【入門編】記念誌作成の基本|社史・年史との違い・発行の目的・つくり方まで解説

この記事では、多くの記念誌制作を手がけているゼンリンプリンテックスの記念誌担当ディレクターの知見をもとに、これから記念誌を作成する方のお役に立てるよう、記念誌の基礎知識をお伝えします

この記事は次のような方におすすめします
  • 記念誌とはなにか、基本から知りたい方
  • 年史や社史との違いを知りたい方
  • 記念誌や周年事業のご担当者
  • 企業の総務・広報のご担当者

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社史・記念誌の基本
お客様の疑問や質問をもとに社史・記念誌の基本についてまとめました
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    記念誌とは

    記念誌は出来事やお祝い事などの節目に発行する

    記念誌とは、記念すべき節目やお祝い事、また大きな変化が生じるような出来事があった時などに、これまでの軌跡やその出来事自体を記録するためにつくられる書籍(本)です。
    記念誌は、周年記念や株式公開、学校や病院などの創立記念、そして創業者の生誕記念や受章など、さまざまなタイミングで発行されます。

    記念誌発行のタイミング

    記念誌・年史・社史との違い

    さて、記念誌とならんでよく耳にする言葉に「社史」や「年史」があります。
    社史・年史は記念誌となにが違うのでしょうか。

    年史とはなにか? 簡単に説明

    年史(周年史)は、企業や官公庁、各種団体の歴史をまとめた本のことです。
    その多くは年表をもとにした沿革とともに、その時々の出来事を記します。
    また年史は、当事者以外の第三者が発行する場合もあります。

    社史とはなにか? 簡単に説明

    社史は、会社の歴史を中心に記した本です。
    社史編纂にあたってはその会社のあゆみをもれなく掲載することが基本とされ、自社の歴史を残す資料としての意味合いが強いのが特徴です。
    発行するタイミングは、おもに周年の節目ですが、大きな変化があった場合にも発行されます。
    また社史の種類には、創業期から現在までを網羅する正史、以前発行した社史に記載されていない時代を中心に編纂する略史などがあります。

    記念誌・年史・社史の違いのまとめ

    表は右にスクロールできます

    記念誌年史社史
    いつ 周年、受章、新社屋竣工、株式公開などのお祝い基本的には周年のタイミング周年のほか株式公開の時など
    誰が 企業や官公庁、各種団体、個人など企業や官公庁、各種団体、個人など
    第三者が発行する場合もある
    基本的には会社(法人)が自ら作成する
    特徴歩みをもれなく掲載するよりも謝意を表す意味合いが強い
    さまざまな企画を掲載することも多く構成が自由
    年表をもとに歴史をまとめたもの
    後世に残す史料としての意味合いがある
    会社や関係する人物の歴史や営為を中心に記録するもの
    どのように編集するかにより正史や略史などの呼称で区分けされることがある

    したがって、ある会社が50周年記念を祝い、これまでの歴史を中心にまとめたものは、「記念誌」であり「年史」であり「社史」でもあります。このような場合どの呼称が適切か、明確な答えはありません。

    記念誌と年史と社史の関係図

    ▼社史について詳しく知りたい方へ。こちらの記事で解説しています
    「社史作成の基本とポイント 社史とは?意義や内容、作成方法までわかる」

    周年事業と記念誌の関係

    会社法人や学校法人、医療法人などさまざまな法人を長年存続させることは決して容易なことではありません。
    それだけに創業や設立から節目を迎えた際に行う周年事業は特別な意味を持っています。

    周年事業では記念誌の作成を中心に、周年オリジナルのロゴマークやアニバーサリー映像の制作、記念式典の開催などさまざまな取り組みが行われます。
    ※この周年を記念して発行する記念誌を周年記念誌と呼ぶことがあります。

    近年は、企業だけでなく学校や病院においてもマーケティングやブランディングの意義が大きくなっています。
    そのため周年事業にも外部へのPRや社内広報などの企業コミュニケーションとしての役割が求められるようになっていますが、それは周年事業の中心的な存在である記念誌も同様です。
    記念誌を単にお祝いや過去(歴史)を記録するためだけに発行するのは大変もったいないことです。

