にデザインするのではなく、情報・視覚・印象の観点から、押さえるべきポイントを体系的に考える必要があります。
※レイアウトや配色の具体的な考え方については、「デザインの基本原則(近接・整列・反復・対比)」を押さえることで、より再現性の高い設計が可能になります。
① 視線誘導を意識したレイアウト設計
学校案内では、「どこから見て、どの順で理解してもらうか」を設計することが欠かせません。
紙媒体の学校案内は、見開き単位で視線が動きます。
そのため、見開きの中で最初に目に入る要素、次に読ませたい情報、最後に印象として残したい内容を意識したレイアウトが必要になります。視線誘導が整理されていないと、内容を正しく理解する前に読むことをやめてしまう可能性があります。
②余白で「読みやすさ」をつくり「品位」を醸す
余白は情報を理解しやすくするための要素です。
余白が不足すると、読みにくく、読むこと自体が負担になる、どこが重要なのか分からない、全体が安っぽい印象になるといった問題が起こりやすくなります。
適切な余白を設けることで、読み手は自然に情報を整理しながら読み進めることができます。
③トーン&マナーの統一で、学校らしさを表現する
学校案内の印象は、ページごとのデザインではなく、全体の一貫性で決まります。
色使い、写真の雰囲気、書体、言葉づかいなどがページごとにばらついていると、学校の印象もぼやけてしまいます。「雰囲気(トーン)」と、それを表現するための「作法・ルール(マナー)」、すなわちトーン&マナーを統一することで、一貫したイメージを表現することができます。
トーン&マナーがもたらすメリット
- 学校の価値観や雰囲気が伝わりやすい
- 安心感や信頼感が生まれる
- 読後の印象が強く残る
カラー選定で学校の雰囲気を直感的に伝える
色は、文章を読む前に学校の印象を伝える強い要素です。カラー選定は、学校の雰囲気を言葉よりも早く伝える役割を担っています。高校の学校案内では、落ち着いた校風なのか、活気や挑戦を大切にする学校なのかといった印象が、配色によって無意識のうちに伝わります。
フォント選びで読みやすさと信頼感を担保する
高校の学校案内は、中学生だけでなく保護者も読む媒体です。
そのため、デザイン性だけでなく、「無理なく読めるか」「誠実な印象を与えるか」という視点が欠かせません。装飾性の高い書体を多用すると、雰囲気は出せても、情報が頭に入りにくくなることがあります。学校の雰囲気に合ったフォントを選び、可読性を優先することが、結果としてデザイン全体の質を高めます。
④表紙デザインで「手に取る理由」をつくる
学校案内の表紙は、「この学校をもっと知りたいかどうか」を判断される最初の接点です。
表紙は、情報を詰め込む場所ではありません。学校の雰囲気や価値観を、一瞬で伝える役割を担っています。だからこそ、表紙デザインでは、伝えたい学校像を明確にしたうえで要素を絞り込み、意図を持って設計することが重要になります。
高校学校案内の作り方(制作フロー)
制作に入る前に、学校案内の目的と役割を明確にします。学校案内で何を実現したいのかを曖昧なまま進めると、掲載する情報の選択やデザインの判断に一貫性がなくなり、「何を一番伝えたいのか分からない学校案内」になってしまいます。
誰が学校案内パンフレットを受け取るのか、どんな生徒に来てほしいのか、そしてパンフレットを受け取った人にどのように感じ、どのような行動を取ってほしいのかを明確にします。中学生本人や保護者が学校案内を通じて「この学校は自分(生徒)に合っている」と判断できるようにするためには、こうした前提を曖昧にしたまま制作を進めることはできません。
限られた紙面で、伝えたいことをすべて載せることは難しいことが多いです。無理に掲載しようとすると、情報過多で何も印象に残らなくなってしまいます。
最も伝えたい価値は何か、学校の特徴はどこかを明確にし、情報に優先順位をつけることが重要になります。
掲載する情報を、どこに(どのページに)、どのように配置するかを大まかに決めていきます。最初にどんな印象を持ってもらうかなど、流れを意識した構成が必要です。構成を先に固めておくことで全体感がつかみやすくなり、デザインや掲載内容作成がスムーズに進みやすくなります。
パンフレットの構成を踏まえて文字原稿や写真を準備します。先に原稿を書き始めてしまうと、情報量が多くなりすぎる、トーンがばらつくなどの問題が起きやすくなります。
写真を撮影する場合は、どのようなものにするかを決めていきます。
構成をもとにデザインラフを制作し、方向性や表現のイメージについて関係者間で合意が取れたら、デザインの制作に入ります。この段階で大きな認識のズレを解消しておくことで、後工程での手戻りを防ぐことができます。
デザイン制作では、視線誘導、余白、トーン&マナーといった要素を調整しながら進めていきます。単に見た目を整えるのではなく、意図がきちんと伝わるか、読み手が無理なく理解できるかという視点で、全体の完成度を高めていきます。
必要に応じて、取材や写真撮影、イラストの作成なども行います。
誤字脱字や文章表現、数値、固有名詞に誤りがないか、学校案内全体が当初の目的や意図に沿っているかを確認します。
デザイン面では、視線の流れが自然か、情報の優先順位が正しく伝わるか、トーン&マナーが全体で統一されているかといった観点でチェックします。
修正の際は、「気になるから直す」「なんとなく変える」のではなく、「なぜその修正が必要なのか」「何を優先した判断なのか」を明らかにしながら進めることで、当初の意図を保ったまま仕上げることができます。
■デザイン指示の仕方について詳しく
デザイン指示のポイント4選-イメージ通りにデザインが上がらない理由やデザイン指示の方法
デザインと校正が完了したら、次は色校正・印刷工程に進みます。
色校正は、画面上で確認してきたデザインを、実際の印刷物として正しく再現するために欠かせない重要な工程です。印刷物は、モニター上で見る色(RGB)と、紙に印刷された色(CMYK)では見え方が異なります。そのため、完成データをそのまま印刷するのではなく、色校正を行い、仕上がりの色を確認することが重要になります。特に写真の色味や全体のトーンがずれてしまうと、落ち着いた校風や清潔感、信頼感といった印象が正しく伝わらないこともあります。(色校正について詳しく)
色校正で問題がなければ、最終的な印刷工程へと進み完成です。
最後に
高校の学校案内デザインにおいて重要となる考え方や、制作の基本的な流れ、構成設計のポイントについて整理してきました。高校の学校案内は、単なる情報資料ではなく、中学生と保護者が進学先を比較・検討し、「この学校は自分に合っているか」を判断するための重要なツールです。
そのため、デザインにおいても見た目だけでなく、目的や設計意図を踏まえた整理が求められます。
学校案内を作成する際は、是非私たち「ゼンリンプリンテックス」にご相談ください!
弊社では、魅力的な紙面をつくる「デザイン力」と、それを印刷物として適切に表現する「印刷品質」の両軸で、あなたの成功に向けて支援します。
「何から手をつけるべきか?」 まずは現状の課題整理から、お気軽にご相談ください。
学校案内のご相談は、ノウハウと実績のゼンリンプリンテックスへ
| 社名 | 株式会社ゼンリンプリンテックス |
| URL | https://zpx.co.jp/ |
| 設立 | 1947年 9月 |
| 事業所 | 東京、福岡、熊本 |
| 関係会社 | 株式会社ゼンリン、株式会社ゼンリンデータコム、株式会社ジオ技術研究所など 関係会社一覧 当社は、株式会社ゼンリン(東京証券取引所プライム市場)のグループ会社です |

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