    ▼周年事業についてはこちらの記事で解説しています
    【周年事業を担当する方】周年事業の進め方|周年事業とは?考え方から施策決定までの流れを解説
    周年記念事業のアイデア|周年記念事業を成功に導くポイントや企画の事例、スケジュール例も紹介

    具体的な記念誌発行のタイミング

    やはり記念誌は、周年事業(記念事業)の一環として発行することが多いため、なるべくその時期から離れないようにすると良いでしょう。記念誌発行のタイミングとして多いのは次の2つです。

    1. 記念式典や記念イベントの際に配付する
      記念事業の一環としての印象が強くなり印象づけられる
    2. 記念事業を行う期内、もしくは翌期に配付する
      記念事業の様子まで記念誌に盛り込むことができる

    [目的]記念誌を作成する目的とは

    記念誌発行の目的は明確に

    記念誌を発行する目的を明確にし、それに沿った企画やコンテンツを掲載しなければこれまでの軌跡を記録し祝うためだけのものになってしまいます。
    また、記念誌の制作中にはさまざまな判断を求められることや、外部的な要因による軌道修正が必要となることがあります。このような場合でも目的をしっかりと決めていれば、誰に何のために記念誌を作るのか、また判断や評価の基準が明確になり、二転三転し無駄な時間や費用がかかるのを防ぐことができます。

    記念誌を未来への足がかりと考える

    記念誌の作成において大切なことのひとつは、これから先の未来を築くための足がかりとすることです。
    未来に向けたさまざまな企画や仕掛けにより、従業員が共感し自発的に周年事業に参加するようになる。
    その結果、魅力的なコンテンツや、関係者間(従業員間など)の一体感が生まれる。
    このようにインナーブランディングを重視する場合にも、未来を見据えた視点は重要だと言えます。

    ※インナーブランディング
    社内向けのブランディング。理念やビジョン、自社の価値を社内に浸透させ、モチベーション・ロイヤリティ向上などを目指す。

    [例]30周年の記念誌を発行するA社の場合

    創立30周年記念誌を作成する製造業のA社。
    50周年を見据えた次の20年に向けて、記念誌発行の目的を次のように定めました。

    • 自社のアイデンティティを確認する
    • 取引先やOBなど関係する人への感謝を示す
    • ステークホルダーに対し未来に向けたイメージを提示する
    • 従業員のモチベーション・ロイヤリティ・一体感を醸成する

    これらを目的に掲げ、これから先の20年の中心的な役割を担う従業員に向け、これまでの挑戦の軌跡とこれからの可能性を共有するための記念誌を目指し作成しました。

    読まれる記念誌にすることも大事

    記念誌を作る際に発行者がもっとも望むのは、一番の読者となる人にきちんと読んでもらいたいということです。
    企業であればその第一は社員であることが多いため、たとえば、社員参加型の企画、写真を多用し読みやすさを意識したデザインなど、とにかく「社員に読まれるもの」を目指して作られます。
    読まれなければなにも伝わらず目的が達成できないため当然だと言えます。
    自社の社員が記念誌を読みモチベーションやロイヤリティを高めてくれると、記念誌を作る意義があったというものです。

    では社史の場合はどうでしょうか。
    社史の重要な目的のひとつは「会社の資料として歴史を継承すること」です。
    会社の史料としての意味合いも十分に検討し、おざなりにならないようにする必要があります。
    社史の場合は、歴史を継承するという目的を中心に据え、そのうえで企画等を検討してはいかがでしょうか。

    [作成方法]記念誌のつくり方

    記念誌作成にかかる期間

    記念誌の作成にかかる期間はその内容によってさまざまで、数ヶ月から半年で作り上げることもあれば、1~5年をかけて制作する場合もあります。
    なぜそれほどの期間が必要なのか。それは、特に周年記念誌などそれまでの歴史を中心に構成する場合は、そのための資料収集や整理から始めなければならないからです。
    記念誌の作成は長丁場となることが多いため全体の流れをよく理解し計画的に進める必要があります。

    記念誌作成の流れ

    記念誌制作の流れは、その内容によって異なることがありますが、概ね次のようになります。

    1. 記念誌制作の委員会(チーム)を立ち上げる
    2. 制作の目的や読者、企画内容、予算、おおよそのスケジュールを決める
      ※記念誌のほかの制作物も検討する(映像、記念品など)
    3. パートナーとなる制作(印刷)会社を選ぶ
    4. 制作(印刷)会社と体裁やページ構成、デザイン、装丁、スケジュールなどを調整する
      ※見本をもとにするとイメージが伝わりやすい
    5. 資料収集・整理、年表の作成 ※歴史の記録に重点を置く場合は特に時間を要する
      構成案、仮目次作成などを行う
    6. 原稿を作成、執筆依頼や取材・撮影を行う
    7. デザイン制作
    8. 校正
    9. 印刷・製本
    10. 記念誌完成、配付

    [構成]記念誌の構成とは

    記念誌の一般的な構成を知っておくことは大切です。
    特に周年記念誌は歴史の記録という役割を担うことが多く、多くの人が目にする傾向があるため、基本的な要素は満たしておく必要があります。
    周年記念誌の一般的な構成例は次のとおりです。

    記念誌の構成例(周年記念誌の場合)

    1. 前付
      • まえがき
      • あいさつ・謝辞:発行者が発行にあたっての意義などを執筆
      • 目次:記念誌全体の構成をまとめる
      • 祝辞:取引先や関係者などのお祝いのコメントを掲載
    2. 口絵
      • 本文の前に差し込まれるイラストや写真
        これまでのあゆみ(足跡)などをビジュアルを中心に表現する
        象徴的な写真を使用し発行者または記念誌のイメージを伝える役割も
    3. 本文
      • これまでの歴史や足跡を掲載
        時代背景ともに記すとよりわかりやすくなる
      • 座談会や寄稿など、テーマや企画に沿った内容を掲載
    4. 資料編
      • 年表資料
      • 各種資料:組織図や発行者に関する資料
    5. 後付
      • あとがき、編集後記
      • 索引
      • 奥付:発行者・出版年月日・印刷者の情報など

    [ポイント]記念誌作成で気を付けること

    目的と読者を常に意識する

    記念誌を発行する目的や読者、発行者はさまざまです。こうでなければならないという固定概念に囚われると、読み手にとって面白味のないものになってしまうこともあります。
    目的や読者をつねに意識して記念誌全体の構成やコンテンツを決めることで、紋切り型の記念誌になることが避けられます。

    製本方法や表紙加工にこだわる

    1. ハードカバー(上製本)
      ハードカバーは、おもに本の背を糸で綴じ、厚く頑丈な表紙で本文をくるむ製本方法です。
      表紙には布や革を使用することもでき卒業アルバムでよく見られます。
      周年記念誌に似つかわしい製本方法です。
      • ハードカバー(上製本)の特長
        • 丈夫で耐久性があり、長期保存に向いている
        • 高級感が感じられるため、特別な一冊に最適
    2. ソフトカバー(並製本)
      ソフトカバーは、接着剤や針金で本の背を綴じる、写真集やテキスト集など目にする機会が多い一般的な書籍で使用されている製本方法です。
      • ソフトカバー(並製本)の特長
        • 特別感を演出するために表紙に光沢感のあるグロスPP加工や、高級感のあるマットPP加工を施したり、表紙カバーを巻くといったことも可能
        • 上製本と比べ工程が少なく、コスト・納期が短縮される場合が多い
        • 手にとりやすい

    文章にこだわる

    インタビュー記事や座談会などの企画ものは、記念誌の重要なコンテンツのひとつです。しかし、シナリオ作りや事前アンケート、当日の取材や原稿起こしなど、取材と原稿執筆には非常に多くの手間と経験を必要とします。そのため、はじめて記念誌をつくる社内の担当者にとって悩みのたねとなることが多いのが実状です。

    その悩みを解決する方法は、プロのライターに依頼することです。
    とくに社史や記念誌の制作に慣れたライターであれば、客観的な視点も交えながら読みやすく緻密な文章を書くことができます。
    記念誌の担当者は資料の準備だけでなく、スケジュール管理や社内外との調整など、文章を書くことよりも大切な役割があります。そして本来の業務と記念誌作成を兼任される方も多いはずです。
    プロに任せられることは任せる。
    これが記念誌制作をうまくいかせるコツです。

    担当者はひとりで抱え込まない

    記念誌の制作でもっとも困るのは、責任の所在がはっきりとせず宙ぶらりんの状態になることです。
    記念誌作成の担当者がどんなに一人で奮闘してもなかなかうまくいくものではありません。
    記念誌は多くの人の協力があって作られるものです。

    社内では記念誌編集委員会(チーム)を立ち上げ、方針や企画、原稿などを検討し決定する機能をつくる必要があります。担当者は方針や企画のたたき台をつくり、編集委員会で検討・決定していく形をとれるようにしましょう。
    また、編集委員会のトップにはできれば決裁権のある役員クラスの方にお願いできるとベストです。

    そして、記念誌作成の外部パートナーである制作(印刷)会社の活用も大切です。
    制作(印刷)を選ぶ際は、「サポート体制」「相談できる会社か」を十分に確認するようにしましょう。

    制作会社選びで失敗したくない向け
    社史・記念誌の無料資料
    「制作パートナーの選び方と費用」
    制作会社を選ぶ際のポイントや費用の相場を解説

    記念誌の制作費用

    当社にはさまざまな質問やご相談が寄せられますが、「制作にはどれくらいの費用がかかりますか?」「私たちの予算で対応可能ですか?」といった費用に関することは最も多い質問のひとつです。

    記念誌制作にかかる費用は、印刷部数、ページ数、依頼する内容など様々な要素によって大きく異なるため、一概には言えません。いくつか例に挙げると、ある企業の記念誌は350万円(64ページ)、またある企業では1000万円超(240ページ)などさまざまです。50万円程度で制作する記念誌もあります。

    記念誌制作費用については、こちらの記事を参考してみてください。
    記念誌制作にかかる費用とは?

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    記念誌制作会社(制作パートナー)の選び方

    記念誌の作成は長期間にわたるケースも多く、制作途中でのトラブルもよくある話です。
    そのため、記念誌作成のパートナーとなる制作(印刷)会社は慎重に選ぶようにしましょう。

    制作(印刷)会社を選ぶポイント

    1. 記念誌・社史制作の実績がある会社か
      ※記念品の準備や映像制作、イベント運営など周年事業全体に関わった実績があるとよい
    2. サポート体制が整っているか
    3. 企画内容の相談から、デザイン・校正・印刷・発送まで安心してまかせられる会社か
    4. 担当者は、経験をもとにし客観的な視点でアドバイスをしてくれるか
    5. 発行する企業自体のことを理解しようとするか
    6. ゴール(=記念誌の完成、周年事業の成功)に向けたサポートをする会社か

    ゼンリンプリンテックスは、お客様のことを知ることからスタートし、ご担当者様の疑問や不安を解消しながら完成まで伴走します。

    ご相談は無料で承っています!
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    具体的に決まっていなくてもお気軽にご相談下さい。オンラインミーティングも可能です。

    ゼンリンプリンテックスの社史・記念誌の制作事例

    ゼンリンプリンテックスの社史・記念誌の事例をご覧ください。

    最後に

    記念誌作成の担当者の多くはほとんどがはじめての経験だと思います。
    もしかすると印刷物を作成すること自体がはじめてのことかもしれません。
    記念誌の作成は本当に大変な業務です。
    ぜひこの記事を参考にして、記念誌作成をする上で大切な社内のチームや外部パートナーを見つけてください。
    そして、貴社らしい記念誌を完成させてください。

    社史・記念誌の基本
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      社史・記念誌制作サービス概要
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      この記事を書いた人

      このお役立ち記事は、私がこれまでにお客様のプロモーション課題に取り組んできた経験や、お客様からお寄せいただいた質問をもとに執筆しています。印刷をデザインやマーケティングの観点も交えながら、読者の方に少しでも分かりやすくお伝えする事を心掛けています。